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第4話 - 第4話それは写し鏡のように……

2024年02月05日

#ミルグラム

ショコラケーキ

夢の中

サクラ

…………

コトコト……

サクラ

はぁっ、はぁっ！！

ウーー！！！（サイレン音）

？？？

No,3525発見！
今すぐ戻れ！！

嫌だ〜！！……っ！

サクラ

はあっ！！はあっ！！

ただ必死で逃げた

声が枯れるまで

足がちぎれるまで

サクラ

はぁっ！！はあっ！

白い服、付けられた番号

自分しかいないという孤独感

でもあそこにいる子供達（かぞく）も救いたい正義感と責任感

サクラ

っ！！
もう1回戻るしか！！

サクラ

（何が起きてるか
分からない。
なんで私はこんなこと…？）

｢サクラはよく頑張ったよ 1人で我慢してたんだねもう肩の荷をおろして？君は1人じゃない｣

サクラ

っ！！

私は…… 誰かにそう言われたかった？

……ラ！

……クラ！

…サクラ！！

サクラ

！？

コトコ

起きたみたいで良かったわ

サクラ

え、コトコさん？

コトコ

随分と
うなされてたようだけど
大丈夫？

サクラ

はい……

｢お前らが子供達（かぞく）を〇したんだろ！！｣

サクラ

っ！！！

コトコ

ちょっと！

サクラ

すみません、
なんか
フラッシュバックして……

コトコ

立てる？
大丈夫？？

コトコ

（ミコトは何かに
耐えられなくなり
二重人格になった……。
でもこの子は、
何かを1人で耐えた｢から｣
こうなった……？）

サクラ

はい、
ありがとうございます

コトコ

敬語はいいわ

サクラ

そうですか……

サクラ

皆さんを待たせてますよね
行きましょう？

コトコ

それがね、
エスが
中々起きてこないのよ……

サクラ

あ、そうなんですか？

サクラ

なんかあったかも
しれませんね……

コトコ

……何を見てたの？

サクラ

え？

コトコ

夢の中で

サクラ

逃げる夢……です

廊下

コトコ

逃げる……夢？

サクラ

はい。
あ、でもこんなこと
他の囚人に言って
いいのかな？

コトコ

いいから……教えて？

サクラ

鳴り響くサイレン音と
次々に捕まる
子供達（かぞく）の悲鳴……

サクラ

そんな感じです

コトコ

……なるほどね

コトコ

あなた、記憶がないって
言ってたらしいけど
自分の事知ろうととか
思った事ないの？

サクラ

ないです。
思い出そうとすると
調子が狂う気がして……

コトコ

そう……

サクラ

よく分からないけど
私はここ（ミルグラム）の
囚人……
それだけでいい、
と思ってしまうので

コトコ

エスに似てるわね（ボソッ

ジャッカロープ

……（陰から聞いてる）

エスの部屋

エス

…………

シドウ

エスくん……

シドウ

（杠くんから
榧野くんの攻撃に遭ったと
聞いていたけど
それによる発熱も……
一応、薬を飲ませたが……）

エス

ん……？
シ……ドウ？

シドウ

エスくん！
起きたんですね……

エス

あ、あぁ。
それよりみんなが
心配しているだろう？
僕も…っ！？

シドウ

エスくん！？
大丈夫ですか？
良かったら
捕まってください

エス

余計なお世話だ！！
これくらいなんとかなる！

シドウ

ですが……

エス

っ！
お前が
来てくれた事は感謝する。

シドウ

はい

エス

ただそれだけだ！
行くぞ……

食堂

ユノ

看守さんまだかな〜？

カズイ

起きてこないなんて
珍しいね。

エス

みんな、お待たせ

ムウ

あ、看守さん！
良かった！
もう大丈夫なの？

シドウ

エスくんなら
もう大丈夫だよ

ミコト

看守さんが無事で
良かった〜

サクラ

…………

ユノ

あ、サクラちゃん！

サクラ

あ、ユノ！

コトコ

エス……起きてきたのね

少し離れた机にて

ジャッカロープ

おい、エス。
もう大丈夫なのか？

エス

あぁ。

ジャッカロープ

それならいいんだが……

ジャッカロープ

サクラはどうだ？

エス

はぁ？
サクラ？？

ジャッカロープ

アイツ、夢を見たらしい。
……逃げる夢をな？

エス

逃げる……夢

ジャッカロープ

あ、それと
自分の事を知ろうとすると
調子が狂うととも
言ってたな

エス

それは話を聞いていた、
ということか？

ジャッカロープ

まぁな

エス

悪趣味だな

エス

自分の事を考えると
調子が狂う……か。

ジャッカロープ

まぁ、この情報を
どうするかはお前次第だ。
エス

エス

あぁ…分かっている

エス

（サクラ……
確かに僕もそうだ。
｢自分は何者なんだろう｣と
考え出すと目眩が
したりする

エス

アイツは僕と……
同じなのか？）

その時サクラの言葉を思い出す

｢きっとどう頑張っても変わらないです。与えられた事をするだけ。それだけでいいんです｣

エス

っ！！

ジャッカロープ

おい、エス！
また
余計な事を考えただろ？

エス

あぁ……すまない

ジャッカロープ

全くお前は看守なんだから
しっかりしろよ？

エス

言われなくても
分かってるよ。

廊下

サクラ

…………

｢お前らが子供達（かぞく）を〇したんだろ！！｣

サクラ

っ！！

サクラ

子供達（かぞく）……？

サクラ

違う、私に家族なんて……

カズイ

大丈夫かい？

サクラ

カズイさん……

カズイ

シドウくんは今、
椎名ちゃんやフータの
面倒をしててね。

