高校生の頃、バンドを組んでいた
夢は武道館だなんて語っていたけれど
そんなのは子供の戯言のようで
私達は解散して、私は卒業後にサポートギターとして活動をしていた
海中 紗希
煙を口から吐いて夜空を見上げる
田舎にいた頃と比べてここは星があまり見えない都会
1人で都会を出てきてもう3年
成人もしてから酒も煙草も暇さえあれば摂取するようになった
こんな姿昔のバンド仲間にも親にも見せられないな
海中 紗希
海中 紗希
ライブハウスの裏口
ドアノブに手をかけたその時
伊月 美希
海中 紗希
懐かしい声に振り返ると
そこには昔バンドを組んでいて
そして
密かに思いを寄せていた彼女が立っていた
海中 紗希
海中 紗希
伊月 美希
伊月 美希
彼女は少し怒った表情で
でも、少し安心したように私の腕を掴んだ
伊月 美希
海中 紗希
伊月 美希
海中 紗希
伊月 美希
海中 紗希
海中 紗希
伊月 美希
海中 紗希
海中 紗希
海中 紗希
伊月 美希
掴まれた腕に力がこもった
伊月 美希
海中 紗希
振り払って私はドアノブを回した
バタンっ
柚子
楽屋に戻るとそこのスタッフとして働いてる2個上の柚子さんがいた
柚子
海中 紗希
海中 紗希
海中 紗希
柚子
柚子
海中 紗希
海中 紗希
柚子
柚子
海中 紗希
柚子
海中 紗希
ギターを掴んでストラップを肩に掛けた
柚子
海中 紗希
柚子
海中 紗希
海中 紗希
柚子
柚子
こんな会話するのは、柚子さんと私は一緒に住んでいるからだ
シェアハウスをしている 都会じゃ1人で部屋を借りるよりシェアハウスした方が色々と楽なのだ
ステージにたって少し経てばライブハウスの熱はどんどん上がっていく
こんな時
時々高校の頃を思い出す
伊月 美希
彼女の声に応えるように会場中に声が響く
海中 紗希
少し左斜めから見る彼女は凄く綺麗で、輝いてて
その顔が好きで、私はこの位置から見るのが大好きだった
海中 紗希
その綺麗な顔から放たれる綺麗な透明な声
私はその全てに惚れていたんだ
あの日まで
バンドメンバー
伊月 美希
バンドメンバー
最後の文化祭
私達は来年からバラバラになる
ずっと一緒だと思ってた
だけど
バンドメンバー
伊月 美希
バンドメンバー
伊月 美希
海中 紗希
去年の文化祭ライブが何故かバズってボーカルをやっていた彼女は顔も良いからだろう
有名事務所にスカウトされて、卒業したらそっちの道へと進む
解散理由は正直それだけじゃないけど、それが大きいと思う
バンドメンバー
バンドメンバー
バンドメンバー
海中 紗希
海中 紗希
バンドメンバー
伊月 美希
海中 紗希
海中 紗希
バンドメンバー
バンドメンバー
海中 紗希
伊月 美希
海中 紗希
バンドメンバー
海中 紗希
海中 紗希
海中 紗希
柚子
海中 紗希
海中 紗希
柚子
海中 紗希
柚子
海中 紗希
柚子
柚子さんがテレビを付けると音楽番組の途中だった
すると
テレビ
柚子
柚子
海中 紗希
さっき会った彼女が映っていた
今では彼女は超人気アーティスト
私とは天と地との差がある
テレビ
柚子
海中 紗希
昔から聴きなれた歌声
昔は好きだった
今は
嫌い
柚子
海中 紗希
気がつけば柚子さんは私の手を握っていた
海中 紗希
海中 紗希
柚子
海中 紗希
柚子
海中 紗希
腕を伸ばした柚子さんを抱き抱えた
柚子
海中 紗希
私達は別に付き合ってる訳ではない
ただそういう事がしたい時 相手がいない場合知ってる人だったら安全だって事だ
酔った勢いで一線越えた時から習慣化している
柚子
海中 紗希
柚子
海中 紗希
柚子
この行為に感情なんて一切無い
マネージャー
伊月 美希
マネージャー
マネージャー
伊月 美希
伊月 美希
折角会えたのにそっけなかった
やっぱり怒ってる…よね
伊月 美希
バンドメンバー
バンドメンバー
伊月 美希
夢だった歌を歌えるお仕事
それが出来る道が私に開かれた
だけど、それはこのバンドを抜ける事を意味していた
バンドメンバー
バンドメンバー
バンドメンバー
バンドメンバー
バンドメンバー
海中 紗希
他の2人は道を自分で開けていたが
紗希だけは黙って1人下を向いていた
伊月 美希
伊月 美希
海中 紗希
海中 紗希
海中 紗希
バンドメンバー
バンドメンバー
バンドメンバー
海中 紗希
バンドメンバー
海中 紗希
伊月 美希
海中 紗希
伊月 美希
伊月 美希
伊月 美希
海中 紗希
伊月 美希
伊月 美希
海中 紗希
海中 紗希
海中 紗希
伊月 美希
伊月 美希
海中 紗希
海中 紗希
海中 紗希
海中 紗希
海中 紗希
伊月 美希
彼女が言ったのは決して嫉妬とか、そういうのじゃない
分かってる
ずっとあのメンバーでバンドをしようと
バンドに誘った張本人の私が
抜けると言ったから
怒ってるんだって
海中 紗希
海中 紗希
伊月 美希
彼女は少し空を見上げた
海中 紗希
海中 紗希
海中 紗希
伊月 美希
伊月 美希
海中 紗希
海中 紗希
伊月 美希
伊月 美希
そのまま、彼女は振り向かず帰路を歩いていった
伊月 美希
卒業した後、私も上京してアーティスト活動を始めた
だけど、紗希は見つからなくて
どこに行っても、見つからなかった
だけど、あの日
現場の休憩中に抜け出したあの日
やっと、やっと彼女を見つけた
海中 紗希
伊月 美希