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駅のホームで風を浴びる。
瑠唯
せめて少しでも暖を取ろうと、上着の前を合わせ、両手を擦る。
瑠唯
そう思いながら、ポケットから手袋を取り出す。
『3番線に列車が参ります。黄色い点字ブロックまでお下がりください。』
俺の通っている「霹靂大学附属中学校」は、偏差値日本一ということで有名だ。
父さんも母さんも、学歴・職業ともに一流で、俺にも同じ人生を歩ませたがる。
…というと、教育虐待って思われるかもしれない。
でも、俺にとってはこれが良いんだ。
何故なら俺は、将来を考えられないくらい、空っぽな人間だから。
ただ学校っていう社会だと、こういう空っぽな人間の方が評価されるんだよな。
赤ちゃん
降りた駅のホームのどこかから、赤ちゃんが号泣してる声が聞こえる。
視線を向けると、お母さんと見られる人が周りにペコペコ謝っていた。
その光景を見たくなくて、改札へと背を向ける。
母親
それを見ている人たちの纏う、灰色の空気が苦しい。
ピピッ
瑠唯
後ろのサラリーマンの舌打ちが聞こえる。
瑠唯
慌てて列を退く。
瑠唯
芸人A
中学へ歩いていると、スタッフと思われる数人と、関西弁の二人(芸人?)に声をかけられた。
瑠唯
芸人A
芸人B
面倒だけど、どうせ5分程度だろう。受けることにした。
芸人A
瑠唯
芸人B
芸人A
みんなと同じような反応。慣れてるけど、なんとなく居心地が悪い。
芸人B
瑠唯
芸人A
芸人B
…。
瑠唯
芸人A
芸人B
灰色。俺がさっき感じた色。
多分、俺も灰色の雰囲気で、辛気臭い顔してるんだろうな。
瑠唯
意味もなく空を見上げる。
淀んだ灰色…ではなく、澄んだ水色だったのは、最高の皮肉だ。