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めっちゃ泣きました、ありがとうございます… それと最後のセリフ、すごく不穏で好きです
涙が止まりません😖💧これ以上に泣いた作品はありません…神すぎて尊敬です…
みてたらいつのまにか涙が出てました。素晴らしい、作品でした。
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究極 に 冷えきった 此の 冬の地 。
今日 も 街中 で 一人大声 で 話す彼 は 傍から 見れば 不審者 でしかない 。
でも ご機嫌 な 様子 で 上手 に 歌っている様子 は 俺からすると 愛らしい 。
うん 、 とても かわいい 。
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驚いてしまったのは 他でもなく 、 話が やっと噛み合ったから 。
元貴 は 今 お花屋さん に 向かっているそう 。
前まで 花には そこまで興味 なかったはず なんだけどな 。 俺のせいか 。
… そう 、 いつも 見ていた 彼の背中が 小さく 、 遠く なったのは いつからだろうか 。
もう 、 触れられない 。
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呑気 そう に 見える 彼の瞳は 、 淋しさが 揺らいでいた 。
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花を持ち 家に帰ってきた 元貴 。
そう 、 寂しい声で 声に出していたのは 紛れもなく 俺の名前だった 。
全く 俺に 視線も合わせてくれない 。
こっちも 淋しいんだ 、 ずっと 。
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急に 現実に 引き戻されたかのような 。
街のような 賑やかさを失うと 気分は 落ち込んで 、 本当に 何もかも 、 怖いんだ 。
きっと 、 元貴も同じような 気持ちを抱いている 。
だから 、 元貴は 今日も ゆっくりと “ 俺がいるべき場所 ” に 歩み寄って行った 。
それは きっと その 現実から 逃げたくなかった 、 から 。
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元貴の正面に 座ると 、 こちらを見ているはずなのに 瞳に 映っていなくて 悲しくなった 。
ぽとり と 雫が 元貴 の 手のひらに 落ちる 。
そうすると 間もなくして 俯いてしまって 。 もう 、 何も考えることが できなかった 。
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俺は 死んでしまったんだ 。
元貴を 、 1人 置いて 。
そう 、 丁度 …… 1年前 。
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… ああ 、 お願いだから 言葉の 続きを言わないでほしかった 。
俺はずっと 、 ここに居るんだよ 、 元貴 。
そばに居るのに 。 生きていたのに 。
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1年前の 12 月 25 日 。
俺達 は クリスマス デート で イルミネーション を 見に来ていた 。
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光の中を歩いて 、 外は寒くても 2人は ずっと 熱かったと 思う 。
マフラー を かけさせると 満足した顔で 「 ありがとう 」 と 、 そう一言 言ってきて 。
でも 相変わらず 両手に 白い息 を かけ 寒そうにしていた 。
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勢いで 手を握り 自分の ポッケに 入れてしまった 、 けど ……
…… 恥ずかしすぎる 。
元貴の手 は 意外と 冷たかった 。
それでも 、 俺の体 が 熱すぎて 、、
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これでも 付き合って 4年 。 体も 何回も重ねてる 。
なのに 、 手を繋ぐのも 慣れないし 恥ずかしい 。
流石に ダサい …
歩き続けると 、 やがて 目玉 の 大きなクリスマスツリー の 目の前まで来た 。
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周りには 大勢の人 が 居て 、 ガヤガヤ と していたけれど 凄く 雰囲気も良くて 。
キラ キラ と した 光が 瞳に 映っていた 元貴の横顔 は 、 今まで 以上に ドキドキ した 。
暫くの 静寂が 続き 、 緊張のせいか 体が どんどん 熱くなっていく 。
空いてる片手で 、 自分の鞄を 探り “ それ ” を 出す 。
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慌てた様子だった 元貴は 、 するり と 俺の手から いなくなった 。
走って 遠のいていく 元貴の背中は もう 届く位置に なく
そのまま 横断歩道を 渡り 、 ショッピングモール へ と 姿を消した 。
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元貴が 戻ってきた時 すぐ分かるよう 、 横断歩道 付近まで 移動しておく 。
いい雰囲気だった はずなんだけど ……
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そう ぽつり と 呟く 。
小さな箱を 、 両手で 握りながら 。
唐突に パトカー の 大きなサイレン音 が 聞こえてきた 。
よく聞けば 、 周りから 叫び声も 聞こえてくるような …
道路を見ると 、 奥から 物凄いスピード の 車 が 走ってきていた 。
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クリスマスなのに 物騒なことをするもんだ 。
少し 様子を見たあと 、 また ぐるぐる と 考え事をしていた 。
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甲高い 叫び声 が 耳を貫く 。
瞬間 、 イルミネーション ではない 強烈 な 光が 視界に入った 。
顔を上げると 、 先程まで 遠くにいた車が 目の前まで来ている 。
あの時 、 俺が あそこに居なかったら 。 未来は変わっていたのかな 。
もう 後悔したって遅い 。
全てが 、 スローモーション に 見えた 。
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ごめんね 。
