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時差コメ&フォロー失礼します!!💓💭 主様天才過ぎます! 続き待ってますっ…!!✨💓
初コメ&フォロー失礼します! 見た瞬間に主さん天才すぎるッッと思って気づいたらフォローしてました! 続き待ってます!💕🫶🏻️︎
時差コメント失礼します!もうめっちゃ続き気になります!!!!言葉にできない神さがある(?)
赤
桃
夜八時過ぎの浴室。 りうらは、バスチェアに座った状態で何故か不機嫌そうに頬を膨らませていた。
赤
むくれたトーンの低い声が、浴室内で柔らかく反響する。
桃
シャンプーのボトルに手を伸ばし、掌の上で液体を泡立てながらそう答える。
赤
赤
桃
100.けっこんする
これは数ある償いごとの中で最後に書かれたもの。 最後まで全部償いごとをクリアすると約束してしまったのだから、当然これもやらなければならない。
赤
桃
図星を突かれて思わず言葉に詰まる。 それを誤魔化すように、泡立った赤い髪の毛に無駄に指を通した。
桃
赤
赤
りうらは頭に泡が着いたまま、見上げるように俺の目を見つめる。
赤
桃
俺を写す赤い瞳。 どこまでも純粋そうで穢れのない赤色。
赤
赤
桃
俺はシャワーのヘッドを持って、りうらの顔面にお湯を思いっきり噴射した。 その赤い瞳が瞼で多い隠されたのを確認して、ほっと安堵のため息を吐いた。 もこもこに泡立っていた泡沫が、シャワーの水流で呆気なく溶けて排水溝へと流れていく。
赤
桃
シャワーの蛇口を閉めたところで、りうらがそんな提案をしてきた。 彼は顔についた水滴を拭ってから、もう一度俺の方へ向き直る。
桃
りうらが来てからの数日間、シングルベッドはりうらに譲り俺はずっとソファーの上で睡眠をとっていた。 もちろん引っ越した当時誰かと寝る計画なんて微塵もなかったから、俺のベットは成人男性1人が寝転んで丁度いいゆとりが残る程度のサイズ感。 それに2人分の体を乗せるというのはだいぶ無理がある気がする。
赤
桃
赤
桃
りうらは突然バスチェアから勢いよく立ち上がる。 少し伸びた襟足の水気を手で切りながら、浴室のドアノブに手をかけた。
赤
俺の返事を待たずにバタンと浴室のドアが閉まる。 静けさが訪れたこの部屋で、俺はシャワーヘッドを持ったままただ立ち尽くした。
赤
部屋の四隅にピッタリ合うように設置されたシングルベット。 りうらはいつも通りその上に仰向けになり、体を半回転させて部屋の壁に背中全体をつけるような体制になる。 俺がその出来た隙間に入ってこれるようにという配慮なんだろうけど。
桃
赤
りうらは腕を伸ばして両手を俺に差し出す。 為す術をなくして、というより抵抗する気力がなくて、渋々ベットの上に身を投げた。 想像通りの狭さだ。
桃
文句を訴えようとしたところで、言葉が途切れる。少しだけ驚いてしまった。 その細い腕が、俺の腹辺りに巻きついていることに。
顎の少し下辺りにりうらのつむじが来て、吐かれた息が胸元にかかる。
赤
桃
若干困惑気味に視線を彼の方へ落とす。 放った言葉は動揺する俺を揶揄するような響きがあるのに、彼は頑なに顔を上げようとしない。
桃
赤
背中に回された手がぎゅっと握られ、胴体に絡んだ腕の力が少し強くなる。 彼は自分で思っているより自分がわかりやすい人間ですある事を理解していないらしい。
赤
桃
桃
赤
桃
赤
会話が途切れて、ワンルームに静寂が落ちる。 一方的に抱きつかれたこの状況になんだか変な感じがして、恐る恐るりうらの肩の辺りに自分の腕を回した。
赤
桃
赤
自分の胸元ですぐ聞こえる声は、眠たいのか少しうつけているように聞こえた。
赤
桃
赤
赤
赤
𓈒𓂂𓂃◌͙𓈒𓐍͙𓂃𓈒 𓂂𓏸𓂃͙𓐍𓈒◌͙𓂃𓂂
???
「え、手?なんで?」
???
「そうかなぁ......別に普通だと思うけど」
???
???
???
桃
え、何?今の何?
現実、なわけない。でも夢でもなかった。じゃああれは何なの?
