さくしゃ
さくしゃ
俺はスマイルが嫌いだ
別のところを見ているくせに、いざ会話すると
スマイル
とか言って会話の時間を減らしてくる
しかもそれが的中してるから言い返しもできない
その上、あいつから「会いたい」とか「話したい」とか全然言わないし
態度にも出さない
それなのにスキンシップが多いから
本当によくわかんない
スマイル
言葉とともに伸びてきた手
俺は無意識に手を叩き落とし、睨みつける
スマイル
きんとき
スマイル
きんとき
スマイル
……ほんとにこいつ
他人をよく見てるな
スマイル
黙っている俺を見かねて、彼は対面から後ろに移動して俺を優しく抱き締めた
人肌の温かい感覚に拒むことなく
俺は体を預けた
スマイル
彼が優しく笑ったのが、息遣いで伝わる
スマイル
スマイル
スマイル
……ドンピシャ
反論する気が起きなかった
だから俺は体を後ろに預けた
スマイル
きんとき
くすくすと笑う声が上から降ってくる
それから、彼の手が頭を撫でたり
指が髪の間を通ったり
好き勝手弄ばれる
耳元に口が当てられ
そのテノールが甘く言葉を紡ぐ
スマイル
言葉にするのは恥ずかしい
だから俺は
きんとき
スマイル
彼の唇で返した
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