屋上の扉を開けた瞬間、鮮やかな青空が目に飛び込んできた。雲一つない青空がどこまでも続く。
ここは少し風が強く、風が頬を突き抜けるように吹き抜けていく。髪がふわりと揺れ、その冷たさが心地よい。
俺を呼び出した男子生徒は屋上の際に立ってこちらを見ている。
男子生徒
そう言って頭を下げる声は少し震えている。
色眼鏡現
男子生徒
俺の問いに対し、彼はすぐには答えなかった。唇をきゅっと結び、悪戯っぽく目元を細める。そして、軽く小首を傾けて俺をじっと見つめる。
男子生徒
声を震わせながら言葉を紡ごうとする彼に、自然と息を呑んだ。
男子生徒
色眼鏡現
一瞬、時間が止まったかのようだった。思わず困惑の声が溢れ落ちる。彼の口から出た言の葉は俺の予想を遥かに超えるものだった。 俺はすぐに返答を考えることができず、再びの沈黙が流れる。
俺の中には二つの葛藤があった。まず第一に、俺の彼は教師と生徒という覆えしようのない関係性にある。恋仲になると言うのはいろいろと問題が潜伏していると言えよう。
次に、俺は男で彼もまた男だ。現代の日本ではまだまだ男女の恋愛のようにそう簡単にはいかない。
そんなの言い訳に過ぎないのかもしれない。それでも、俺には彼を守るための言葉を見つけることしかできなかった。
「ごめんなさい」 この六文字を言って断るのは簡単だ。しかし困難だ。 彼の勇気を無碍にしても良いものか。 俺は教師としてなんと声をかけるべきなのだろうか。
色眼鏡現
色眼鏡現
男子生徒
男子生徒の顔がパァッと明るくなった。俺は今からこの顔を曇らせなければならない。
色眼鏡現
男子生徒
色眼鏡現
色眼鏡現
すまない。すまない。 心の中で何度も謝りながら、頭の中に言葉を浮かべては吐き出す。
男子生徒
色眼鏡現
男の子は酷く取り乱した様子で、息を荒立てている。だけど、俺にはただひたすらに謝ることしかできない。
色眼鏡現
男子生徒
彼の震えた声が耳に残る。その背中がぐっと跳ねるようにして動き、俺の横をすり抜けて走り去っていく。
色眼鏡現
咄嗟に手を伸ばそうとしたが、足が動かなかった。振り返ることさえできないまま、重々しく屋上の扉が閉まる音だけが響く。
あの時、なぜ追いかけなかったのか。なぜ、言葉をかけられなかったのか。
次の日
彼は自室で発見された。
もう二度と動くことのない
冷たい身体とともに
コメント
1件
一体どうなってしまうんだ! 少しでも気になったら応援してね!!