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ガヤガヤとうるさい繁華街を歩く
特に目的は無いが、家で独りっきりになるよりも幾分かマシだ
支倉 秦司(はせくら しんじ)
俺、支倉 秦司は今、物凄く調子が悪かった
この世界にはダイナミクスからなる男女以外の性が存在する
それが"Dom"と"Sub"だ
Domは"支配したい"欲求が強く現れる
逆にSubは"支配されたい"欲求が強い
まれに"Switch"と呼ばれるDomとSub両方を兼ね備えた性の人も居るとゆう
これらの性を持つ人口の割合は少なく、一般的には"Normal"、つまり普通の男女が人口のほとんどだ
第二次性を持った人間は"Play"を定期的に行わなければ、体調不良や精神的な疲労により最悪の場合死に至る事もある
PlayとはDomとSubの信頼関係からなる欲求の解消行為を意味する
Domが発する"Command"にSubが従う事でPlayは成立し、上手くPlayが出来ればいつでも絶好調でいられるって訳だ
欲求の大きさや方向性は人それぞれで異なる為、相性の良いパートナーを見つける事が円滑に生きていく上でとても重要である
この調子の悪さがPlayを行っていないからなのは分かっている
だが相性の良いパートナーなんて、そう簡単に見つかるもんじゃない
それ以前に、俺は自分の性を診断された時から1度も受け入れた事など無かった
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
"Sub" それが俺に診断された第二次性だった
目的が無いとは言っても、結局いつもの場所に足を運んでしまった
ここは2年程前から通っているゲイバー
今では数いる常連客の1人になっている
御田 誠(みた まこと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
カウンター席に向かうと、いつもの様にこの店の"ママ"が出迎えてくれる
適当に空いている席に座った所で、マコちゃんが怪訝そうな顔でヒソヒソと呟いてきた
御田 誠(みた まこと)
御田 誠(みた まこと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
御田 誠(みた まこと)
御田 誠(みた まこと)
御田 誠(みた まこと)
御田 誠(みた まこと)
つんつんと頬を突っつく指を、俺は鬱陶しいと払い除けた
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
御田 誠(みた まこと)
マコちゃんは膨れっ面で信用ならないと疑いの目を向けてくる
俺は「何でも良いから飲み物頂戴」とマコちゃんに頼みながら、いつもと同じ答えを口にする
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
御田 誠(みた まこと)
御田 誠(みた まこと)
御田 誠(みた まこと)
マコちゃんは慣れた手つきでカクテルを作り上げ、コースターと共にすっと俺の目の前に提供してくれる
グラスの中の液体は眩しいくらいに澄んだ青色をしていた
御田 誠(みた まこと)
御田 誠(みた まこと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
俺は聞く耳を持たぬ精神でマコちゃんの言葉を切り捨てていく
心配してくれるのは純粋に嬉しいが、俺はどうしてもSubとして生きていくのが嫌だった
世の中、偏見を持つ人が少なくない
俺もその1人だと分かってはいる
けど、それでもSubは受け入れられない
虐げられて喜ぶ性なんて、そんなの普通に気持ち悪いだけだ
俺は目の前に置かれた青い液体に手を伸ばす
"Stop"
支倉 秦司(はせくら しんじ)
静かとは言えない店内の中で薄らと聞こえたその言葉に、俺はピタッと動きを止めた
ザワザワと胸が騒ぎ始め、冷や汗が額に滲んでくる
それと同時に、ふわふわと力が抜ける感覚が全身に巡っていく
御田 誠(みた まこと)
マコちゃんが誰かに挨拶をしている
カタンと俺の隣に座った奴を見たいのに、俺の体は一向に動かない
支倉 秦司(はせくら しんじ)
段々と呼吸がしづらくなってきた
グラスへと伸ばしていた手がブルブルと震え出す
御田 誠(みた まこと)
ダメだ、限界だ、もう正気を保っていられない
不安で、怖くて仕方ない
ちゃんとCommandを聞いているのに、誰も俺を見てくれない
誰も俺を褒めてくれない
誰も俺を
お久しぶりです、誠さん
支倉 秦司(はせくら しんじ)
この声だ
間違いない、俺のDomの声だ
隣に居る
俺のDomは隣に座っている奴だ
見たい、顔が見たい、振り向きたい
早く、早く褒めてくれ
早く俺を褒めてくれよっ!
"Look"
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
無害そうな笑顔を向けるその男は、遠慮なく俺の頭を撫でながらそう告げたのだった
ーNEXTー