魔力がない。
そんなこと、あるわけない。 あるわけないじゃないか。
だって、君は、君は。
魔法を使ってたんだよ?
月野瀬 蓮
…鈴。
如月 鈴
あの日、無意識に私がここから飛び降りようとしてたのは。
如月 鈴
魔力がない、魔法が使えないと知って、クラスの人に奴隷のように扱われて…。
如月 鈴
魔力がない自分が、嫌になったから。
月野瀬 蓮
…。
如月 鈴
笑うでしょ?いいよ、笑いn
月野瀬 蓮
違うよ。
如月 鈴
…え?。
月野瀬 蓮
違うよ、鈴。君は、魔力はある。
如月 鈴
そんなこと…!だって、水晶には!
如月 鈴
…慰めてほしいわけじゃないよ?
月野瀬 蓮
違うんだ。君はほんとに、魔力はある。
月野瀬 蓮
ただ、少し特殊なんだよ。
如月 鈴
特殊…?
ごめんなさい、お父さん。 言わない方がいいんだろうけど、もう限界だ。
月野瀬 蓮
鈴、いいかい。僕と君はね…。
小さい頃、一緒に暮らしてたんだよ。
如月 鈴
…え?
如月 鈴
…え。
どういうこと?どういうこと?
小さい頃、一緒に暮らしてた? 私と蓮が?
如月 鈴
な、なにそれ…どんな冗談…?
月野瀬 蓮
冗談じゃないよ。
月野瀬 蓮
君は小さい頃、何してた?
如月 鈴
小さい、頃…?
私は、森で迷子のところをお父さんに拾われて…。
…あれ?
じゃあ、お父さんに拾われる前は? どうやって数年間生きてたの?
月野瀬 蓮
…鈴、君はね、森のずっと奥、誰も知らない施設で育った。
月野瀬 蓮
そこには僕と君を含めた、25人の子供がいたんだ。
月野瀬 蓮
僕ら皆のお父さんが、そこで僕らを育ててくれてたんだ。
月野瀬 蓮
でもある日、君は施設から抜け出した。
如月 鈴
なに…それ、そんな記憶…私にはない…。
君の近くにいるとき、君からはいつも 異様な魔力の気配を感じてた。
なるほど…お父さんが10年間君を放っていたのは、 君から記憶を抹消していたからか。
でも、じゃあ何故今になって…?
月野瀬 蓮
…鈴、信じれないだろう、頭がパニックになるだろう、ごめんね。
でも、全部ホントのことなんだ、信じてほしい。
でも、全部ホントのことなんだ、信じてほしい。
如月 鈴
…信じるよ。
月野瀬 蓮
…え?
如月 鈴
すごいハチャメチャな話だけど、幼い頃の私を知っているのは君だけだろうし。
如月 鈴
…それで、魔力があるっていうのは、どういうこと?
月野瀬 蓮
…ありがとう、信じてくれて。
月野瀬 蓮
君の魔力…というか、施設で育った僕らの魔力は
全て同じつくりなんだ。
全て同じつくりなんだ。
月野瀬 蓮
人工的なものには反応しなくてね、自然の中では凄く魔力の濃度が濃ゆいんだけど、普段は感じとれないほど薄いんだ。
月野瀬 蓮
鈴が言っていた水晶は、人の手によって作られた機械のようなものだから、反応しなかったんだと思う。
月野瀬 蓮
周りの魔力の濃度が濃ゆい自然の中で、
本来の力を発揮するんだよ。
本来の力を発揮するんだよ。
月野瀬 蓮
例えば木とか、花とか。僕らが暮らしていた施設は森の奥の方
だったから、魔力も普通に使えて、魔法も撃てたんだよ。
だったから、魔力も普通に使えて、魔法も撃てたんだよ。
月野瀬 蓮
この学校でも…そうだな、中庭では自然が多いから少しは
魔法が使えるかな。
魔法が使えるかな。
如月 鈴
な、なるほど…?
月野瀬 蓮
ごめん、説明するのは慣れてないんだ。
如月 鈴
いや、なんとなくわかったよ…。
月野瀬 蓮
そっか、よかった。
如月 鈴
…ねぇ、この前中庭で茎が折れている花に触れたら、
いつの間にか茎が元に戻っていたんだけど。
いつの間にか茎が元に戻っていたんだけど。
如月 鈴
あれが、魔法…?
月野瀬 蓮
…多分、それが魔法だと思う。もしかしたら、
鈴は大地の属性なのかな。
鈴は大地の属性なのかな。
如月 鈴
よかった、私にもちゃんと、魔力があって、魔法が使えるんだ…。
如月 鈴
ありがとう、蓮…。
月野瀬 蓮
いいんだよ、それで、鈴。
「これから、どうしたい?」
如月 鈴
最後まで見てくださり、ありがとうございました。
今回ちょっと短かったかな。
今回ちょっと短かったかな。
如月 鈴
ちゃんと魔力あってよかった〜!
如月 鈴
では、次回もお楽しみに!