TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
脳心身

一覧ページ

「脳心身」のメインビジュアル

脳心身

4 - #2 出会い

♥

1,016

2024年03月08日

シェアするシェアする
報告する

仙石 伊澄 16歳 男 裏社会に手を出している。 両親、兄弟は居ない。 身体状態:正常。 脳状態:衝撃に弱いが正常。 適正率:86%

仙石 伊澄

…とりあえず…

仙石 伊澄

あっちの扉から、行ってみるっすか…

オレはおぼつかない足取りで 左右が本の壁に挟まれた廊下を ゆっくりと歩いていく

もう、何が何だか分からない

いつも通り適当に バイトやら遊びやらして 過ごしていたはずなのに

気がついたら全く知らない場所 全く知らない誰かの身体

オレは、今までに無いほど 混乱していた

仙石 伊澄

………………

廊下の突き当たりまで そこまで距離は無いはずなのに

その時間と距離は とても長く感じた

そして扉の前まで来た時 オレは足を止めた

仙石 伊澄

……これは………

その扉には 一枚の絵画が豪華な額縁に入れられ 飾られていた

その絵画に写っているのは 美しい色をした一輪の花だ

仙石 伊澄

…マリーゴールド……

ポツリと呟く

仙石 伊澄

綺麗、っすね…

オレは無意識に その絵画に触れていた

その瞬間だった

仙石 伊澄

うわっ……?!

急に額縁の中の絵画が ぐにゃりと歪んだ

その絵画は 茶色い泥のような液体になり ボトボトと地面に落ちていく

地面に落ちた泥は ジュワッという音を立てて 蒸発して消えていった

そこに残ったのは 豪華な額縁のみだ

オレはあまりに突然な出来事に 呆然と立ち尽くしてしまう

すると、扉の向こう側から 微かに物音がした

バタリと、何かが倒れる音だ

それに引き続き 誰かが咳き込む声が聞こえてくる

…っ、ごほっ、ごっ…

その声はあまりにも辛そうで 苦しんでいるのは確かだ

仙石 伊澄

…っ、大丈夫っすか?!

オレは我に返り バン、と大きな音を立てて 扉を開けた

大葛 晃 15歳 男 根暗な性格、友好関係も狭い。 家庭環境は普通。 身体状態:正常、外傷多数。 脳状態:正常。 適正率:97%

大葛 晃

…っ、げほっ、ごほっ…

苦しい

苦しい、苦しい

息が吸えない

息が吐けない

肺が上手く機能しなくて 空気が正常に入っていかない感覚

深呼吸すらできない

酸素が身体に入っていかない

俺はただ、咳き込む

俺はしばらく苦しんでいたが ついに足が限界を迎え 地面に倒れ伏してしまう

大葛 晃

…っ、がっ…げほっ…っは…

ガダン、と 酷い音がした

しかし、痛みなど気にして いられなかった

急に倒れたせいか 肺が潰れ呼吸がもっと浅くなる

苦しい、苦しい、苦しい

その時だった

仙石 伊澄

…っ、大丈─すか─!

扉が開いた音と同時に 誰かの声が聞こえてきた

しかし、なんと言っていたか 上手く聞き取れない

俺は必死に声を振り絞る

大葛 晃

……が…た、すげ…っげほ…

その声で理解して貰えたのか 即座に俺に駆け寄ってくる

仙石 伊澄

まずは落ち着いてください、焦らず、大丈夫っすから…

近寄って貰えたおかげで はっきりと声が聞こえる

俺はその声に すがるように意識を向ける

仙石 伊澄

一度呼吸を止めて、リズムをリセットして…ゆっくり息を吸って、ゆっくり吐いて…

仙石 伊澄

オレの真似して、ゆっくり呼吸するっす…ゆっくり…

大葛 晃

…っ、すっ、はぁ…げほっ…すー…はっ、ぁ……

俺は背中を優しくさすられ 呼吸をしやすい体制に 自然と身体を誘導される

しばらくそれを繰り返すうちに 段々と呼吸は正常に戻っていく

俺は最後に長く息を吐いた後 ゆっくりと目を開けた

大葛 晃

…っはぁ…ありがとう、ございます……

俺の目には 紫色のロン毛美少女の顔が ドアップで映っていた

大葛 晃

うわぁぁぁぁあ?!

仙石 伊澄

うぉっ?!

俺はビビって 反射的に身体を後退させる

顔が熱い、心臓がうるさい

俺は落ち着いたばかりの肺をおさえ ぎこちなく笑みを浮かべる

大葛 晃

あ、え、えっと…はは…

仙石 伊澄

だ、大丈夫っすか?

大葛 晃

あ、はいっ、もちろんっす大丈夫す!

俺は焦って しどろもどろな返事をしてしまう

大葛 晃

(いやこんなん絶対コミュ障バレたじゃねぇか!)

大葛 晃

(うわはっず…どーしよ会話しにくいやつとか思われたら…)

仙石 伊澄

…えっと…あんたももしかして、巻き込まれた人っすか?

仙石 伊澄

起きたら知らない場所で、別の体になっててーみたいな…

大葛 晃

え、あ、そうです、はい。

仙石 伊澄

まじすか?!よかったぁ…

俺がそう答えると 彼女は安心したような顔をし ホッと息をもらす

仙石 伊澄

オレも全く同じ状況で焦ってたんすよ…仲間いてよかったっすマジで…

大葛 晃

あ、そうなんすねぇ…

大葛 晃

……………

仙石 伊澄

……………

大葛 晃

(いや喋ること無くなった気まずっ!)

