バレンタイン。＿♡

バレンタイン🍫💝

🍍🦈『甘くないバレンタイン。』

📢🌸『甘さ控えめの君。』

🍵👑『甘さに浸りたい。』

地雷の方は🔙をおすすめします❗️

start

今日はバレンタインということで大好きな恋人にチョコを作ってみたのだが……

結果は大失敗。

見た目からして明らかに不味そう。

自分の手を見ると絆創膏だらけ。

チョコレートを砕くときに包丁で切ってしまった。

料理が全く出来ない自分なりに頑張ってみたものの、結局はこの様。

こんなのを食べらすのは絶対に駄目だから、作ったチョコらしきものを口に運ぼうとした。

ﾋｮｲｯ

突然誰かにチョコを奪われた。

後ろを振り向くと手作りチョコを渡す予定だった恋人の姿があった。

なつくんは真っ黒で不味そうなチョコをじーっと見つめている。

必死に手を伸ばすが、なつくんはチョコをこさめから遠ざけるかのように手を上に上げた。

チョコとこさめを交互に見て、少し口角を上げている。

けらけらと笑いながら話すなつくん。

今すぐそのチョコを離して無かったことにしてほしい…

なつくんは持っていたチョコを口に放り込んだ。

なつくんの表情が少し歪んだのが分かった。

絶対に不味かったはずなのに、なつくんは優しく笑ってこさめの頭を撫でた。

ずいっと残っていたチョコをこさめの口に近づける。

試しに食べてみると、美味しいとは程遠い味がした。

もがいているこさめを見てなつくんは楽しそうに笑っている。

甘いはずが苦いバレンタインになってしまった。

🍍🦈 Fin＿♡

小さな袋に入った手作りチョコ。

それを受け取ったいるまは少し笑ってまたテレビに目を移す。

部屋にはテレビの音だけが響いていて、俺らに少しの沈黙ができた。

ソファで呑気にテレビを見ている恋人に言う。

まさかの返事が返ってきた。

居酒屋のおっさんみたいなだる絡みをしながらいるまに近づいた。

テレビを見ていた黄色の瞳が此方を見た。

俺は諦めて大きな声で要件を言った。

それに少し恥ずかしさを感じる。

当たり前だろとでも言うような顔をしているのにかなり腹が立った。

仕事なら仕方がないが、俺も仕事で疲れた中作ったのに…。

ｷﾞｭｯ…

怒りに身を任せて部屋を出ようとすると、後ろから馴染みのある香りに包まれた。

後ろを振り返ると綺麗な瞳と目が合った。

ゴソゴソと俺が作ったチョコが入っている袋を開け始めた。

この状況で食べるつもりなんか？？

案の定、チョコを口に運んだいるま。

それと同時に唇と唇が重なる感触があった。

くちゅｯ…ちゅｯ…

舌を捻じ込められ、いやらしい水音が部屋に響く。

舌を絡めれば絡めるほど、チョコの味が口に広がる。

唇を離したいるまが口角を上げながら聞いてきた。

そう言われて渡されたのは俺とは違うラッピングがされたチョコ。

いるまから貰ったチョコを食べると、少し苦味のある甘さ控えめなチョコだった。

📢🌸 Fin＿♡

ビルの光や街灯でキラキラと周りが輝いている。

呼吸をするたびに白い息が空気の中に消えていく。

今日はバレンタイン。

周りを見渡すと恋人達が幸せそうに笑い合っている。

俺が手に持っているものはミルクチョコと抹茶チョコが入った袋。

手袋をしていても手がジンジンするほどの寒さ。

だけど、大切な恋人に渡すために頑張って待つ。

ふわっ…

首元が暖かくなるのと同時に、ほんのりチョコの甘い香りと柔軟剤の優しい香りが俺を包んだ。

優しい笑顔を此方に向けながらマフラーを丁寧に巻いてくれる。

すちくんは困ったような笑顔を俺に向けた。

さっきの仕返しとでもいうように笑いながら答えるすちくん。

痛いところを突かれてつくづくすちくんには敵わないと思う。

そう言い渡されたのは袋に入った美味しそうなカップケーキ。

俺は持っていたチョコをすちくんに渡した。

元々優しい顔が笑って更に優しくなる。

俺はこの顔が大好き。

突然の質問で困惑する。

すちくんは着ていたロングコートを脱いで頭の上あたりまで上げて、俺に顔を近づけた。

ちゅｯ……

騒がしい夜の街に一つ、小さな甘いリップ音が響いた。

コートのおかげで周りからは見られていないようだ。

すちくんはロングコートを着直して、チラリと此方を見た。

くすくすと笑うすちくん。

外は-2℃でとても寒いはずなのに、体中が熱い。

冷たい手が手袋越しに俺の手と絡んでくる。

この甘さにずっと浸っていたい。

🍵👑 Fin＿♡