愛を知らない君へ

あれから

英はあのコテージに来てない

私も行かないつもりだったけど

家にいるのが

どうしても嫌だった

その予感は

後に的中した

最近学校に行くと

みんなが見てくる

その理由は明確だ

私が渋谷くんに告白されたことを

よく思ってない子が多いから

でもそういった噂は私は気にしない

特に嫌がらせをしてくる訳じゃないし

我慢できた

もう私の学校生活は終わり

英は学校に来ないし…

今日はいる…

やっぱりそっか

あの日約束したから

学校だと

喋っちゃダメなんだ

勉強でもしよ……

なんの騒ぎ？

私はその声にハッとした

その瞬間

パシンと私の頬叩く音が響いた

嘘…学校でてあげるなんて

英にも…見られた？

もう…最悪

このままじゃ本当に騒ぎになる

早く出なきゃ

まただ…

叩かれる…

英…

お父さんはそこで倒れた

病院に搬送された

過労だったそう

どうせ明日になったら

変わってる

そう思って私は

何も言わずに病室を出た

行かなきゃ行けない

きっと英は待ってくれてる

やっぱり英はいた

ほっとして

私は涙が止まらなかった

私は英の胸の中で

子供みたいに泣きじゃくった

恥ずかしい

久しぶりにこんな泣いた…

英も色々あるよね…

「離れる気ない」か…

少しの沈黙が流れたあと

英が口を開こうとした

私なりにケジメをつけてから

告白したかった

そう英と約束した

でもこの時…

告白をしていれば

あんなことにはならなかった

その次の日からはテストだった

最近は朝登校すると

英が声をかけてくれるようになった

周りの人も驚いてたけど

私にはそんなことどうでも良かった

今日でテストが終わるから

このテストが終われば

私たちは…

ボーっとしてていることに気づかなかった

…今日

今日しかダメな内容って…なに

もしかしたら

大事な話かもしれない

でもなんで渋谷くんが？

まぁそんなことはいいか

終わらせたらすぐに

行けばいいよね

そしてテストが終わり

私は渋谷くんについて行った

将来についてって

大学とか？

ここって…

校長先生は分かるけど

なんで渋谷くんが？

そこには

とても綺麗な女の人が座っていた

こんな田舎に？ってとこから

渋谷くんのお母さんだと察した

でもなんで渋谷くんのお母さんが？

やっぱり

この人…苦手だ

見透かしたようなこの顔

私を下に見てる

あの目が

いや…こんなことしてる暇じゃない

英が待ってるかもしれない

会社に？

推薦…？

そう言って校長先生は

私のことを褒めて話を進める

多分だけど

この学校に多額のお金を入れてくれる

そんなパイプを切りたくないのね

渋谷くんが…？

なんでそんな勝手なことするんだろ…

良かったらでいいよって…

借金を…？

え…お父さんのことも

なんで知ってるのよ

なんで私なの

渋谷ホールディングスって

かなり有名だし…

その上…

家庭のことまで調べるなんて

本当に…それでいいのかって？

早く行かなきゃ

急がなきゃ

待たせてるかもしれない

こんなことなら

行かなければよかった

この前みたいに

私は部屋に入った

でも

そこに英の姿はなかった

まだ来てないのかな

そう思って

私は夜まで待った

でも

英は来なかった

それどころか

学校もやめて

私の前からパタリと姿を消した