こんにちは!フェルミア・オルレシアンです!
私は今、お姉様を追って娼館に来ています!
娼館が何かって?なんか、うん!
BARみたいな!感じです!
フェルミア
(あ、お姉様いた!)

フェルミア
(って!!)

お、お姉様とジルベール様が可愛い女の子に囲まれています!!
正直羨ましいです、
あ!!フルーツも食べてる!!いいなぁ
フェルミア
(それにしても、店内は少し暗くて落ち着いた雰囲気ね、周りの客も女の子と普通に会話を楽しんでるだけみたい、)

フェルミア
(でも、たまに扉の奥へ男女が消えていくから、そういう店としても機能はしているのでしょう)

ラウラ
はい!ベル様あーん

レティシア
(パクッもぐもく)

ラウラ
わぁ!食べていただけた!

アリーシャ
こちらも美味しいですよ

レティシア
(パクッもぐもぐ)

レティシア
にこっ

フェルミア
(お姉様可愛い、)

ジルベール
本当になんなんだ君は…

フェルミア
(ジルベール様は何にも手をつけて居ないわね、店内を見回してる?どうして?)

ラウラ
それにしても、どうしてベル様がこんなところへ?

ジルベール
俺の婚約者だとさ、今日紹介された

アリーシャ
べ、ベル様が、ジルベール様の婚約者?!

アリーシャ
べ、べべべべベル様!!

アリーシャ
どうかご安心くださいましね?!

アリーシャ
ジルベール様はこの店の子と一度もそのような事は!!

ジルベール
おい、余計なことを言うな

ジルベール
こんな婚約などどうせすぐに破棄だ

ジルベール
オルレシアンの人形姫が俺に嫁ぐ理由がない

ジルベール
それともどこかと結託して、俺を始末してこいとでも言われたか?

フェルミア
(なんでそんなことをすぐに口にするのだろうか)

フェルミア
(まぁ、仕方がないか)

この国にはある言い伝えがある
王家の転覆を図った裏切り者
王位のため兄弟を毒殺した異常者
恋心ゆえに戦争の引き金を引いてしまった愚鈍の王
国が傾く原因となった皇族達はそのことごとくが赤い目をして生まれてきた異端児であった
両親ともに一般的な瞳の色をしていても何故か一定周期で産まれてくる突然変異
最初は偶然だと鼻で笑っていた者達も重なり合う偶然に恐怖を覚え始める
いつしか、悪魔に魅入られたような鮮血色の瞳を持つ者は「呪いの子」と呼ばれるようになったのだ
フェルミア
(そして、ジルベール様もその1人、)

フェルミア
(あぁやって自分を非難するのも無理は無い、が)

フェルミア
(って!!)

フェルミア
(あ、顎クイしてる?!)

レティシア
(目を輝かせる)

フェルミア
(お姉様はジルベール様の瞳を見入ってるし!!)

ジルベール
!

ジルベール
本当になんなんだ君は!

ジルベール
そんな目で俺を見るな!

レティシア
とても、綺麗なのでニコッ

ジルベール
綺麗、だと?

ジルベール
う、そを、つけ

ジルベール
俺はこんなもの!!抉り出したいほど嫌いだ!!

ジルベール
キミだって!!

ジルベール
本心では気味が悪いと思っているくせに!

フェルミア
(あ、どこかへ行かれてしまった…)

フェルミア
(…あの扉は…)

フェルミア
(嘘つき、本当はお店の子を待たせてたんだ、)

フェルミア
(でなきゃ、あの扉の先に用はないはず)

ラウラ
もう!アリ姉ばっかずるい!

ラウラ
私もベル様のお世話したい!

アリーシャ
あら?だってわたくしが卓に呼ばれたんだもの

アリーシャ
大丈夫ですわベル様

アリーシャ
ジルベール様は直ぐに戻ってこられます

アリーシャ
それまではわたくしがお相手を

ラウラ
むぅぅ、

アリーシャ
普段は指名がなければ卓に着くことはないのですけれど

アリーシャ
ジルベール様はこの店の恩人なので、つい皆集まってしまうのです

フェルミア
(ほう、恩人か、)

ラウラ
前は結構酷かったんですよ?このお店

アリーシャ
ラウラ

アリーシャ
店の恥部をさらすようなことをあまり人前では…

レティシア
おしえて、いただけるの、?

