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続き物なのでここの注意書きなし 桃青 白黒 (赤 水)
真っ暗な視界 頭だけが回っていた。 体の感覚はほとんどなかったが 握られた手の温かさは覚えている。
呼吸がしずらい、動けない。 底の無い沼へただ落ちていくような 麻痺した身体が生温い空を 浮いているような はたまた地面にことり、と 脳みそだけ置かれているような。 何もない、何もできない、何もしない。
俺は変えられなかった。 俺を囚えた価値観は この未来を捉えていた。
これがいくじなしの末路だ、と 誰かがひっそり、告げている気がした。
発症から2週間程度が経った。 経過と共に余りにも酷く バグが出てしまうようになった。 必要以上に喋らないように、と 事情を知る彼と居る時間が増えた。 そしてもうそろそろ 社長、もとい想い人の彼へ 話をしなければならない、と。
悠佑
ノイズの走っている身体の修復を して貰っていたところだった。 ばちりと音の鳴る腕を見つつ 酷なるの早いなぁ、と 苦言を呈されるようなこれも 何度目だろうと思っていた。
いふ
悠佑
俺は首を振った。
悠佑
いふ
悠佑
手当をしつつ、数十分が 経った頃だった。 がちゃん、とドアが開く音がする。
初兎
これは多分俺が居ることを 気が付いていなかった、か 予想していなかったのだろう、 目を見開く様にして 目の前の二人を交互に見ていた。 そして溜息をつかれていた。
悠佑
初兎
治療中だったので 特に喋れなかった、が 俺が出る幕ではないだろう。
悠佑
初兎
悠佑
初兎
いふ
悠佑
文字打つとか、そっちで どうにかしろや。と 彼に言われてしまった。 どちらにしろ大丈夫では ないのが確定しているのだが 負担という点では その方が少ないだろう。
悠佑
いふ
初兎
悠佑
にこにこで話す白髪の彼を見て 気恥しい様な表情で部屋を出ていった。 またなー、と言う彼はやはり楽しそうだ。
初兎
いふ
初兎
いふ
初兎
俺もそんなんやったわ、と 笑って言ってのけた彼。
初兎
いふ
初兎
気が付かへん?とくすくす笑っている。 実を言えばなんとなく、 両片思いのような雰囲気がある。 それは分かっていた。 多分相手だって気が付いているはずだ。
いふ
普通であること。 それが人間として、というより 自分がこの仕事をする最低限だった。 同じ性を好きになること、 それは許されないこと。 俺はそうやって自分を律していた。 今更それを乱してしまえば 形成した関係は無様に崩落し おかしくなってしまう気がしていた。
初兎
いふ
初兎
初兎
自分が年上のはずなのに 小さな弟をほだすような声色で 笑いながら言う彼。
いふ
初兎
ぱちぱちー、と口ずさみながら 彼は小さく手を叩いている。
ただ俺は、こう言われようと 言う気がなかった。 というより、言える気がしなかった。 こんな時にと言われたら悪いが 俺に彼の設計された人生は壊せない。 俺が居なくなった時、世界がどう進むか そう問われれば "わからない"としか返せない。 代理が居るか、存在がないか。 どちらにしても世界は進むだけだ。 弱気だと言われようが 大人になれば、黒い部分に苛まれるんだ。