5月、とある大学の食堂にて
丈 く ん .
は っ す ん .
丈 く ん .
は っ す ん .
丈 く ん .
笑いながら失礼なことを言うこの男は
藤原 丈一郎 20歳
コミュニケーション能力がずば抜けて高く 誰とでもすぐに仲良くなれる 入学当初、友達を作る気がなかった俺にも ガツガツ話しかけてきていつの間にか 大学に居る時は一緒に行動するようになった 因みに早生まれの20歳だが 一浪していてまだ2回生
大 吾 .
俺は普段叔父さんの税理士事務所で バイトをしている 特に確定申告の時期は忙しくて 大学から直接通うことが多い 今回のこの家庭教師のバイトは 叔父さんのお得意さんの社長さんが 新しく始めた事業の1つで 講師が集まるまでの間、 条件付きで手伝うことになった (因みに無理にお願いしてるからと 給料はめちゃくちゃ良い)
は っ す ん .
丈くんの言葉に確かに、と頷くのは
大橋 和也 19歳
通称はっすん 俺と丈くんの1個下やけど ストレートで入学してるから同じで2回生 ちょっと日本語が怪しいところがあるけど 裏表がなく誰に対しても優しくて 周りを癒す愛されキャラ 入学式の時にたまたま隣の席で それからずっと一緒に居る
は っ す ん .
そして大ちゃん、と呼ばれたのが俺
西畑 大吾 20歳
高校生の時に1年間海外に留学して 帰ってきてから1学年やり直しているため 大学はストレートで入ったものの2回生
俺らはいつも大抵この3人で過ごしている
丈 く ん .
は っ す ん .
俺が家庭教師のバイトを始めたことを この2人がやたらと気にするのには理由があった
俺は昔から周りの人に好意を持たれやすく 割としょっちゅう告白される でもそもそも他人に興味が無い俺は 正直恋愛よりもやりたい仕事に就くために いくつまでにこの資格を取ろうとか 自分の人生設計で頭がいっぱいで 誰かとお付き合いすることはなかった
そんな俺の姿を近くで見てきた2人は 恋愛に興味津々なお年頃の中高生と関わるバイトは 何かとトラブルになるんじゃないか、と 心配してくれているようだった
大 吾 .
これまで恋愛とは無縁の20年間を過ごしてきた俺は 誰か1人を特別だと思ったことは無いし、 恋人が欲しいと思ったこともない 多分この先も恋愛することは無いだろうと思う ...そう、思っていた 少なくともこの時までは
ーその瞬間は唐突にやってきたー
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