日帝さんの字はかなり 達筆で、やはりこの国は 戦時中に生きていたの だと嫌でも実感させられます。
日本
私は、何の悪気も無しに その手帳の内容を 読み進めていきました。
…嗚呼、日帝さんが書いた 原文のままだと現代の 皆様には伝わらないかと 思いますので私の方で 現代語に訳しておきますね。
内容は、こうありました。
『もうお前たちの居ない 世界に嫌気が差した。
周りを見渡しても、もう お前たちの姿は無い。
親も居ない、兄弟も 死んだ。
俺は孤独になったのだと 思わせられた。
でも、最近共に住んでいる 日本とにゃぽんという 俺の後継の国にあたる 二人を見ていたら、 なんだかお前たち二人と 重なってしまうんだ。
にゃぽんの無邪気さは、 空と。
日本の、冷静で時に熱くなる ところは海とよく似ている。
一瞬でもお前たち二人と 重なってしまって、そして 『もうここには居ない』 って再認識させられて 余計に虚しくなる。
そうだ、たまに お前たちの事が夢に 出てくるんだ。
大抵の夢は、お前たちが 死んだ…あの8月の ピカドンのときの 映像だけどな。
それで、お前らは 俺に毎回こう言うんだ。
『陸も死ねば良かったのに』
俺も、そう思うよ。
もしあの8月6日に一人で ヒロシマの航空隊の 指導に行かなければ?
8月9日に、お前が 俺を突き飛ばしたりなど せずに…逆に俺がお前を 突き飛ばしていたら?
お前たち二人は、 生きて今もこの現代に 生きてたんだろうか?
答えは多分Yesで、 俺一人だけが犠牲に なったんだろうと思う。
俺は別に、最期まで あの尊き天皇陛下様の ために命を散らす 覚悟などとうの昔に 出来ていたから死んでも 良かった。
でも、
でも…………
俺を一人だけ残して 逝くなど、聞いて いない』
この部分の文字は、 万年筆で余程強く 書いたんでしょう。
インクが紙に滲み、 さっきまでの文章の 流れるような美しい 文字はどこへやら。
感情に任せて書いた様な… 激しく乱れた文字が そこにはありました。
…続き、読みますか。
『嗚呼、すまない、お前たちを 責めるつもりじゃ無いんだ。
本当に責められるべき なのは、俺だ。
長兄は、弟を守るのが 使命だというのに、俺は お前たちを守り切れず、 不幸にも生き残ってしまった。
本来なら、俺が一番 先に死ぬべき だったのだ。
なのに、お前たちを先に 逝かせてしまった。
もう合わす顔も… 俺には無いな。
お前たちが生きていたという 証拠は、もう俺のこの身 一つとなってしまった。
だから、俺は自殺など しない。 お前たちが生きていた証拠も 全て消し去ってしまう事に なるから。
でも、望むなら
お前たちと
同じ場所に』
日本
思わず手帳を落として しまいました。
ふと、手の甲に 落ちる涙。
日本
袖で涙を拭い、手帳を 拾ってもう一度最後の 文章を見返します。
最後の文章は、 あれでもう途切れて しまっていました。
おそらく書いている 途中に寝落ちして しまったのでしょう。
日本
彼は、罪悪感に 押しつぶされて
『なぜ自分が生き残って しまったのか』 と、自責の念に駆られて いるのでしょう。
日本
ふと言葉が零れました。
深く深く眠る彼の 耳に届くことのない 言葉が部屋にこだまして いくのを感じながら、 ただ呟きました。
日本
今はもう、爆弾の 恐怖に怯える必要のない 令和の時代。
『あの子』が頑張って くれる限り、これから 先の未来も安泰でしょう。
日本
私はそっと、日帝さんの 頭を撫でました。
御国のために、これほど 必死に頑張ってくれた 彼を慰める親類は 今この場には居ません。
だから、せめてもの 慰めとして。
日本
日本
日本
日本
そう言うと、日帝さんが 口角を上げて笑いました。
日帝
きっと夢の中で 海さんと空さんと 遊んでいるんでしょうね。
何となく微笑ましく なりました。
私は寝ている日帝さんを 起こさないようにそうっと 歩き、そのまま障子を 閉めて自室へと戻りました。
鳥のさえずりが 聞こえる。
日帝
俺はふと目を覚ました。
衣擦れの音がして、 いつの間にか背中に かかっていた毛布が 地面へと落ちる。
日帝
帝国軍人たるもの、 寝落ちなどしてしまって 恥ずかしい限り。
令和の世に来て、 精神がたるんでしまって いるんだろうか。
日帝
俺は寝間着の浴衣から 軍服へと着替え、 軍帽もしっかり被って 自室を出た。
日帝
日本
先にだいにんぐに居た 日本が笑顔で挨拶を してきた。
だが、もう一人の日本家の 声が聞こえない。
日帝
そう尋ねると、日本は すまほの画面をこちらに 見せた。
日本
日本
…確かに、すまほの画面を 見るとにゃぽんが笑顔で くれーぷ…?とやらを 持って台湾と共に 写真に写っていた。
日帝
日本
日帝
日本
日本が呆れ顔で 言うものだから、 俺はまぁ…愛想笑いを 浮かべた。
日本
日帝
日本
日本が笑顔で皿を 持ってきた。
…今日も、和食だ。
日本
日帝
日本
日帝
箸を手に取り、 早速鮭に箸を入れる。
口へと運ぶと、 ホロホロと崩れて 大変柔らかい鮭だった。
日本
日帝
俺は意識的に微笑を 浮かべて相槌を打つ。
やっぱり、鮭も味が しない。
俺はもう、何なら 味を感じられるの だろうか?
朝食を食べ終わり、俺が 日本から奪った皿洗いの 仕事をこなしていると、 ふと話しかけられた。
日本
日帝
日本
日帝
日本が何とも言えない 表情で、口を開いた。
日本
その言葉に、思わず手に 持っていたスポンジを 流しの中に落として しまった。
日本
日本が慌ててこちらへと 来たが、俺は少々 放心気味だった。
日帝
考えただけで 吐き気がしそうだ
日帝
日帝
あの米帝を処す 事が出来るかも しれない
…ならば、行かねば。
日帝
日本
目の前で喜ぶ日本を、 俺は笑みを浮かべて 見ていた。
…この笑みは、別に 米帝を殺せる事が 嬉しいわけではない。
ただ…………
日帝
これでもし俺が 死んだとしても別に 後悔はない。
アメリカを殺せるのならば、 それ以上は何も求めない。
日帝
日帝
俺は決してその どす黒い感情を日本に 悟られない様にしつつ、 ずっと笑顔を浮かべていた。
日本
日本
コメント
26件
米帝気をつけてね
Olen pahoillani, voinko saada sinut kuolemaan?