千夜の過ち

待機していたかのように丁度いいタイミングでチャイムが鳴り、授業が終了する。

四限目の授業が終わり、昼休みとなった。

教室が楽しそうな会話で溢れかえる。しかし、僕は世界から弾き出されたように一人ぼっちだ。

……

行くか

僕は教室を抜け出す。

美術室には誰もおらず、乾いていない絵の具の匂いだけが立ち込めている。

昼休みはいつもここで絵を描いて時間を潰す。 誰もいない美術室ならば、否応なしに孤独になるため、一人ぼっちが気にならない。

僕はスケッチブックを広げて、絵を描き始める。

段々と筆が乗ってきた頃、突然ガラガラと扉が開く音がした。

＊＊＊

美術室に入ると、煙が机に座って絵を描いていた。

煙は一瞬こちらを見て、ぺこりとお辞儀をした後、すぐにスケッチブックに視線を戻し、再びペンが紙を滑る音だけが響き渡る。

俺は煙の隣の席に座る。 煙は黒目だけでチラリと俺を一瞥した。

　時計の針が動く音と、煙がペンを走らせる音だけが美術室に響き渡っている。

ぼんやりと煙の横顔を眺めていると、瞬く間に時間が流れていった。

煙は少し時計を見て、ハッとしたような表情を見せると、煙は黙々とスケッチブックを片付けて席を立つ。

そう言って、煙は足早に去っていく。 俺はその後ろ姿をぼんやりと眺めていた。