愛を知らない君へ

頭痛い…

寝ちゃったぶん取り戻さないと

まためんどくさいのが来た…

ここで逃げると

それよりも面倒になりそうだし

恭平…？

あぁ…渋谷くんのことか

優しいかって言われたら

別にそんな感じしないけど

勘違い…？

貧乏…ねぇ

それしか言うことないのかな

その瞬間夏川ゆまは

手に持ってたミルクティーを

彼女は私に浴びせた

最悪…

1着しか持ってないのに

はー…

きっと夏川ゆまもそのつもりはなかった

でも手に持ってたのが運悪く

私にかかった

事故と言えば事故

まぁ彼女にとってはラッキーなのかも

今日は…

最悪な1日

もう帰ろ

とは言っても…

帰る場所は無いから

あそこに行くことになるんだけど

さすがに甘ったるすぎる匂い

あのコテージには狭いシャワー室がある

ジャージも手に持ってたから

濡れちゃったし

とことん最悪

外は最近めっちゃ暑い

シャワー入ろ

案の定

出なかった…

私は冷たいシャワーを浴びざるを得なかった

冬にあれじゃ終わりだね

服は…

一応洗ったけど

まだびしょ濡れだし

乾くまではキャミソールでいればいっか

しまった…

忘れてた

今の私の体が

ボロボロだってこと

確信をつかれて

動揺した

初めて誰かにバレてしまうかも

そう思って心臓がバクバクした

不機嫌そうだけど

こうやってジャージを貸してくれる

本当にこの人は素直じゃない

まぁ自分が言えることじゃないか

買い物？

にしても…

ミルクティーがかかるなんて

結構シミになりそうだけど

ちょっと寝ようかな

勉強する前に

英の冷たい指が

私の腕をなぞる

私は人に触られるのが嫌い

だから渋谷くんに触られた時

拒絶反応がでた

でも今は…

英は…

鍵…？

そういえば体育で倒れたんだ私…

あれ

クラスでその話が

意外と頑固なんだよな

めんどくさいし

行かなくていいか

こんなあちいのに持久走なんか

いつの時代だよ

2階の渡り廊下から

グラウンドがよく見える

勉強はできるけど

運動は苦手なんだな

次に見たあいつは

倒れてた

その後渋谷に運ばれて行った

その時

いや…俺があの場にいたとして

俺は楠木を助けたか？

楠木に悪いイメージをつけたくない

そう思って助けないかもしれない

そんなことを考えてるうちは

俺たちは住む世界が違うから

人とは交わっていけないから

そう思うことしかできない

そう…思ってたのに

気づいたら体が動いてた

あいつ水なら飲むか

寝不足もなんだろうな

あいつの事だし

枕元に置いとけば気づくか

やべ…起こした？

あそこで楠木に会った時

何となく察した

多分きっと楠木は

家に帰れない理由が

親だってこと

とか言いながら

振りほどけないのが

俺なんだよな

そろそろ行かないと

渋谷が来そうだし

もうこんな時間か…

多分英は

嫌なんて思ってない

きっと

そう思うから

意地悪で聞いた

正直

私には怖いって感情が

ほぼない

だから「大丈夫」なんて言うのは

簡単なこと

だけど

すこし

甘えてみたかった