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ヒイラギ
モミジ、明日はイタリアンでお食事会だよ。予定通り行ける？
モミジ
うん、大丈夫。ヒイラギがセッティングしてくれたんだもんね。
モミジ
ちゃんと予定はあけているよ。
ヒイラギ
カエデは大丈夫？
カエデ
うん。私も、もちろん大丈夫。
ヒイラギ
今度は遅れないでね。予約済だし。
ヒイラギ
カエデ、時間に遅れがちだから…。
カエデ
何言ってるの～。だって、あの店に行こうって言ったのは私だよ！
カエデ
遅れるわけないじゃん。楽しみにしてるんだもん。
ヒイラギ
ゴメンね。そうだよね、誘ってくれたんだもんね。
モミジ
楽しみだよね。あの、出来たばかりのレストラン！
モミジ
ヒイラギ、予約してくれてありがとうね。
ヒイラギ
うふふ。みんなで行くのが楽しみだね。
ヒイラギ
なかなか予約が取れなくて苦労したけど、なんとか土曜日の夜に取れたんよ。
モミジ
人気店だもんね。
モミジ
明日は18時に駅前の改札前で集合ね。
カエデ
うん！
ヒイラギ
了解！
～翌日18時半～
ヒイラギ
モミジ～。ヒイラギやっぱり来ないね。
モミジ
うん、来ないね。
ヒイラギ
何しているんだろう？昨日は、「遅れるわけないじゃん」
ヒイラギ
って自分で言ってたのにね。
モミジ
待ち合わせ場所を間違えたとか？
モミジ
もう一か所の改札を見に来ているけど、いないし～。
ヒイラギ
ちょっと、カエデ？
ヒイラギ
LINE見ているなら返事して。
モミジ
もうレストランの予約の時間だよ～。
モミジ
って、全然既読すら付かない…。
モミジ
もしかしたら、どこか具合でも悪くなったの？
ヒイラギ
遅れるなら連絡の一つでも入れて～。
モミジ
これ以上、お店の人を待たせたら悪いから。
ヒイラギ
先に行こうか。
モミジ
でも3人分のコースで予約してたから、キャンセル料を取られちゃうね。
ヒイラギ
んも～。このままじゃ、私たちが立て替える感じになりそうね。
モミジ
カエデ、こういう訳で先に行くからね。
モミジ
LINEを見たら返事をちょうだいね。
モミジ
あと、キャンセル料はあとで払ってもらうよ～。
ヒイラギ
…やっぱり返事が無い…。
モミジ
既読もつかないね。
ヒイラギ
もう、仕方ないからお店に行こ。
モミジ
行こ行こ！
～さらに翌日～
モミジ
ちょっとカエデ、昨日はどうして来なかったの？
モミジ
カエデが行こうって言ってた店だから、
モミジ
ヒイラギが苦労して予約してくれた店だったのに。
カエデ
あ～ゴメンね。
ヒイラギ
予約がどうこうって言うよりもね。
ヒイラギ
結局キャンセル料を取られちゃったから。
カエデ
え～？そうなの？
モミジ
ヒイラギが予約してくれた時、一人7000円のコース料理にするって言ったでしょ。
モミジ
カエデも、メニューが気に入ったからそれで良いって言ったよね。
カエデ
そうだっけ。
ヒイラギ
そうだっけ、じゃないよ。
モミジ
キャンセル料、丸々7000円取られたの。
モミジ
だから、その7000円はちゃんと払ってほしいわ。
カエデ
なんで？
モミジ
なんで？じゃないよ。
モミジ
当日に連絡ナシでキャンセルしたんだから、当たり前でしょう。
ヒイラギ
普通、こういうドタキャンは100%請求だよね。
ヒイラギ
店の方も、全部お料理を用意しちゃってたんだもの。
カエデ
ってことはさ、私の分も2人で食べたんでしょ？
モミジ
は？
