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熊森亜栗
熊森亜栗
魚住真水
熊森亜栗
熊森亜栗
熊森亜栗
熊森亜栗
魚住真水
それが僕と君の始まりだった
ぼっちでコミュ障で勉強も運動もできなくて
いつもおどおどしていることを周囲に揶揄われ
ずり下がってくる眼鏡を度々押し上げて
校舎裏で本を読んで時間を潰すのが日課だった僕は
中2の夏、突然女子に告白された
無心で文字を追っていたので
気付くと微笑んだ顔が目の前にあった
同じクラスの熊森亜栗(あぐり)さん
名前の通り栗色のロングで
女子の中では結構可愛い方で
勉強も運動も結構できる方で
当然一度も話したことはなく
一生関わりのないはずの人種で
だからこれは絶対罰ゲームだろうと思った
あの微笑みは照れではなく
馬鹿にした笑いなんだと受け取った
どうせ真に受けた僕を集団で揶揄ってくるんだろうと思い
平然としたふりをした
(制服の中は汗と震えが止まらなかったが)
だがいつまで経っても種明かしはされず
今まで通り接点のない日々が続き
もしかしてあれは本当だったのでは、
という期待が渦巻き始めた
目が合うと微かに微笑んでいるように見えるし
姿を目で追っていると一挙一動が可愛く思えてくる
もう脳内は彼女のことでいっぱいだった
係決めの際、僕は勇気を出して
彼女と同じ生物係になった
魚住真水
熊森亜栗
魚住真水
熊森亜栗
自分から業務について話しかけた
魚住真水
熊森亜栗
魚住真水
熊森亜栗
魚住真水
少しだけ業務以上の会話もした
反応は薄めな気がしたが
並んで水槽を眺めていられるだけで幸せだった
たとえ静寂になろうとも
一緒に聴く水の音が心地良かった
僕たちは照れ屋で不器用だけれど
密かに想い合っているんだと
信じて疑わなくなっていた
そんな僕が惨めで愚かだったと気付くのは
半年も経ってからのことだ
次も同じクラスになれるといいな、
などと呑気に考えていた休み時間
それらは動物園のような雑踏を抜け
いきなり僕の鼓膜を貫いた
女子生徒
熊森亜栗
女子生徒
女子生徒
女子生徒
熊森亜栗
熊森亜栗
女子生徒
熊森亜栗
熊森亜栗
熊森亜栗
熊森亜栗
女子生徒
女子生徒
女子生徒
熊森亜栗
心臓が痛かった
全く意味が分からなくて
罰ゲームより酷い仕打ちだと思った
どうやら彼女はクズのサイコパスだったようで
皆に愛想を振り撒き
陰キャにも分け隔てなく接し
天使だと思わせておきながら
腹の底では僕みたいな奴を見下し
愉悦に浸っていたらしかった
3年でクラスが別になると
彼女はすぐにイケメンの彼氏を作った
廊下ですれ違っても一切目が合わなかった
彼女の本性をバラしたところで
僕が批判されるだけだと分かっていたから
無心で受験勉強に励んだ
でも頭が悪いから
滑り止めにギリギリ受かることしかできなかった
騙される方が馬鹿なのだと
彼女に延々と笑われている気がした
馬鹿なのはお前も同じだと
心の中で言い返し続けた
馬鹿というより
僕は純粋すぎたのだ
あの水槽のように
汚れているくらいが丁度良かったのだ
そういえばメダカは
僕がどうでもよくなって放置したせいで
全員死んだらしかった
ざまあみろと
ごめんなさいが
混ざり合って溶けていった
死骸の行方も
彼女の行方も
知らないしもうどうでもよかった
僕はFラン大学生になった
年齢が上がり、視力が下がったが
それ以外は何も変わっておらず
ぼっちでコミュ障で勉強も運動もできなくて
いつもおどおどしていることを周囲に揶揄われ
ずり下がってくる眼鏡を度々押し上げて
講堂裏で本を読んで時間を潰すのが日課だ
そんなある日、僕は突然
熊森亜栗と再会した
熊森亜栗
熊森亜栗
熊森亜栗
魚住真水
魚住真水
魚住真水
僕はやっぱり馬鹿だから
顔を見た瞬間高揚し
君との出会いが
最悪の始まりを意味することを
一瞬で忘れてしまったらしかった
君はメダカ、
好きだったのかな