いや馬鹿馬鹿しい。
せっかく1日フリーだってのに。
大学もバイトも全部このゲームをする為に頑張って来たんだ。
ゲームをやろう。待ってろロリ。
___パートナーはローリエちゃんを選んだ。
俺の大好物のカレーを作ってくれるからだ。
決して伊織とレトルトカレーを食べたことを思い出したからでは無い。
今日1日伊織は来ない。一緒に宿題をすることも夕食を食べることも無い。
心おきなくゲーム出来る。
……ゲームを買う資金集めの為、無茶なシフトを組みぶっ倒れたことがある。
いつものように俺の帰りを待っていた伊織は、俺の様子を見てさすがに「遊ぼう」とは言わなかった。
しかし小一時間後、インターホンが鳴った。
すりおろしたリンゴとお粥を持った伊織が立っていた。
食欲は そんなに無かったけど、絆創膏だらけの伊織の手を見たら「いらない」とは言えなかった。
食べ始めると今度は残すのが申し訳なく思い結局完食した……____
ローリエちゃんがカレーを作ってくれる(ローリエ入り)
伊織は遊びに来たついでに夕食を食べて帰ることがある。その日も作り置きしたカレーを食べることになった。
激辛だったので気が引けたが、伊織は「拓海くんと同じのがいい」の一点張りだったので激辛を出した。
伊織は2口食べるのに水を3杯飲み涙目になってスプーンを運んでいたので、結局甘口のカレーを買って作り直した……_____
俺はローリエちゃんと楽しい思い出を築きたいのに、伊織との出来事が連続で再生されていく。
画面の向こうでローリエちゃんが何か言ってる気がするけど全然頭に入って来ない。
狭くてボロい俺の部屋が、安らぎの場であるはずの部屋が、知らない場所のように感じる。
これが本来の俺の暮らしなのにどうしたと言うのだろう。
ただ時々遊びに来る伊織が遠くに行っただけ。
伊織と出会う前の日常に戻っただけ。
伊織の、いない日常…………
………………あいつ今何してるんだろう。
好きでもないのに好きなフリをする。
好きなのに嫌いなフリをする。
自分の「好き」に正直でいる。
それが俺の生き方のはずだ。
ああああああああっ!もおおおおおおおおおおおおおおおっ!!