テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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節分に人生賭けてる男

第1話 - 節分に人生賭けてる男

2025年02月05日

#節分

#コメディ

きなこ/榎本くもり@不定期更新

節分

恵方巻きを方角に合わせて無言で食べると

願いが叶うらしい

俺はこの言い伝えに、人生賭けていた

彼女もいて金も安定してるけど

俺には

痴漢冤罪がかけられていた

冤罪を晴らすための方法がなくて

明日裁判に行く俺は

恵方巻きの力でなんとかならないかと期待している

一輝

(でも)

一輝

(彼女との時間も、大事にしたいよな…)

一輝

……嬉しいよ

一輝

こうして、
節分も一緒にいられるなんてさ

結月

えへへ

結月

私たち付き合って3年経つのに

結月

節分の日だけは仕事があって無理だったんだよね

一輝

そうそう

一輝

でも今年は節分が1日早いから

一輝

お互い会えたってわけだ

結月

ね〜！

結月

じゃあさじゃあさ、恵方巻き買おうか

結月

あと豆も必要だよね

結月

豆はともかく、恵方巻きは早く買いに行かないと売り切れちゃうかもね

結月

行こう行こう、

結月

スーパーにっ！

一輝

ちょっと結月、急ぎすぎだってば

一輝はそう言って笑う

結月はニコニコしながら買い物バックを片手に持ち始めた

結月

……ほら

結月

行こう？

結月

こうして節分になるとワクワクしてきちゃった

一輝

……だな///

一輝

俺も、結月と食べる恵方巻きの味が楽しみだよ

そう言って結月が差し伸べた手を

一輝は受け取った

一輝

あったあった

一輝

恵方巻き☆

ドサッ

一輝は恵方巻きを買い物かごに入れた

結月

結構長いんだね、恵方巻き

一輝

えー？そりゃそうだろ

一輝

節分といったら、お決まりの「アレ」があんじゃん？

結月

……アレ？

一輝

うん

一輝

節分になると絶対やるだろ

結月

……あー！

結月

うん、アレねアレね

一輝

そうそうアレアレ！

一輝

ほら、今年の方角も出てるぞ

一輝

へぇ……、こっち側かぁ……

一輝

西南西とか聞いたことないな！

結月

……方角？

結月

が、どうかしたの？

一輝

……

一輝

え？

結月

え？

結月

あ……あ、、あー！

結月

アレね！アレアレ！

結月

投げたりするもんね！！

結月

掛け声とか言ったりしてね！

一輝

投げ……っ、え？

一輝

あ……うん

一輝

まぁそうだな、あはは

一輝

……(なんか話が噛み合ってないけど)

一輝

(恵方巻きを同じ方向向いて食べることくらい、結月も知ってるよな？)

一輝

……

一輝

(雲行き怪しくなってきたな、、、)

そうして日は沈んで

恵方巻きを食べる頃合になった

一輝

じゃあ、食べようか

結月

うん

一輝

恵方巻きといえばの「アレ」

一輝

ちゃんとやるんだぞー？

結月

……え？

結月

……う、うん、分かった……

困った顔で結月は恵方巻きを頬張る

一輝も恵方巻きを頬張る

一輝

……

一輝

(結月、南南西向いてないな)

一輝

(もしかして方角理解してなかったか？)

一輝

(でももう食べ始めたんだ)

無言で食べ切るまでの間

痴漢冤罪が晴れることを

ただひたすら願う！

一輝

……もぐもぐもぐ

結月

……もぐもぐもぐ

一輝

(痴漢冤罪晴れますように)

一輝

(痴漢冤罪晴れますように)

一輝

(痴漢冤罪晴れますように)

一輝

(痴漢冤罪晴れますように痴漢冤罪晴れますように痴漢冤罪晴れますように痴漢冤罪晴れますように痴漢冤罪晴れますように痴漢冤罪晴れますように痴漢冤罪晴れますように痴漢冤罪晴れますように痴漢冤罪晴れますように)

結月

……

結月

うーん！

結月

美味しいねぇ、これ

！？

一輝

(え……な)

一輝

(喋った……！？)

一輝

(恵方巻き中に……！？！？)

一輝

(いや……)

一輝

(答えられないぞ？)

一輝

(無理だぞ？)

一輝

(俺今食べてるからな？)

一輝

(痴漢冤罪がかかってるんだ)

一輝

(方角も変えられないから)

一輝

(このまま何も答えることはできない！)

結月

……

結月

ねぇ

結月

なんで、無視するの……？

！？！？！！

一輝

(……あー、、)

一輝

(まさかこの女)

一輝

(恵方巻きを理解していない……！？)

一輝

(無言で食べ切ったら願いが叶うことを知らないのか……！？)

一輝

(どうしよう)

一輝

(結月にとっては俺、人の会話無視してる奴だと思われてるんだよな、、)

結月

……ねぇ

結月

なんで無視するのさ……

やっぱりそうだわー

結月

……どうして？

結月

ねぇ、わかんないよ

恵方巻き食べてるからだよ

結月

3年間

結月

私を無視したことなんて1度もなかったのに

一輝

(それはそうだけど)

一輝

(今は
痴漢冤罪かかってるから待ってよ！！！)

結月

……っ

結月

お願いこっち向いて！！！

ぐいっ

結月は一輝の身体を正面にしようとする

一輝

……っ

方角変わっちゃう！

一輝

(ダメだ！！！！)

一輝

(やばいっ！！！)

一輝

(西南西からズレたら痴漢冤罪が晴れなくなる！)

一輝は頑なに身体の向きを変えようとしない

結月

……っ

結月

……どうして

結月

なんでよ

結月

そんなに私と喋りたくないの？

違くて……

結月

さっきまであんなに仲良かったじゃん

結月

どうしていきなり無視するの……！

一輝

(違くてーーーー！)

