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祖父母の家から帰った後、愛依はわがままを言った。
愛依
真帆
一体何を口にするかと思えば、簪が欲しいだなんて。 強欲でわがままな愛依にはあげたくない。
真帆
父親
確かにそうかもしれない。 綺麗に装飾が施されている。 おそらく、特別に作られたものだろう。 きっと高かったに違いない。
愛依
愛依の手が持っていた簪に伸びてきて掴んだ。
真帆
愛依
パキッ 嫌な音がした途端、愛依は私を恨めしそうに睨んだ。 音がした方向に目をやると、私の手の中で簪が二つになっていた。 刺す部分と飾りで付いていた青リンゴとに分かれていた。
愛依
そんな愛依の声を聞いて私は無性に腹が立ち、家を飛び出た。 夜の道を一人で歩く。 おじいちゃんとおばあちゃんになんて謝ればいいだろうか。 私にプレゼントしてくれたのに壊してしまった。 祖父母の家に行き、中に入れてもらった。
真帆
おばあちゃん
おじいちゃん
祖父母は愛依と両親を攻めてくれる。 それは、今の私にとってすごく嬉しかった。 ピンポーンッ
おじいちゃん
そういっておじいちゃんは腰を上げ、玄関に向かった。
真帆
おばあちゃん
真帆
一体どんな人なんだろうか。 少しだけわくわくとした気持ちで待っていると、おじいちゃんとその後ろから白髪の男性がやってきた。
おじいちゃん
真帆
かなめ
おじいちゃんよりも先に口を開いて、彼は名前を教えてくれた。
真帆
かなめ
27歳には見えないほど若々しい。 見た目だけで言えば高校生ぐらいに見える。
真帆
かなめ
真帆
おじいちゃん
真帆
おじいちゃんの言葉に困惑する。 妖怪ってあの妖怪? けど、妖怪が何でここに?
かなめ
真帆
だって、見た目は普通の人間じゃないか。 でも、確かに妖怪と言ってもおかしくない点はある。 白髪に毛先が緑色で、二重なのに目が細い。
かなめ
真帆
淡い期待を抱きながらゆっくりとかなめくんに向く。 今まで祖父母にしか愛されてこなかったため、どうしても不安になる。
かなめ
優しい声で、甘い瞳でそう私に言ってくれた。 世の女性たちが妖怪の婚約者になりたいと言う意味が分かった気がした。
おばあちゃん
にこにこしたおばあちゃんとおじいちゃんが出て行ったのを見て、かなめくんの方に視線を戻そうとしたら、隣にいた。
真帆
心臓が止まるかと思うぐらい近い。 一人、ドキドキしていると彼が口を開いた。
かなめ
彼の視線の先は私の手の中にある簪だった。
真帆
あぁ、だめだ。 我慢していた涙が一気に溢れ出る。 するとかなめくんは、私の手の上に自分の手をのせた。 数分してからその手が離れると、簪が直っていた。
真帆
かなめ
真帆
そっと頭を撫でてくれるかなめくんの優しさは、今まで感じたことがない優しさだった。 かなめくんは撫でるのをやめて、口を開いた。
かなめ
真帆
一体何をするのかと思っていたら、噛まれた。
真帆
痛がっている私の頭をそっと撫でて、抱き寄せてくれる彼に少しドキドキする。 数秒後には痛みがなくなった。 それと同時にかなめくんが噛むのを終えた。
かなめ
嬉しそうに私の首筋を撫でる。
真帆
かなめ
ただの歯形を付けただけじゃないのかと思い、スカートから手鏡を取り出して見てみると、狐の紋様みたいなものが首筋についていて髪色がかなめくんと同じになっていた。
真帆
かなめ
真帆
かなめ
真帆
かなめ
はっきりとってどういうことなのかと聞く前にかなめくんが教えてくれる。
かなめ
にこにこと嬉しそうに微笑むかなめくんにまた、ドキドキとし始めた。 顔が熱くなるのを感じて、そっぽを向く。
かなめ
真帆
かなめ
真帆
意地悪な彼に少しだけムッとしたため、彼の膝の上に乗る。
かなめ
真帆
そういい、私は彼に抱き着く。
かなめ
真帆
かなめ
真帆
かなめ
かなめくんがぎゅっとしてくれて、また頭を撫でてくれる。 それが嬉しくて、首元に顔を埋める。
かなめ
真帆
孤独を感じて、愛されないあの家よりもかなめくんがいる家にいたい。 この人に愛されたい。 初めてそんな思いが心の底から沸き上がった。
準備がある程度終わると、かなめくんが優しく笑う顔で手を伸ばしてくれる。 私はそっとその手を取った。 離さないというかのように強く、優しく握られ、私もそれに答えるかのように握り返す。