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結衣
早朝の遺言
義父
義父が良い親らしく言葉を放つ
母
結衣
母
母
結衣
私はその場から逃げるようにドアを開ける
何時だってこのきしんだ音を聞くのは今日で終わりになると願っている
モブ
モブ
バカバカしい。
モブ
後ろから聞こえる笑い声から逃げるように足を早める
笑い声ですら自分に向けられた銃声のようだ
気のせいだ。
そうだ、きっと気のせいなのだ
モブ
モブ
教室に飛び交う花束は私には投げられない
きっと。これからもずっと。
海斗
クラス全体にその声が響く
モブ
モブ
始まりました。カイトのマジックショー。
ほんと。こんな奴が隣とか埒が明かない。
モブ
モブ
モブ
モブ
私へ投げられた在り来りな言動に思わず微笑する
否、微笑することしか出来なかった
また少しばかり整った顔立ちのせいで誤解が生まれることに優越感を抱く。
海斗
アガサ・クリスティーの本を読むものはこのクラスには1人しかいない
そう。私だ。
海斗
冷たい空気が漂ってくる
結衣
私は薄っぺらい言葉を舌に絡めた
否、絡まされた
モブ
モブ
今日は最悪な日だ
モブ
教室が一斉に鳴きやむ
海斗
青子
海斗
モブ
海斗
青子
私はどうしよう。私も文化部だ。
しかしなるべく目立つことはしたくない
ここで空気をよまなければ人間価値などないと思う。
だが、それで2人に迷惑はかけられない
結衣
声が途中で枯れた
教室が再び静まり返った
終わった──────
死刑。周りの目がそう下す。
先生
沈黙を破るように先生が言い放つ
今日は本当に最悪な日だ。
海斗
馬鹿なのかこいつは。
青子
私は頭の中が真っ白になった。
断りたい。断れない。頭が追いつかない
しかしここで信頼を取らなければ。それこそ人間価値がない。
結衣
私は優等生だ。
そう。私は優等生。
そう自分に言いきかせながら2人の後ろを歩いていった。