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大ッッッッ好きです!!!!!!! Meltさんの書き方が好き過ぎてもう読めるだけで幸せが幸せだ(語彙力) ほのぼのした現パロ大好きなんですよ……もう助かりまくりです…お金出せるレベル…お金なら積むのでいつか本出してください…(ただの願望なのでお気になさらず…)
文章だけで飯テロ出来るようになるくらいの文章力を手に入れるのが夢です
ある温かな春の日のこと。
一日分の講義を終え、暇潰しに街をふらふらと散歩していた私は、港の傍に喫茶店を見つけた。
太宰
何時もは喫茶店なんて入らないが、珍しく気分の乗った私は、其の店に足を向けた。
カランカランと軽やかな音を立ててドアベルが鳴る。店内に足を踏み入れ、辺りをゆっくりと見回す。
こじんまりとした店内にはカウンター席が六つ、テーブル席が五つ。
奥にも部屋があるが、今は閉まっているようだ。
中也
カウンターの奥から声がして其方を見ると、一人の青年が出てきた。
私と同い年くらいだろうか。黒いエプロンがよく似合う好青年だ。
青年は私の前まで来ると、にこりと笑った。
中也
太宰
中也
促された私は、店内を見回して窓際のカウンター席を選んだ。
その向かいに、青年が座る。此処のマスターなのだろうか、随分と若いけれど。
中也
太宰
太宰
中也
私の注文に頷き、マスターは奥に引っ込んでいった。
ぼんやりと店内を見回す。
所々に置かれている観葉植物や壁に掛けられている絵画など、センスの善い内装だ。
ふと、私はある作品に目を留めた。其れは有名な画家の作品では無かったが、目を惹き付けるには充分だった。
太宰
其れは布を纏った女性の肖像。布の隙間から見える肌は白く、唇は赤い。私は気が付くとその作品に目を奪われていた。
中也
太宰
中也
太宰
前に向き直ると、カウンター席の小さなテーブルの上には、鮮やかな赤色をしたローズヒップティーと、大きないちごが乗ったショートケーキ。
中也
太宰
湯気の立ちのぼるローズヒップティーをふーふーとかるく冷ましてから、ティーカップに口を付けた。
太宰
舌にローズヒップの強い酸味が乗り、身体の中に温かさが拡がっていく。
大学での勤務に追われて多忙を極め、息をつく暇も無かった私は其の温かさに感嘆の息を漏らした。
ケーキにフォークを刺すと、ふわふわのスポンジが僅かに沈む。其れからフォークに少し力をいれて持ち上げる。
太宰
スポンジはふわふわで、雲でも食べている様に軽い。中に入っているクリームも上品な甘さだ。
酸味の強いローズヒップティーと、優しい甘さを持ったショートケーキ。
甘ったるいのは好きでは無いが、この組み合わせならいくらでも食べられそうだ。
中也
太宰
夢中でハーブティーとケーキを堪能していた私は、突然そう話し掛けられてマスターを見た。彼はにこにこと笑っている。
中也
中也
私は自身の頬を撫でた。そんなに顔色が悪いのだろうか。其れこそ目の下に隈でも出来ているのだろうか。
急に恥ずかしくなって、頬は熱くなった。そんな私にマスターはまた笑う。
中也
太宰
中也
中也
太宰
中也
マスターは驚いた様に目を見開き、其れから笑った。
中也
太宰
中也
マスター……中原さんは其れからカウンターから出て私の隣の席に座った。
中也
太宰
中也
太宰
そうは言われても初対面の人に対して何時もの話し方をするのもどうかと思うし……
私は暫く悩んでから口を開いた。
太宰
中也
中也は私を見て笑った。その笑顔に不覚にもどきりとした。顔が少し熱い。
私は誤魔化す様に、またケーキを頬張った。
太宰
私は中也にそう告げた。お腹は一杯だし、身体も心もぽかぽかしているし……とても満足だ。
中也
中也
太宰
中也
中也
太宰
中也
中也から渡された紙袋には、クッキーと、小さな手書きのメモが入っていた。そのメモを裏返すと、其処には店名と住所。
中也
太宰
私は頷いて店を出た。
何だかとても気分が良かった。
私は少し歩いて、そして振り向く。 あの喫茶店は、妙に居心地が良かった。
『喫茶 海風』、か。また行こう。