灰が舞い散る。
地震のように大砲の音が響き、
空を何度も羽音を立てながら行き来する戦闘機が空を支配する。
遠くの方に、人影が見える。
それらは確実に此方に近づき、殺意を隠さない。
目の前に立つ、安心感の塊のような背中は
氷山よりも冷たい、暗い赤で此方を見据える。
遠くだと思っていた人影に、グルリと囲まれ
人影が持つ、無機質なそれらはまだ鮮やかな赤がついている。
その白銀の針に、鈍く黒く光る大砲に、
足が、動かない。のに。
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yes。もはい。も掠れて出ない。
no。もいいえ。も言うことができない戦場で、
たった一丁の銃と、ナイフで生きる。
くるりと周りを気にしないかのように後ろへ歩み出すも、
それをみすみす見逃すほどの敵ではない。
そして、それを目の前の大佐が許すわけがない。
一等兵の自分より危険視するのは正解以外のなんでもない。
ぐらりと崩れていく味方の体に、敵に緊張感が走って痺れる。
今度こそ、立ち去ろうとした彼は思い出したようにまた振り替えった。
グサリと地面に突き刺された大剣は
彼が愛用している大切な特注品。
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赤が小さくなる。
重たい大剣を握る姿は、敵からすれば滑稽だろうか。
借りたからには、返さなければならない。
死ぬことは許されず、生きて、返さなければならない。
何故一等兵の俺に、大佐ともあろう方が付くのだろうか。
思案の間も与えず、敵は切り掛かってくる。
重たく、重心は崩れそうになるものの何とか庇い。
相手の左肩から右下まで、重力に任せて斬りつける。
何故、戦うのか。
答えはない。
守りたいものは、とうに消え去った。
疲労も、残りの数も、増え続ける罪も、
考えることすら、懺悔の時間すら叶わない。
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右腕が斬られる。
煤汚れた軍服が破け、鉄の匂いが鮮明に香る。
もう何度斬られただろうか、撃たれただろうか、
何度殴られ、その度に、剣を振るっただろうか。
痛みと、恐怖と、ボロボロになった顔で、
何度その死に落ちる敵味方の顔を見ただろうか。
情けない。
やめてしまいたい。
それでも、震える手だけは、大剣を強く握りしめて
撃たれた左肩を気にせず切り裂いていく。
その度、自分自身が生き抜く道と、誰かの人生の終止符が
無慈悲にも残虐にも、造られて行くのだ。
ふらりと倒れ込む。
どくどくと心臓が動く音がすぐそばで聞こえる。
辺りには煙と、死体と、武器が転がり
響き渡っていた振動と音も、空からの羽音も
全てが消え、静まり返っている。
終わりだろうか。
それでも、終われない。
返すまで。
ずりずりと引き摺りながら、よろけながら帰る。
sn
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准士官である軍医の指示が聞こえる。
やっと第一中間拠点へと到着した。
それでも医療スペースを無視して探し人を探す。
gr
tn
ut
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限界が来たのか、剣を手渡してからふらりと倒れる。
さっと支えられて、赤いマフラーがみえる。
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自慢げな大佐の声が聞こえて、
眠りに落ちた。
自分の中での軍パロ設定のひとつ。 まだgrさんが総統に上り詰める前であり、 d先生がgrさんに出会った際の話。
コメント
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投稿お疲れ様です! うん、、、好き 言葉のセンス良すぎません? めっちゃ好きなんですけど!!どしましょ!好きです!