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ジリリリリリリ
目覚まし時計が鳴っている。
太陽の光が刺しこみ
目を突き刺すような
痛みに襲われ、
ようやく
ぼんやりとした目を
なんとかあける。
額に冷や汗が垂れる。
呼吸は荒く、
いい寝起きとはとても
言えない。
それに僕が寝ていた場所は
床だ。
そりゃあ良いとはとても言えない。
ほっと胸を撫で下ろす。
「人が崖から落とされた夢」
そして自分も崖から落ちた夢。
息が出来なくて、
もがいても、もがいても
深海に落ちていくだけ。
思い出すだけで
頭が痛くなってくる。
目覚まし時計を見る。
AN11.00
そんなに寝てたなんて
考えられなく
いっきに目が覚めた。
つじつまがあう
朝ならこんなに光が痛くない。
でも昼なら光は痛い。
女性がよく言う
「日焼けしてる感覚」
そんな感覚に近い。
でもそんなことを
考える余裕はない
俺は早足で支度を始めた。
バックには
現金が入った財布。
どれほど万と書かれた札が
入っているのだろうか。
それと
水のペットボトル。
ライターと煙草。
そして
壊れた護身用のナイフ3本。
ほぼ必要最低限のものだけ。
身支度では
黒のパーカー。
だぼだぼのズボン。
少し寂しいな。
そう思いながらも
その気持ちを隠すように
深くフードを被った。
そして一言
俺はそう言い
部屋をあとにした。
家具がないリビング。
テレビもカレンダーも
ゴミ箱もない。
掃除はしてあるおかげで
綺麗だ。
でもそんなリビングを見ると
心が虚しくなる。
唯一聞こえるのは
自分の呼吸音だけ。
静寂というものなのだろうか。
だが時間だ。
僕は一言
そう言い残し
このアパートを去った。
多くの人だ。
おそらく
この国は終わりだからだろうか。
一年も持たないだろう。
こんな田舎な国
奪ってどうするのだろうか。
どうせ勝戦国の植民地になる。
そんなの言ったら非国民だろうな。
でも僕は
すでに非国民だから。
ここの人ではないから。
でも3年住んでた国だ。
「助けてあげたい」
持っても無駄な情。
僕は感情を押し殺した。
ポッポー
まもなく列車が到着します。
そろそろ列車が来るみたいだ。
僕は列車に乗り、
この国をあとにした。
強い日差しが僕を刺す。
雲ひとつない
そう錯覚させてしまうほどの
清々しい晴天だ。
僕はバックから
煙草とライターを取り出した。
カチッ
火を付けて煙草を吸う。
すぐに咳が込み上げてきた。
僕は喘息持ちだ。
煙草は大人のもの。
僕は今年18歳。
もう大人になったよ。
総統様。
でも僕はまだ煙草を
吸えないんですね。
「子供は煙草は吸えないよ」
「吸えるようになるのは
18歳、大人になってからだよ」
優しく、
いろんなことを教えてくれた
総統様。
仲間達。
でももう
仲間には戻れないですよね。
理由は単純に
なんだっけ。
なんで裏切ったんだっけ。
忘れてしまった。
記憶が白く塗りつぶされているように
何も思い出せない。
でも暗い過去を思い出しても
仕方がない。
ただ
忘れてしまった記憶から
声が聞こえる。
手が震える。
まもなく終点です
列車が着いたようだった。
僕は監視にバレないように
1人呟いた。
そして僕は
''貨物列車"を
あとにした。