レティシア
ジルベール様の、こと、

フェルミア
(ひゃぁぁぁぁ!!)

フェルミア
(お、お姉様が可愛いよぉぉ!!)

ラウラ
べ、べべベベル様!

ラウラ
そんな私で良ければ手とり足とり!!

アリーシャ
落ち着きなさい!

アリーシャ
こんなに可憐で美しくて愛らしくてもベル様はオルレシアン公爵家の方!

アリーシャ
本来ならば我々のような者がおいそれと触れて良いお方では無いのですよ!!

ラウラ
さっきからずっと触ってるじゃないですか!!

アリーシャ
すみませんベル様

アリーシャ
ラウラはちょっとお馬鹿な子なので

レティシア
ニコッ

ラウラ
ひどい!

レティシア
ラウラ様、どうか

レティシア
ジルベール様のことを、

ラウラ
そうですね!どこから話そうかな

アリーシャ
もう、

ラウラ
このお店は、ごろつきの溜まり場だったんです

ラウラ
ベル様は傭兵騎士をご存知ですか?

レティシア
こくっ

国のお抱えでは無いフリーの騎士
護衛や魔獣討伐など、様々な依頼をこなす方々
フェルミア
(だったっけな)

ラウラ
一口に傭兵騎士と言っても

ラウラ
その実態は多様でして、

ラウラ
SSランクともなれば一国に数人しかおらず騎士団長も頭を下げるレベルなんですが、

ラウラ
低ランクの方々は稼ぎが少なく、粗暴な方もそれなりにいらっしゃいます、

ラウラ
以前のうちの客層は低ランクの方々、

ラウラ
お世辞にもお行儀がいいとは言えませんでした

ラウラ
あの頃は、辛かったなぁ

ラウラ
でもそこへ、

ラウラ
ジルベール様がいらっしゃったんです

ラウラ
お店の真ん中の目立つ席に座って…

ラウラ
そこはもう王室と見間違うほどの気品に溢れた空間でした

ラウラ
居心地悪そうに帰って行ったごろつき共に胸がスカッとしましたよ

フェルミア
(…目が輝いてらっしゃる)

フェルミア
(そんなに、良い方には見えなかったけれど、)

アリーシャ
ベル様、こちらもどうぞ

ラウラ
こっちも美味しいですよ!!

ジルベール
おい、あまり甘いものばかり勧めるな

ジルベール
人形姫をぶくぶく太らせる気か

フェルミア
(え、えぇぇぇ?!)

フェルミア
(几帳面な程に整えられた半月型、焦げ目などあるはずもない美しい黄金色に真っ赤なトマトソースが彩りを添えている、!)

フェルミア
(あ、あのオムレツを頼むために引っ込んだのか、)

フェルミア
(って!もう1皿?!)

アリーシャ
あら?ジルベール様

アリーシャ
もしかして、もう1皿はベル様に用意されたのですか?

ジルベール
ち、違う

ジルベール
別に誰のものでもない!

ジルベール
何となく用意しただけだ、

フェルミア
(って言いながらちゃっかりお姉様の横に座ってるし!照れてるし!)

フェルミア
(図星かよ!)

ジルベール
…(ベル様の目の前にオムレツを置く)

レティシア
!

ジルベール
キミ、俺の観察に必死で向こうでは何も口にしていなかっただろう

ジルベール
そんなだから小さくて細いんだ、

ジルベール
ちゃんと、食べるべきだ

フェルミア
(もしかして、これが彼なりの気遣い、優しさということか、?)

レティシア
ありがとう、ございます

ラウラ
それでは!私があーんを!