カズイ

俺でよければ
話を聞こうか？

サクラ

……カズイさん

カズイ

なんだい？

サクラ

私は……

カズイ

…………
（サクラをじっと見る）

サクラ

…なんですか？

カズイ

いや、ごめんね。
なんでも無いよ？

サクラ

いや、
見られると不快なので
やめて貰えます？

カズイ

いや〜ごめん！
なんだか
気になっちゃって……

サクラ

気になる……？

カズイ

突然ここに
連れてこられたにしては
落ち着いてる。
それに君と看守くんとは
類似点がある。

サクラ

類似点……？

カズイ

あぁ。
俺はシドウくんとかと
よく話をしてるんだけどね
看守くんは
今までの記憶がないけど
看守の仕事をやっている。

サクラ

今までの記憶がない……？

カズイ

あぁ。

サクラ

確かに私もここまでの事は
覚えていないけど
それだけが
証拠になりますか？
そんなの
偶然かもしれませんし……

カズイ

では、君は
自分の事、分かるかい？
君は何故ヒトゴロシと
呼ばれるか……とか？

サクラ

……それは

カズイ

すぐに出てこないだろう？
俺はそのことを
言っているんだ

サクラ

…………

コトコト……

ミコト

あれ？
カズさんとサクラちゃん？
どうしたの？

サクラ

あ、ミコトさん……

カズイ

やぁ、ミコト！
少し話をしていただけだよ

ミコト

そうなんですね

サクラ

じゃ、私は戻りますね

ミコト

あ、はい。

カズイ

またね

コトコト……

サクラ

………………

グラッ（視界がふらつく）

サクラ

っ！？

コトコ

おっと……！
（サクラを支える）

サクラ

……コ、トコ！

コトコ

ちょっと、大丈夫？
目眩？？

サクラ

あ、あぁ……

サクラ

迷惑を……すまない

コトコ

ちょっと、
まだ
ふらつくんじゃないの？

サクラ

……大丈夫。

コトコ

ちょっと……！

サクラの監獄

サクラ

っ！！

ガタンッ！（サクラが倒れ込む音）

『お前らが子供達（かぞく）を〇したんだろ！！』

サクラ

はぁっ！！はぁっ！

『うるさいな！お前は言うことを聞いていればいい！』

『君は自分の事分かるかい？』

サクラ

はあっ、はぁっ……！
私……はっ！

コトコト……（足音）

シドウ

あ、サクラさん！
今、
椎名くん達を見終わって……
え、大丈夫ですか！？

サクラ

はぁっ……はぁ……！

シドウ

サクラさん、
深呼吸をしてください

サクラ

はぁっ、はぁっ……！
はぁ……ヒュッ……！

シドウ

（ダメですね、
聞こえない。
それに過呼吸に
なってきてる……）

シドウ

サクラさん、
こちらに来てください。
俺に寄りかかっていいので

コトコト……

サクラ

…シ…ドウさん
私は……はぁ……！

シドウ

……早く処置しないと！

シドウの部屋

サクラ

………

シドウ

（呼吸、心拍ともに
異常なし。
何があったか
分からないですが
過呼吸状態に
なってたなんて……）

サクラ

……………

ガチャ……

エス

シドウ、サクラはどうだ？

シドウ

特に問題はありません。
ですが、過呼吸に
なってました

エス

過呼吸に？

シドウ

はい

シドウ

俺が呼びかけても
反応があまり……

エス

なるほど

サクラ

………ん？

エス

サクラ！

シドウ

サクラさん！

サクラ

シドウさん…看守さん？

サクラ

すみません、
マヒルさんやフータさんが
大変な時に……

シドウ

いえ、もう大丈夫ですか？

サクラ

はい

サクラ

本当にすみません……
もう、大丈夫なので
戻りますね

エス

サクラ

看守さん？？

エス

お前の事は聞いたよ。
確かに僕とお前は
似てるかもしれない。
だが、違う！
僕は看守、君は囚人だ。

サクラ

私が話したいのは
看守さんではないです

エス

はぁ？

サクラ

｢看守｣としてではない。
｢エス｣くんと
話したいんです

エス

僕と…？

サクラ

私は…もしかしたらここに
いる囚人達も、
かもしれませんが
記憶がありません。

エス

そうだな……

サクラ

だけど、囚人と看守という
役割を果たしている。
私は、君に逆らえず
役目を全うしている。

エス

何が……言いたい？

サクラ

君はどうですか？
エスくんも同じですか？

エス

僕は……っ！

パチンッ（ビンタする音）

サクラ

っ！？

エス

黙れ！！
僕がどうだろうとお前には
関係ないだろう！！
お前は囚人、僕は看守。
あまり、調子に乗るなよ？

サクラ

……そう、ですね

シドウ

エスくん……

エス

ふん！

ガチャ……（エスが出ていく）

シドウ

大丈夫ですか？痛みは？

サクラ

大丈夫ですよ。
やっぱり……違いますね

シドウ

違う……？

サクラ

私も看守さんも
記憶が無いなら同じかも
とも思ったんですけど。
私がどうだろうと
ミルグラムは看守さんに
｢赦す｣か｢赦さないか｣を
決めさせる

サクラ

見知らぬ場所で
いきなり看守と言われ、
それを
全うする責任感と使命感。
判断次第で
処置が変わることへの
後悔と焦燥感。

シドウ

………

サクラ

同じ場所で囚人として
囚われている
私と看守さんとでは
｢背負っているもの｣が違う

シドウ

それは……

サクラ

看守さんが私達の事を
知り、見てくれる。
なら、
一体誰が看守さんを
｢救う｣んだろうね……

コトコト……（出ていく音）

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