ヒイラギ
そりゃ、そうだけど…目の前に料理が並んじゃったら、ねぇ。
ヒイラギ
店の人が作ってくれた料理を捨てさせるのは悪いから、無理やり食べたけど。
カエデ
お腹いっぱい食べられたんでしょ？
カエデ
なら、私がキャンセル料払う必要無くない？
モミジ
そういう問題じゃないでしょ！
モミジ
私たちだって、お腹いっぱいで食べきれなくて、せっかくのお料理なのに
モミジ
最後の方はお腹が苦しくて大変だったんだから！
ヒイラギ
そうだよ…ドタキャンしたのは事実なんだから、ちゃんとけじめをつけてもらわないと。
ヒイラギ
それに、最初にあのお店に行きたいって言い出したのは、カエデだったよね。
ヒイラギ
言い出しっぺのクセに、連絡ナシでドタキャンってどういう事なのよ。
カエデ
あ～実はね、他に用事が出来ちゃったから。
モミジ
用事？なんの用事なの。
モミジ
私たちとの約束をいきなりスルーするほど大事な用事？
カエデ
うん。まあね。
モミジ
まあね、じゃないでしょ。来れないならちゃんと連絡をくれないと困るよ。
ヒイラギ
私たち、30分も待たされたよ。
ヒイラギ
何かあったのかと思って、心配してたんだよ。
カエデ
ゴメンね～。でも、二人とも大人だし、何とかなるかなって思ってさ。
カエデ
後で連絡しようと思ってたの。
モミジ
え～、何それ。
ヒイラギ
真面目に待ってた私たちがバカみたいじゃん。
カエデ
いや、だからゴメンって。何回も謝ってるじゃん。
カエデ
何度も同じ事言わせないでよ！
モミジ
じゃぁ、とにかくキャンセル料7000円はちゃんと払ってね。
ヒイラギ
モミジが立て替えてくれたんだよ。
ヒイラギ
事前に連絡をくれたら、払う必要のない料金だったんだから。
カエデ
ん～分かった。今度返すわよ。お金がある時にね。
モミジ
約束ね。
カエデ
はいはい。
～数日後～
モミジ
スギヤマ君、聞いてよ～。
スギヤマ
モミジ、どうしたの。何かお悩みか？
モミジ
カエデの事だよ。彼女、いつも集まりに遅刻するでしょ。
モミジ
この間、イタリアンを一緒に食べに行く約束をしていたんだけど、
モミジ
当日になってドタキャンされたの！しかも連絡ナシで。
スギヤマ
マジか。もしかしたら、先週の金曜日の事か？
モミジ
あれ？スギヤマ君は何か知っているの？
スギヤマ
知ってるも何も。
スギヤマ
先週の金曜日、カエデが合コンに参加してたぞ。
モミジ
え！？ほんとに？
スギヤマ
ホントだよ。だって合コンの幹事、俺だったもん。
スギヤマ
大企業に就職した先輩に、合コンしたいって頼まれたからさ。
モミジ
そうなんだ。
スギヤマ
けど、モミジとヒイラギは彼氏がいるじゃん？
モミジ
うん。
スギヤマ
だから、フリーのカエデに声を掛けたんだけど…。
スギヤマ
モミジたちとの約束をドタキャンしたとは思わなかったよ。
モミジ
スギヤマ君が悪いわけじゃないよ。
モミジ
カエデ、そんな事は一言も言ってなかった。
モミジ
ドタキャンの理由も教えてくれなかったし、食事のキャンセル料もまだ貰ってないわ。
スギヤマ
マジか。カエデってそんな性格だったっけ？
モミジ
遅刻癖があるのは前からだったけど、完全にすっぽかされたのは初めて。
スギヤマ
あと、合コンでの話だけどね。
スギヤマ
カエデ、大企業勤めの先輩と一緒に、消えてったぞ。
モミジ
え。それってまさか…。
スギヤマ
一緒に帰って行っただけなら問題ないんだ。
スギヤマ
けど、その後で他の先輩から聞いた話で、ちょっと驚いたんだけど。