結月

……

結月

……

結月

何か事情があるの？

お？

結月

何かの事情があって

結月

返事できないってこと？

一輝

(そう！！！！)

一輝

(そうそうそう！！！！)

一輝

(そうなんす！！！)

一輝

(痴漢冤罪かかってるんすこっちは！！！)

一輝は首を前後に振った

結月

あ、あー！！

結月

なるほどね！

結月

だったら仕方ないわ

結月

それじゃあ今からいくつか質問するから

結月

yesなら、首を縦に

結月

Noなら、首を横に振ってね

一輝

(横に振ると方角変わるから無理だけど)

一輝

(まぁなんとかなるよな)

一輝

「yes」

一輝は縦に首を振った

結月

……うん！

一輝

(うおーい)

一輝

(楽勝だ楽勝)

一輝

(こういうのは大体、「私のこと好きですか？」とか)

一輝

(肯定文で聞いてくるんだよ)

一輝

(だから、俺もそれに乗っかって頷くことが出来る)

一輝

(これくらいならなんとかなりそうだな)

結月

……

結月

じゃあ聞くね

結月

節分じつは、
私と会うの面倒くさかった？

否定文で攻めてきた

一輝

(うわわわわわわわわ)

一輝

(やばいやばいやばい)

一輝

(否定文だと、yesにできないじゃないか！)

一輝

(首を縦に振ることしかできないのに、どうやってNoを出せばいいんだよ……！)

結月

……

結月

返事、迷ってるの？

一輝

(迷ってるって思われてる！)

一輝

(……っ)

一輝は

首をギリギリ横に見えるかなー…………

……くらいの角度で

斜めに頷いた

結月

……

結月

面倒臭いと思ってたの？

ダメだった

結月

……

結月

まあいいや、
人間だもん、それくらいあるよね

一輝

(といいつつも半ギレだな)

結月

次の質問ね

一輝

……！

一輝

(お願い、、、)

一輝

(お願いだから肯定文で……！)

結月

私と結婚したくないの？

否定文だ

一輝

……っ

一輝は妥協しながらも斜めに頷いた

結月

……あっそうですか

結月

考え方が変わるのもあるしね

ダメだった

結月

それじゃあ

結月

3問目ね

一輝

……っ

そうして

この一連の流れがあと10回続いて

結月

これが最後の質問です

一輝

(最後の質問……ッ)

最後の質問がきた

結月

……

結月

私と別れたいですか？

そこは否定文にしてよ

一輝

(頷けないじゃん)

一輝

(別れたくないですか？にしてよ！！)

結月

……

結月

……また、迷うんですね

一輝

……っ

一輝

(どうしよう)

一輝

(どうしたら分かってもらえるのだろう)

一輝

(俺は頷きたくなんかない)

一輝

(全部横に振りたいのに)

結月

……っ

結月

私の方を早く向いてよ！！！！！

！

一輝

……

一輝

……え

一輝

な

一輝

どうしたんだよ……

驚きで一輝は口から恵方巻きを離してしまう

そして結月の顔を見る

結月

……

一輝

……！

結月

泣いてる……？

結月

……なんで分かってくんないの

結月

あなたが痴漢冤罪で苦しんでることくらい

結月

私にはお見通しなのよ……！！

一輝

……っ！

結月

これまでの質問

結月

全部、横を向いて答えて欲しかった！

結月

私を頼らずに

結月

痴漢冤罪のこと、1人で抱え込もうとしないでよ

結月

……

結月

頼って欲しいのよ

結月

まだ私と一緒にいたいなら

結月

素直に横を向きなさいよ……！

一輝

……

一輝

結月

一輝

どういうことだ

一輝

でもお前

一輝

恵方巻きの文化知らないんだろ？

結月

知らないフリだよ

結月

一輝が痴漢冤罪を、
恵方巻きの文化に神頼みしようとしてるから

結月

あえて知らないフリして

結月

やめさせようとおもってたの……

一輝

……

結月

私に

結月

出来ることはない？

一輝

……っ

一輝

ないよ

一輝

女は手ごわい

一輝

1度痴漢したと言えば

一輝

一瞬で俺の立場は崩れる

結月

……

一輝

……神頼みって

一輝

仕方ないだろ！

一輝

他に方法が無いんだから！！

結月

……そうだね

結月

それならじゃあ、

一緒に神頼みしてあげる

一輝

……っ///

結月

……私も一輝と同じことを考えて

結月

恵方巻きを食べたいの！

一輝

……っ

一輝

……うん

一輝

……うん、、

一輝

ありがとう、

一輝

そうだよな……！

ああ

俺は

結月のこういうところに惚れていたんだな

結月

……まぁ

結月

もう途中で喋っちゃったから、
どの道意味ないんだろうけどね！

一輝

……あ、

一輝

あ、、、あは

一輝

あはは、、それはそうだわ、、

結月

……大丈夫

一輝

え？

結月

まだ節分のイベントは

結月

残っているじゃあ、ありませんか！

一輝

……

一輝

……あ

一輝

あー！！！！

痴漢冤罪の結果が

どうなるのかは

この2人にも分からない

だけど

節分の文化を通して

きっと

少しでも未来が明るくなったらいいと

2人は今

願っているのでした

一輝

鬼はー外ー！！

一輝

福はー内ー！！

結月

え？

結月

違うでしょ？

一輝

違うって何！？

結月

痴漢冤罪決めつける女はーーー外ーー

結月

私の大好きな一輝きゅんはーー内ーーー

なげーのよ

👹おわり👹

この作品はいかがでしたか？

8件

これがきなこさんの読み切り作品…面白かったです！

きなこ/榎本くもり@不定期更新

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