桃
パニックになって咄嗟に名前を呼ぶと、すぅ、すぅ、と規則正しい呼吸音がすぐ近くで聞こえてきた。 意識は完全に夢の中なのに、彼の腕はまだ回されたまま。
桃
カチッ、カチッ、カチッ。 秒針が回る音だけが俺の耳に届く。 もう何百回も聞いた真夜中の音。
俺は絡まったりうらの腕をそっと解いて、冷たいフローリンクの上に足を下ろした。 棚の引き出しからタバコの箱を取り出して、それを片手に持ったまま大窓の鍵を開けた。
心地いいひんやりとした夜の外気が全身を包み込む。 洗濯は基本中干しだから、こうしてベランダに出るのは久しぶりだ。 下を見下ろしても、見えるのは何の変哲もない住宅街の路地だけ。しかもマンションの2階の部屋だからこれといった感動は特にない。
ライターで火の明かりを灯して、タバコに着火させる。 子供がいるときに吸うのは良くないだろうかと思ってここ数日控えていたからか、本当に少しだけ胸が跳ねる。 肺に煙が行き渡る感覚を味わいながら、意味もなく何も無い外の景色をぼーっと見つめた。
......さっき見たあれは何だったんだ。 不思議な感覚だった。夢でも現実でもない、その狭間を揺蕩っていたような。 ...どういう内容だったっけ.....。さっき見たばかりなのに全然思い出せない。やっぱり夢だったのかな。
桃
思考を吸い殻ごと灰皿の上へと投げ捨てる。 タバコで汚染された自分の肺を使って、夜の空気をひときしり吸い込んだ。
桃
すぐ夜闇に溶けたこの独り言は、薄雲が覆いかぶさった月ぐらいにしか届くことはなかった。
〜赤side〜
赤
俺は目が覚めた。 鼻をくすぐるいい匂い。忙しなくなり続ける料理の音。 それもあるけど、目が覚めた理由の1番は、昨日の夜まですぐそこにあったはずの温もりが消え去っていたことによる寂しさ。
桃
赤
適当な返事を返して、枕元に置いてあった彼のスマホを無断で手に取って電源をつける。 液晶画面が明るくなって、日付と曜日と現在時刻が表示される。
赤
8:00という数字の羅列の上に表示された曜日。 本当に深い意味はなく、ただそれが目に映ったからなんとなく口にしただけだったのだけど、それにないくんは過剰に反応した。
桃
赤
桃
桃
赤
桃
ないくんは突然大慌てで家の中を走り回った。 そして玄関の近くに置かれていた黒い大きな袋を両手で持ち上げる。 ずっと何だろうと思ってたけど、あれゴミだったのか。
桃
赤
ないくんはペラペラと早口で俺に伝えてから、勢いよく家を飛び出していってしまった。 さっきまでが嘘みたいにしーんと部屋が静まり返る。 あそこまで慌ててる彼を見たのは初めてかもしれない。
赤
仰向けに寝込んだまま、白い天井を見つめる。 そういえばないくんと出会ってから1人になるのはこれが初めてかもしれない。 なんとも言い難い感情に襲われて、下の方に蹴り飛ばしていた布団に包まる。
ないくんの匂いだ。いい匂いなわけでも、臭いわけでもないけれど、でも彼の匂いがする。 その香りに包まれてまた何となくウトウトしてきたけれど、このまま寝てしまうのは勿体ない気がする。 俺は上体を起こし、ぐーっと上に向かって背を伸ばす。そしてベットから足を下ろしたところである事に気がついた。
赤
窓の鍵が空いている。普段は大体閉まっているのに。 朝ごはんを食べる気にもならなかったから、何となく俺は素足でベランダに出た。 朝の空気と春の丁度いい日差しに出迎えられて、思いっきり深呼吸をする。 ふと左横を見ると、銀色のお皿とその上に燃え尽きたタバコの残骸のようなものがあった。
赤
そういえば、お父さんもタバコを吸っていたような.....
赤
少しだけフェンスから身を乗り出して、ベランダからの景色を眺める。 でも見えるのは人気のないコンクリート道ぐらいで、特に面白そうなものは見当たらない。 あると言えば、犬の散歩してるおばさんか、塀の上で日向ぼっこしている子猫か、白い髪の男の子か.....
......ん?白い髪の男の子?
白
赤
ぱちり、と紫色の瞳と目線があう。 見間違いじゃなかったみたいだ。
白
彼は俺を見上げるなり、右腕をピンと伸ばしてぶんぶん左右に振った。 ....相変わらず変な子だ。というか、まさかこんな所で会うなんて。 とりあえず軽く手を振り返すけど、この寝起きまなこの頭で彼の異様なテンションについていける自信が無い。まぁ別に普通にしててもついてはいけないと思うけど。
白
赤
白
あははっと彼はマンションの2階にしっかり届くぐらいの声量で嬉しそうに笑う。 ...今のこの状況は、俺にとって運がいい のだろうか。それとも悪いのだろうか。
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赤
白
赤
赤
白
白
俺は冷たいフェンスを両手で握る。 どうしよう。あの子はああ言ってるけど正直信用がない。でもないくん帰るの遅くなるって行ってたし、エントランスの近くだったらすぐ逃げられるし、パッと見変な武器とかも武装してなさそうだし.....。
......それに、俺もあの子に聞きたいことがある。
赤
赤
俺は彼にそれだけを伝えると、これまたすごく嬉しそうに紫の目を細めて笑った。
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