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燐
燐
燐
燐
燐
燐
燐
千ト
千トは呟いた。かけ出す。学校の外へ。遠く遠くへ逃げるように。 千トの体力じゃそこまで遠くに行く事はできない。けれど精一杯走った。 そんな中、一瞬頭をよぎったことがある。
千ト
あの施設。千トが18、19の時にボランティアに参加していた養護施設だ。 紙芝居を披露して子供達からの人気もあった。 あの施設の子ども達は、時々顔を出す千トを歓迎してくれた。千トが泣かなくて済む唯一の場所だ。 第2の家と言っても過言ではないだろう。
無意識のうちに千トの足は養護施設へ向かっていた。 叔母叔父にバレないよう人通りの少ない道を進む。 この道だけは1度も忘れたことがない。心の傷の回復をしてくれた施設への道。 子供達の裏表ない笑顔を見ていると、虐待やいじめられていた時の思いを、気持ちを忘れることができた。 紙芝居を披露することで救われていたのは、子供達ではなく千トの方か。
千ト
千ト
千トは、施設の前で泣き崩れた。いつもみたいに、子供のように。 膝を地面につけて、体の水分が全て抜けてしまうのじゃなかと思うほど。
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千ト
聞き覚えのある声。いつも聞いていた声。けれど、どこか幼いような声が聞こえた。 声のする方に目を向けると、ずっと求めていた人がいた。
燐
燐
燐
燐
燐
燐