コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
雨歌
中学生時代。
雪が舞う夜の公園で私は1人、 ベンチに座っていた。
厳しい家庭で育った私がどうして一人で夜に家を出ているのか。
それは、いじめが理由だった。
「ゆあんくんの傍にいるな」
「何でお姉ちゃんと似てないの?」
…他諸々。
自分でもよくわかっていた。
人気者でモテる君に、いつも隣に居た私が釣り合ってないことを
一つ上のお姉ちゃんと違って、優等生なこと。
親にも、先生にも、クラスメイトにも 言われ続けてきた。
別に良かった。
好きでもない人のいじめも、嫌味も慣れていた。
それに、ゆあんくんはこんな私を 否定しないでいてくれたから。
だから、自分の好きなこと、自分が楽しめることを自由にしていた。
でも、いじめはどんどんエスカレートしていって。
ゆあんくんや親友が庇ってくれていたけど、心配させたくなくて。
いじめは酷くなるばかりだったけど、 私はみんなの前で笑顔で居た。
だけど、そんな日々に耐えられなくなってしまったんだ。
雨歌
私は今までに出るはずだった涙が一気に溢れた。
ゆあん
雨歌
雨歌
私は誤魔化すように目を擦った。
ゆあん
雨歌
「また」って…。
雨歌
と言いたかったけど、そんな余裕はなくて。
雨歌
ゆあん
雨歌
ゆあん
泣きじゃくる私の隣に、彼が座る。
ゆあん
雨歌
ゆあん
俺は───
雨歌
中2の冬頃。
私は初めて、君に心を揺るがされた。
その揺らいだ感情が、当時の私には何かわからなかったけど。
何処か、冷たかった心が暖かくなった気がした。
親友に、「それは恋だよ」って言われたけど
恋の感情はよくわからなかった。
だけど私は多分、君に恋をしたんだと思う。
私を救ったのも、劣等生の私を認めてくれたのも
私の心を揺るがせたのも、
君だったんだね。
雨歌