TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

天使に口付け

一覧ページ

「天使に口付け」のメインビジュアル

天使に口付け

1 - 天使に口付け #1

♥

410

2024年09月08日

シェアするシェアする
報告する

多数決の結果、桃青になりました ‪.ᐟ

start ▶▷▶

それは、もうすぐ夏休みが終わるという頃

あまりにも突然の連絡だった

僕が買い物から帰ると、僕のスマホが鳴った

掛けてきたのは近くの総合病院だった

電話を掛けてきたのは看護師さんで 早口で何かを伝えてきたが 僕の頭は真っ白になり 何を言っているのか聞き取ることが出来なかった

ただ、「意識がない」その言葉だけ 今でもはっきり脳に焼き付いてる

病室に入ると真っ白なベッドに横たわる僕の恋人

頭に巻かれた包帯や管は見るだけで痛々しくて 僕は彼の名前を呼ぶよりも前に言葉を失ってしまった

さ…とみ…っ、

勢いよく駆け寄る僕を 看護師さんは見守ってくれていた、気がする

お医者さんは俯いたまま何も言わなかった

、っさとみ、く…っ、

嗚咽を漏らしながら必死に彼の名前を呼んだ

その日、彼が目を覚ますことはなかった

意識のない人間と同室に泊まることは許可してくれなかった

だから僕は病院から1番近いビジネスホテルに寝泊まりすることにした

彼が起きたら、すぐ病院に行けるように

目を覚ましたという連絡が来たのは彼が入院してから 3日後の事だった

ただ病院に着いた時の看護師や主治医の表情は どこか固くて暗かったのを憶えている

さとみ…く、っん…!

名前を呼び、彼の手を握る

彼は僕と目を合わせるとまるで初めて僕を見たような顔をした

あの…どちら様ですか

彼の言葉に僕は笑いをこぼす

なに、言ってんの

僕、だよ ころん

ころんだよっ…、

僕の乾いた笑いが静かな病室に響く

ころ…ん……、?

初めて口にした言葉は

まさに「僕を認識していない」ことを物語っていた

っ…!

面会時間は10分間 家族以外の患者との時間は制限されるらしい

なん、で…

主治医は彼が事故のショックで記憶喪失になったこと 唯一覚えているのは家族のことや自分のことだと教えてくれた

自分や家族の名前、過去の断片的な記憶はあるらしい

それなのに、ずっと一緒にいる僕の記憶は失くしてしまった

もうあの時のさとみくんはこの世にいないんだ

この日僕の恋人は“天使”になった

この作品はいかがでしたか?

410

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