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⚠️死ネタ⚠️ 👑がお空の上に行ってしまった後の🍮の話
季節は夏ぐらい想定で 👑にずっと片想いしていた🍮のおはなしです。
許せない人は読まないでください。
祥生
瑠姫くんの事が、好きだった。
君が好きだった向日葵の花束を抱えて、じっとりと纏わりつく湿気た空気を全身に受けて呟く。
息苦しくって、俺は慣れぬ手つきで今朝締めた黒いネクタイを片手で緩めた。
俺は瑠姫くんに、惚れていたんだ。
初めて口に出したのが、1年前の今日だったっけ。 無機質な木箱の中で窮屈そうに寝かせられた瑠姫くんは、硬く目を閉じたままで返事もしてくれへんかったよね。
察しのいい瑠姫くんだから、俺の気持ちにはきっと気がついていたんだと思う。
俺の邪な気持ちを全部知ったうえで、ずっと一緒に居てくれた。
きっと瑠姫くんが一緒じゃなかったら、俺はここまでやって来れなかったと思う。
祥生
曇り空を見上げて独り言ちる。今にも降ってきそうな曇天の空は、俺の心を映す鏡のようだ。
一周忌。 君が居なくなってしまってからのこの1年間は、文字通り必死に生きてきたんだよ。
いっぽ、いっぽ。 砂利道を踏みしめて、君の眠る場所へと、曲がりくねった道を進む。
最寄りの駅から君に会いに行く為の道のりが、こうも白黒に見えてしまうのは何故だろうか。
小高い丘の上に居る瑠姫くんにこうして会いに行く時は、いつもこの花を持って行くんだ。
太陽に向かって満開に開くこの花は、君が笑った顔に似ていると思って。 直接そう伝えた事も確かあったっけ。
そうかぁ?なんて茶化していたけれど、照れたように長い前髪を触る顔、俺、今でも覚えてんねんで。
祥生
石で出来た階段を登り切り、少し上がった息を軽く整える。
祥生
言いながら、花屋で繕ってもらった花束を、そっと墓前へと供えた。
祥生
誰に見られているわけでもないが、何となく恥ずかしくなってきてぽりぽりと頬を掻いた。
祥生
終ぞ直接伝える事は出来なかったけれど。 でももう、一年も経ったし、誰も居らんし。今日だけはちょっと、かっこつけてみてもええかな。
祥生
良かったんやけど、な。
ぎゅう、と胸が痛んで、これ以上何も言葉にする事が出来なかった。
愛していた。誰よりも、俺は、君を。
祥生
ぽつりぽつりと降り出した雨粒がひとつ、ふたつ。 頬を伝って足元に落ちる雫が、踏みしめられた硬い土に染み込んでは消えていった。