ガヤガヤ
貨物列車から出たあと
僕はバレないよう
身を隠しながら
街へ出てきた。
バレたら即刻処刑。
敵国への侵入だ。
久々の感覚に
懐かしんでいた。
しかし人が多い
この人の多さの中で
目的の店を見つけるのは
大変だろう。
どっかの心優しい人が
声をかけてくれると嬉しいが
ふと我に返る。
いきなり知らない人に
掛けられた。
その人はとても紅い瞳で
落ち着いていた。
何故か怖い
どこか不審がっている様子だ。
それはそうだろう。
フードを深く被った
挙動もおかしい人間を
疑わないわけがない。
とても心優しい人だ。
僕はそう思った。
次は僕の番だ。
そして、口を開き始める。
淡々と嘘を吐く。
嘘を吐くことなんて
久々で
少し胸が躍っていた。
大丈夫か、心配になった時
それはそれは平凡な
答えが返ってきた。
とても面白くない。
総統様と同じだ。
でもなぜだろう。
少し昔を懐かしめる。
置いてかれている。
先を急ごうと
僕は駆け足で
その人についていった。
チャリンチャリン
とても平凡で
どこにでもある武器屋だ。
家の作り。
国民の話し方。
全てが懐かしい。
夢を見ていたように
忘れていた記憶に
現を抜かしてしていた僕に
一人の男性が声をかける。
また紅い瞳。
少し荒っぽい性格の人だな。
口を開こうとした時
もう一つの声が僕の口を遮った。
今思うと
単純すぎる理由だ。
本当は
どうでもいい。
でも
やらなくてはいけないものがある
だからこの場に戻った。
どんな嘘でも
信じさせる。
バレてはいけない
心に言い聞かせる。
沈黙が
胸を刺す。
予想内の答えだ。
全て
あの頃に使ったもので
状態もあの頃のまま。
三年だ。
三年も放置してたんだから
そりゃそうだろう。
店長さん?らしき人は
そう言い残し
裏へ行った。
僕は淡々と
言葉を返した。
そして僕は
静寂な空気を
噛み締めた。
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