スギヤマ
その先輩っていうのが、最近結婚したばかりなんだよ。
モミジ
えええ？
スギヤマ
しかも、奥さんが妊娠中らしい。
モミジ
らしい、ってスギヤマ君も知らなかったの？
スギヤマ
知ってたら合コンに呼ばないよ！そこまで俺もアホじゃないって。
スギヤマ
奥さんが妊娠中で、全然相手してくれないから女の子と遊ぶ気で合コンに来たんだって。
モミジ
信じられない。本当にそんな奴がいるんだね。
スギヤマ
カエデが、そんな男に引っかかったみたいだから、心配してたんだけど。
モミジ
うーん。でも連絡なしでドタキャンしたカエデも悪いよね。
モミジ
ちょっと気が合ったからって、すぐ2人きりになっちゃうのもどうかと思う。
スギヤマ
女子は厳しいなww。
スギヤマ
俺、カエデにその事を言おうかどうしようか迷ったんだけど。
モミジ
うーん。揉め事に巻き込まれるだけじゃない？
モミジ
そのうち、この男ヤバいって気付くでしょ。
スギヤマ
そうかな。
モミジ
まぁ、言える機会があったら、私からも言っておくよ。
スギヤマ
そっか。俺のほうが話を聞いてもらった感じだな(笑)。
モミジ
お互い様ね。それじゃ、また。
スギヤマ
またな。
～それから1か月後～
モミジ
カエデ、そろそろ例のキャンセル料を返してくれない？
モミジ
もう1カ月も経つし、私も結構ガマンして待ったよ。
カエデ
も～そんなにお金が大事？
カエデ
あのさ～、私も色々お金が必要なのよ。
カエデ
彼氏が出来たから、デートに出かけるのに、おしゃれもしないといけないし！
モミジ
あぁ、彼氏が出来たんだっけ？
カエデ
そうそう。すごくイケメンなの！しかも大企業のエリートサラリーマンだよ。
モミジ
へぇ～。
カエデ
だから、なんとかして結婚したいのよ！
カエデ
他の女に取られる前に、どうにかして婚約までこぎつけたいの。
モミジ
本気だね。
ヒイラギ
けど、まだ私たち大学生だよ。
ヒイラギ
まず就職活動のほうが大事じゃない？婚活よりもね。
カエデ
モミジもヒイラギも、呑気だね。
カエデ
いい？男性はね、少しでも若い女の子と付き合いたいのよ。
ヒイラギ
そうかなぁ？私の彼なんて、年下で大学1年だけど。
ヒイラギ
何も違和感は無いよ。
カエデ
そりゃ、私たちまだ若いもん。今は問題が無いけどね。
カエデ
ぼーっとしてる間に、どんどん年を取っちゃうんだよ。
カエデ
そうしたら、周りの男性が相手にしてくれなくなっちゃうでしょ。
モミジ
ごめん、そうなった時の想像がつかないや。
モミジ
それに今は、婚活より就職活動のほうが大事。
ヒイラギ
私も。カエデ、そろそろ現実に目を向けた方がいいよ。
ヒイラギ
ゼミの同期は、殆ど就職先が決まってるよ。
モミジ
私たちも、この夏の間に内定もらったもんね。
カエデ
私は、今の彼と結婚するの！
カエデ
だから就活は必要ないわ。だって、結婚したら専業主婦になるもん。
モミジ
えっ？どうやって結婚するの？
ヒイラギ
そうだよね。結婚出来るの？
カエデ
何を言ってるのww。
カエデ
だって、彼も「いつか結婚したいねって言ってくれてるよ。」
カエデ
それってプロポーズだよね。
モミジ
「いつか結婚したいねって彼が言ってるんだね？」
ヒイラギ
その台詞ね…。
モミジ
ダメな男が良く使う台詞だね。
カエデ
ダメな男って！彼の事を知らない癖に、そんな事言わないでよ。
モミジ
その彼氏ってさ
モミジ
私たちとの食事会をドタキャンした日に参加した合コンで知り合ったんでしょう？