ジルベール
甘やかすな、彼女だって1人で食べれるはずだ

ラウラ
で、でも、私の仕事(しゅん)

レティシア
ラウラ様も、お寛ぎになって

フェルミア
(犬の耳としっぽが見える、)

フェルミア
(しかも、お姉様めちゃくちゃ美味しそうに食べてる、可愛い)

フェルミア
(なんか話してる、可愛い)

フェルミア
って、

なんかいかついごろつき
ーー!!

アリーシャ
ッ…

フェルミア
誰だあいつら、

ジルベール
ーー!

なんかいかついごろつき
がはははは!!

なんかいかついごろつき
ーーーーー!!

フェルミア
、何言ってるのかわかんないけど、

レティシア
……(殺気ダダ漏れ)

フェルミア
お姉様が怒ってらっしゃる、

ジルベール
ッがッ

レティシア
ジルベール様、!

ジルベール
下がっていろ、

なんかいかついごろつき
おいおい、随分と愛らしい新人が入ったじゃないか

アリーシャ
ッやめなさい!

アリーシャ
その方はオルレシアン家のレティシア様ですよッ!

なんかいかついごろつき
レティシア?もしかしてベル・プペー?

なんかいかついごろつき
はは!!そんなわけねぇだろ!

なんかいかついごろつき
ベル・プペーがこんなところに来るはずねぇって!!

なんかいかついごろつき
どうだい?俺と遊ばねぇか?

フェルミア
ッ!

フェルミア
(お姉様に汚い手で触りおって!!)

フェルミア
(もはや看過できな)

ジルベール
俺の後ろに隠れていろ、

ジルベール
そして隙を見て抜け出せ

レティシア
そのようなこと!!

なんかいかついごろつき
けっ白けるぜ

ジルベール
この俺に婚約者など見つからんと思っていたが

ジルベール
まさか人形姫が嫌がらないとは思わなかったよ

ジルベール
どうせ親の言いつけだろうけど

ジルベール
それでも、キミに感謝を

ジルベール
不要だと処理されるならそれでいい

ジルベール
もう疲れた

ジルベール
だがキミを巻き込むつもりはない

ジルベール
城に戻ったら正式に婚約を破棄させてもらおう

ジルベール
……

ジルベール
無事に戻れるかは、分からないけれど

ジルベール
悪かったな、怖い思いをさせて

レティシア
……

フェルミア
(あわわわ、どうしよう、お姉様がもう限界だよッ)

なんかいかついごろつき
それじゃあ、俺たちと遊ぼうぜ皇子様

ジルベール
好きにするといい

ジルベール
その代わり店には迷惑をかけたくない

ジルベール
外にしてくれ

レティシア
……

レティシア
手を離せ

フェルミア
ッ

一瞬優雅な所作で立ち上がったのとは裏腹に、どす黒く、とても低い声が響いた
フェルミア
(あぁ、姉様が怒った、)

なんかいかついごろつき
あ?

なんかいかついごろつき
へへ、あんだよお嬢ちゃん

なんかいかついごろつき
そんなに相手をして欲しいのか

レティシア
手を離せと言っているのが聞こえんのか

レティシア
誰の許可を得て触れている

レティシア
私の旦那様だぞ

フェルミア
ゾクッ

フェルミア
(あぁ、なんて恐ろしくて、なんて美しい)

フェルミア
(さすがお姉様)

レティシア
これだけ言っても聞こえんか

レティシア
ならその耳要らぬな

レティシア
切り落として豚の餌にでもしてやろうか

なんかいかついごろつき
ッ(ジルベール様を投げ捨てる)

ジルベール
ぐッ

レティシア
聞こえてるのならさっさと返事をしろ愚図め

なんかいかついごろつき
ッ!!

レティシア
それと、教えておいてやろう

レティシア
赤目の皇族は武より知能面に秀でてる場合が多い

レティシア
貴様たちのような筋肉の塊には勿体ない

レティシア
私が相手をしてやる

レティシア
なぁに案ずるな

レティシア
十二分に楽しませてやるさ

フェルミア
ッ!

フェルミア
お、お姉様の氷竜!

フェルミア
初めて見た、綺麗…
