サークルの先輩:菅原孝支
モブ
モブ
とある大学のサークルの新入生歓迎会。
初々しい1年生たちを囲んで、30人ほどが手に持つグラスのぶつかる音が鳴り響いた。
菅原孝支
幹事で3年生のスガさんは新入生達に気を配って積極的に声をかけてくれている。
2年生になった私は、慣れない盛り上げ役を頑張りながら
輪の真ん中に入ってチヤホヤされる1年生を少し羨ましくみていた。
(私も1年前は先輩方にチヤホヤしてもらってうれしかったなあ……)
スガさんにも。
(って、いけないいけない。)
今度は私が楽しませる側なんだ。
と、先輩の意識を持ちながら新入生と交流するも、どうしてもちらちらとスガさんの方に目を向けてしまう。
モブ
菅原孝支
モブ
菅原孝支
私と少し離れた席に座っているスガさん。
案の定、私たちの代のときと同じく、今年も後輩の心をあっという間につかんでいる様子だった。
……とくに。
(やっぱり後輩女子から人気になっちゃうよねえ……)
何度も何度もそちらに意識がいってしまうのにもちゃんと訳がある。
私は、スガさんと2か月前から恋人の関係なのだ。
サークル仲間も私たちの関係は知っているけれど、
別に今ここで「私たち付き合ってます!」なんて新入生に言う必要もタイミングも度胸もない。
チリチリ痛む嫉妬心にできる限り蓋をしながら、必死に自分の卓の話に合わせる。
でも、やっぱりスガさんを呼ぶ声にはどうしても耳が反応してしまって。
モブ
モブ
みんなの酒が回り、席がごちゃごちゃになってくる頃、後輩だけでなく色んな場所から引っ張りだこのスガさん。
どんどん距離も遠くなっていく。
だからといって、ここでスガさんの近くに行く勇気もない。
公私混同は嫌。というプライドが邪魔をしているだけなんだけどさ。
ていうかみんなからの人気者であるスガさんと付き合えてること自体が奇跡なのかも。
面倒くさい複雑な感情を抱きながら、近くにいる仲間と飲んでいると。
いつの間にか隣に座っていた同期の月島にボソッと声をかけられた。
月島蛍
私
月島蛍
私
なんとまあ見事に気持ちバレバレ。
不快な気持ちが態度に出ていたのだろうか。
だとしたら、飲み会の雰囲気ぶち壊し人間であり、先輩として、いやサークルの一員として最低である。
月島蛍
私
月島とはサークルの中で仲がいい方だと思うけれど、月島に察されて他の人には察されないことなんてあるのだろうか。
月島蛍
私
(こうなったらお酒に頼ってしまおう!)
………と、お酒に弱いくせして、ヤケクソになってしまったのがダメだったようで。
1時間もすると、頭がふわふわして気持ちよくなっていた。
ふにゃふにゃしていると、
月島蛍
月島が呆れた顔をしてこちらを見つめてきた。
私
思考が回らず、急に覚束無い足で立ち上がったからか、クラっとふらついてしまう。
月島蛍
間髪入れずに月島が私の体を支えてくれた。
私
月島蛍
月島はそう言うと、私がコケないように後ろから見守りながらついてきてくれた。
to be continued....
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