俺は何とか会話を繋ごうと 話題を探す

大葛 晃

…あ、あのー…

大葛 晃

た、助けてくれて、助かりました…ありがとうございます…

仙石 伊澄

あぁ、全然。大したことないっすよ。

大葛 晃

………………

仙石 伊澄

………………

大葛 晃

…なんか、凄い…治療というか、対処というか…が的確で、凄かったです。

仙石 伊澄

あぁ、昔うちの母親がよく同じような状況になってたんで、慣れてるんすよ。

仙石 伊澄

まぁ、もう亡くなっちゃったんすけど…

大葛 晃

あぁ…すんません…

仙石 伊澄

いや、大丈夫っす。

大葛 晃

……………

仙石 伊澄

……………

大葛 晃

(…気まずっっっっっ!)

仙石 伊澄

…あ、後言い忘れてたっす。

大葛 晃

は、はい!

仙石 伊澄

オレ、身体が入れ替わって女になっちゃったんすけど…

仙石 伊澄

元の身体と中身は男っす。

仙石 伊澄

一応伝えておこうと思って…あでも、いやらしい事とかは全くしてないっすよ?!

大葛 晃

…………………

大葛 晃

……………はぁ?

桂 美代 16歳 女 孤児院育ち。親族はいない。 友人関係が広い。 身体状態:正常。 脳状態:衝撃に弱いが正常。 適正率:92%

桂 美代

ふーんふんふーん♪

ゆう?

そろそろ着きそうだね。

桂 美代

うん!中に人いるかな?

ゆう?

さぁ、それは入ってみないと分からないさ。

桂 美代

そーだよねぇ…玄関、鍵かかってないといいなぁ…

あたし達は やけに静かな森林に 足音を残しながら歩いていく

桂 美代

…ゆーさん、髪の毛ボッサボサだねぇ。

ゆう?

ほんとにねぇ…この身体の持ち主は、相当見た目に無頓着だったんだろうね。

ゆう?

この大きすぎるパーカーもサンダルも、まるでサイズが合っていない。

桂 美代

サイズ間違えて買っちゃったのかな?

ゆう?

それは本人に聞いてみないとね。

たまにこうやって 雑談を挟んだりもする

そんな時 ふとゆーさんが足を止めた

ゆう?

あぁ、そういえば。

ゆう?

美代、君にこれを渡しておこう。

そう言って ゆーさんが大きなパーカーの ポケットから何かを取り出す

桂 美代

…これ…ナイフ?

ゆう?

目覚めた時、ポケットに入っていたんだ。

ゆう?

君、女の子なんだろう?何かあった時の護身用に持っておいた方がいい。

ゆーさんはあたしの手を取り 優しくナイフを置く

どうやら携帯用のようで 小型で刃の部分にもカバーがある

桂 美代

んー…確かに、いつ動物さんに襲われるか分かんないもんね!

桂 美代

ありがとゆーさん!

そう言ってあたしは ズボンのポケットに ナイフをしまう

ゆう?

…さて、それじゃあ向かおうか。

桂 美代

うん!あーとちょっと〜!

そして、あたし達はまた 歩き出す

舞 遥歌 16歳 男 両親は健在。仲は不良。 病弱で入院する可能性あり。 身体状態:病や薬物に弱いが正常。 脳状態:正常。 適正率:89%

舞 遥歌

…………………

俺は、大きな扉の側に張られた ステンドガラスを見ていた

よく見るとそのステンドガラスは とある家族をモチーフに 作られているようだった

一人の小さな子供が走り 二人の大きな大人がそれを 追いかけている

その足元には 犬のような姿もうかがえた

そして、全員が笑顔だ

まるで、三人と一匹の 追いかけっこのように見える

俺はそのステンドガラスを見て ギチギチと拳を強く握る

あぁ、羨ましい

俺みたいなやつが 羨んだりする筋合いは 無いことくらい分かっている

ただ、とても、羨ましい

楽しそうなその姿が

家族と仲良く遊ぶ姿が

走っている姿が

犬とじゃれている姿が

自分とは全く 真反対のその姿が

両親にも祖父母にも見捨てられて 病弱で走ることもできなくて 動物とじゃれ合うこともできなくて

何も出来ない自分とは 全く違うその姿が

恨みたいほどに羨ましい

壊したいほどに羨ましい

羨ましい、羨ましい

ふと、思った

舞 遥歌

(…今の身体なら、出来るんじゃないか?)

俺は、ステンドガラスに 拳を振りあげようとした

舞 遥歌

………………っ!

その瞬間、我に返った

俺は持ち上げた拳を震わせる

俺は、何をしようとした?

勝手な片恨みで この幸せそうな家族を 壊そうとした?

舞 遥歌

あぁ…ぁ"…

だから見捨てられるんだ

勝手に苦しんで 不幸だと思い込んで

勝手な片恨みで 相手を攻撃しようとして

だからダメなんだ

だからいらない子なんだ

俺はいらない子だ

俺は役立たずだ

俺は、俺は

その瞬間だった

桂 美代

んんーよいしょー!!

急に、バン、という 大きな音で扉が開いた

ゆう?

おぉ…力持ちだねぇ。

桂 美代

よし、開いたあいたー!

桂 美代

…って、あ!人居る!!

舞 遥歌

え、あ………

その扉の向こうには 男性が二人、立っていた

この作品はいかがでしたか?

1,016

コメント

2

ユーザー

???はわかんないけど適正率とやら皆高いね。晃高くね。ワロタ なんでナイフ持ってんの怖。設定あったっけ。(

ユーザー

がんばれーーーー!!!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