どれ程歩いていたのだろう
そんな事すらもう思い出せない
ひたすら長く暗い道を
〝見覚えのない知らない誰か達〟と
ずっと一緒に歩いてる
道の先には直視できないほど眩しい光が輝いていて
それに引き寄せられるように
ただ歩いていた
「私…何してるんだろう…」
いつからここにいるのかも
どうやってここに来たのかも
何故か思い出せない
ブブッ
「え?」
さっきまで無かったはずのスマートフォンが
私の右手に握られていた
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左側を見ると
私と同じ歳くらいの女の子が
私に並んで歩いている
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その子の言う通り私の左手首からダラダラと
赤黒い血が垂れ流されていた
「っ…!!」
その手の傷の痛みより
突然の激しい頭痛に思わずしゃがみこんでしまう
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その子は私と一緒にしゃがみこむと
ポケットから真っ白なハンカチを取り出し
私の手首にぐるぐると巻き付けて止血をしてくれた
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手の傷の痛みだけでなくて
死ぬほど痛かった頭痛も不思議と消えていた
瑞希
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瑞希
瑞希
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瑞希
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その子は険しい表情で眩しい光の方向を指差す
瑞希
瑞希
瑞希
瑞希
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光とは真逆の
真っ暗な方向に手を引かれ向かっていく
瑞希
瑞希
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〝怖い〟
〝行きたくない〟
瑞希
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瑞希
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瑞希
瑞希
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瑞希
瑞希
その子はちょっと悲しそうに笑うと
少し歩く速度を速めた
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瑞希
瑞希
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暗闇を進んでいくたび
得体の知れない何かが
私を
私の心を
締め付ける
瑞希
瑞希
瑞希
瑞希
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瑞希
足元がふらついて
真っ直ぐに歩くことが出来ない
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その子は1度立ち止まると
んしょ…っと私をおぶってくれた
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瑞希
瑞希
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ハンカチの巻かれた手首を
とんとん…と叩いて
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瑞希
瑞希
瑞希
なんでか分からないけど
涙が止まらなかった
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目の前の暗闇がほんのりと明るくなるほど
背後の眩しい光がものすごい速さで迫ってきていた
周りにいた〝見知らぬ誰か達〟が
その光にどんどん飲み込まれていく
瑞希
瑞希
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瑞希
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この子…なんか懐かしい
少し長い間
2人でずっと一緒にいたような
そんな気がした
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降ろされた目の前には
底の見えない真っ暗な崖のような場所が広がっていた
瑞希
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瑞希
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瑞希
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瑞希
後から蹴飛ばされて
崖下へ落ちてゆく
「あ、あなたの名前!!」
「まだ聞いてないよ!」
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その子も
光の中へ消えていった
目を閉じてても分かるほど眩しい光に目をくらませながら
ゆっくりと目を開ける
「あれ…ここ…」
病院のベットに横たわっていて
周りには父と母が
驚いた表情で私を見つめていた
「このバカっ…!」
涙声の母が抱きついてくる
戸惑いながらも私も抱き締めると
私の左手首にハンカチがぐるぐると巻き付けてあるのに気が付いた
「……」
「ねぇお母さん」
「なに…?」
「瑞葉って知ってる?」
コメント
6件
なぜ主人公は妹を覚えていなかったのか、なぜ目覚めてから名前がわかったのか、気になりました。嫌な記憶とともに封印してたのかな…? それがどんな記憶か、なぜ生と死の狭間で出会ったのか、何があったのか…いろいろ想像させられる作品でした…私、気になります…笑
妹は死んじゃったのかな...
感動です。本当に好きですこのお話。妹ちゃん..............😢😢