カエデ
な、なんでそんな事を知っているの。
ヒイラギ
同じゼミの仲間が何人か参加していたんでしょ。
モミジ
だから、私たちも聞いたのよ。
モミジ
合コンで、社会人の先輩にカエデがお持ち帰りされたって。
カエデ
やだ…知っていて黙ってるなんて、性格悪くない？
モミジ
性格悪いのはどっち？
モミジ
食事会より合コンに行きたいからって、連絡ナシでドタキャンした挙句、
モミジ
キャンセル料も渋ってる自分はどうなのよ。
カエデ
う…。
モミジ
あとね、友達だから一応教えてあげる。
カエデ
何を？
モミジ
カエデの彼氏って、サークルの先輩だったシラカバさんでしょ。
カエデ
そうだけど…。
モミジ
シラカバさん、結婚したばかりなんだって。
カエデ
へ？
カエデ
結婚って…嘘でしょう？だって聞いてなかったよ。
モミジ
嘘じゃないよ。同じ合コンに参加してた人たちも、後から知ったんだって。
モミジ
カエデ、騙されてるよ。
カエデ
そんなバカな！だって土日も普通にデートしているし。
カエデ
この間なんて、一緒に旅行もしたんだよ！
ヒイラギ
シラカバ先輩、奥さんが妊娠中で悪阻が酷くて、実家に帰ってるんだって。
ヒイラギ
だから今は、時間があるから女の子と遊べるんだよ。
モミジ
クズだよね、その男。
ヒイラギ
最低の男だね。
カエデ
そんなぁ…私、本気だったのに。
カエデ
この1カ月は一体何だったの…。
ヒイラギ
あの日、私たちとの約束を守ってくれたら、
ヒイラギ
そんな下らない男に引っかからずにすんだのに。
モミジ
カエデと話せたら伝えようと思ったけど、カエデの方が私たちを避けてたよね。
カエデ
だって、顔を合わせると「キャンセル料を払えって迫るんだもん。」
カエデ
つい、メンドウで避けちゃった…。
モミジ
面倒だからって避ける事はないでしょ。
カエデ
ごめんなさい…。
ヒイラギ
私たちの事はいいからさ、その彼氏と話し合ったら？
モミジ
まぁ、別れるの一択だと思うけど。
カエデ
えーん。泣くしかないわ…。
モミジ
まぁ、別れ話は辛いだろうけど…
ヒイラギ
愚痴を聞くだけなら、また付き合ってもいいし。
モミジ
約束を守ってくれたらね！
カエデ
うん…ありがとう…。
～後日談～
モミジ
それからカエデは、彼氏と別れたそうです。
モミジ
彼氏「シラカバさんは最初、しらばっくれていたそうですが、」
モミジ
同じサークル仲間からの証言を聞いた事を伝えると、
モミジ
あっさり認めて、謝ってきたそうです。
モミジ
でも既婚者のダメ男に引っかかってしまったカエデは、しばらく落ち込んでいて、
モミジ
私とヒイラギは愚痴に付き合ってあげる事が増えました。
モミジ
でも、すでに大学4年生の秋ですから、あまりのんびりしていられません。
モミジ
カエデもようやく現実に気が付いて、慌てて就職活動を再開しました。
モミジ
そして、冬に入った頃には無事に内定が決まりました。
モミジ
これでやっと3人とも就職先が決まったね、と改めて食事会をセッティング。
モミジ
今度は、カエデもちゃんと約束を守ってくれました。
モミジ
遅刻癖も治ったようです。
モミジ
恋も仕事も慎重にがんばろうね、と3人で誓い合ったのでした！
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
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