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荷物を持って 外に出ると 、 パトカー が 数台 と 血のついた 車 、 そして 人集り が できている 。
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変な 胸騒ぎ が した 。
まさか 、 笑 そんなはずない 、 そんなはずない ……
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近くまで 寄っても 、 人が多すぎて 見えない …
少しでも 状況が知りたくて 、 1人の 高身長の方に 声をかけてしまった 。
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“ 人が轢かれた ” その言葉が 脳裏を 支配する 。
少し 、 ほんの少しの心配で
走って 先程 若井と話していた場所まで 、 若井が いる場所 まで 向かう 。
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どれだけ探しても 若井らしき 姿 なんて どこにもなくて 。
電話をかけても 出てくれない 。
嫌だ 、 嘘だ 、 待ってくれ 、
人 なんか気にせず 、 事故現場 まで ぐいぐいと 前に進んでいく 。
途中で 暴言を吐かれた 気がするが そんなこと 気にしない 。
今でも ずっと 携帯 から コール音が鳴っていて 。
ただ 安心したいだけなんだよ 。
男の人が 「 下がってください ! 」 と 叫ぶ中で 、 1番前まで 来たんだ 。
それは 、 殺風景だった 。
飛ばされた鞄 、 頭から 流れゆく血 、 落ちている 見覚えのある ニット帽
… 真ん中に “ 元貴 ” と 書かれている 携帯 の 着信画面 。
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警察の人の注意を無視して 若井のそばに 向かう 。
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頭からは 血が流れていて 、 いつものように 目を伏せている 。
でも 、 いつものように 体を摩っても 起きなくて 。
どうにか 、 誰か ドッキリだと 言って欲しい 。
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強く 、 引きちぎるほどに 抱きしめる 。
せっかく 巻いてもらった マフラー も 若井の 血が着いてしまった 。
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微かに 、 彼の 息の混ざった声が 耳に聞こえた 。
慌てて 若いの顔を見ると 、 少しだけ 目を開いて こちらを見ていたんだ 。
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こんな時も 、 いつもの 優しい微笑みで 。
嫌になるんだ 、 これが現実 だと 分かっちゃった 。
もう 、 僕は 大声で 泣き喚く ことしか 出来なかった 。
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か弱い声で 、 聞こえた言葉 。
それを最期に 、 僕の 腕の中にいた 若井は ぬいぐるみのように 力がなくなってしまった 。
コト ッ 、と 小さな 物が落ちる音がする 。
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若井の 横に 落ちている 白い 小箱 。
そっと 、中を 開ける 。
綺麗に輝いた 指輪 が 1つ 入っていた 。
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謝りたいのは 俺の方だよ 、 元貴 。
お願い 、 顔を上げて 。 こっちを見てよ 元貴 。 ここに居るよ 、 俺 。
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そう言って 元貴は 自分 の ポッケ を 探り出した 。
小さな手のひらには 、 小箱 が 1つ 握られていた 。
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同時に 箱を開ける 元貴 。
箱の中には 、 綺麗な 指輪が 入っている 。
ただ 、 元貴の手の震えで 小刻みに 指輪が 揺れていた 。
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現在 、 まだ 日本では 同性婚 が 認められていない 。
でも 、 それでも 、 俺ら の 心の中 だけでは … いいんじゃないかな 。
今すぐ 抱きしめたいな 。 前みたいに 。
暖かくて 、 恥ずかしくて 。 元貴とでしか 味わえない あの 日々を 。
ずっと そばに居るのに 。
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大好きな人が 目の前でこんなに泣いているのに 。
もう俺は その涙を 拭う ことすら許されない 。
抱きしめることも 。なにも 。
生きているか 死んでいるかで 、 こんなに変わるなんて 思っていなかったんだ 。
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微笑んで 正面から 元貴の事を 抱きしめる 。
届かない 、 俺の手は 元貴の体をも 透けていく 。
でも 、 今日だけは 。
今だけは 、 温もりを感じた 。
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真っ赤な目の 驚いた表情で こちらを見つめている 。
見えている … ? いや 、 そんなはずがない 。
だって 、 瞳に俺の姿は 映っていないんだ 。
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そばに居るだけで こんなにも 安心するなんて 。
最初から 、 こうしてれば良かった 。
…… 生きていた 時から 。
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まるで 声が 聞こえているかのように 俺の名前 を 呼ぶ 元貴 。
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自分の体が 、 どんどん 透けていく 。
ああ 、 やっと 成仏 するんだな … おれ 。
きっと 、 返事を聞けていなかったから ずっと 成仏が出来ていなかったんだと 気付く 。
良かった 、 これで ようやく …
でも 、 ずっとそばにいるからね 。
ここに 、 いるからね 。
箱の中の指輪が 、 じわっと 青色に光った 。
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fin .