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ずっと真っ暗な中で震えていた。
今は愛おしいとさえ思う昔ながらの ガラケーを自身のベットへ置いて 来てしまったことを今は後悔している。
いつもはなんとも思わないのに 汗ばんだ素足がぺたり…ぺたり…と フローリングを歩く足音に体が勝手に 小刻みに震えていた。
ぺた
ぺた ぺた ぺた
ぺた ぺた
今はそんな震える音でさえ あの人に聴こえたらと思うと 恐怖でまた震えで止まらなくなった。
???
低い声が誰も居ない部屋に響いた。 瞬間、ずっと震えていた体がピタッと 時を止めたかのように止まった。
???
おとーさん
おとーさん
おとーさん
気の抜けた棒読み 低い大人の声 怒気を孕んだ独特の淀み
静かな部屋に響いた大きな舌打ち
おとーさん
ドンッ
大きな地鳴りのような音がした。
おとーさん
そして、地を這う様な声も
おとーさん
昨日まで、
そう、昨日の夕飯までは この人は私のお父さんだったのに
おとーさん
お母さんが出張で、 兄さんが修学旅行に行っている。 ただそれだけ、 それなのに今、何が起きてるんだろう。
おとーさん
一緒にご飯食べながらテレビ見て 最近の学校生活を話して いつも通りで 変わらなくて
おとーさん
どうやら
恐怖に怯えた私には、十分過ぎたようであっという間に思考が弾けた。
ユウ
ユウ
ユウ
ガタッ バンッ
私は今まで隠れていたクローゼットから思いっ切り扉を蹴り開けて叫んだ。 その時にやたらと重い感覚がしたが 無理矢理に飛び出した。
ユウ
勢いよく兄の部屋を飛び出せば 時間稼ぎにとその勢いに扉を閉めた。 鈍い感覚と何故か苦しげな声は知らない
階段をこれ以上ないまでに急降下し 玄関の鍵を素早く開ければ 私は、裸足のままに夜へと走った。
アレは、父ではない
そう確信を持ってた走ったのだ。
昔、近所の子供と一緒に よく神社で遊んでた記憶がある。
毎日、遊ぶ前に幼い頃の貴重な五円玉を投げ入れては願ってた。 どうか、両親が笑顔でいられますように そんな欲のある願いじゃなかった筈。
なのに何故か叶わなかった。
お母さんはいつも泣いてて、 お父さんはいつも笑ってる。
お母さんは叶わなくて、 お父さんは叶ってた。
半分だけしか叶ってなかった。
お母さんにも笑っていて欲しくて いっぱいお願いした。 けど、ずっとずっと叶わなくて 神様は気分屋で不平等だとわかった。 そんな瞬間だった。
??
その日、 二度と神社には行かないと決めた日に 誰かから手を引かれ帰った気がした。
何で、昔の思い出を思い出したんだろう
今の状況を打破する答えは出ず 住宅街の普段は通らない街頭が少ない 横道をうねうねと蛇行するように あの思い出の神社へと向かっていた。
ユウ
筈だった。
ユウ
昔ならもう直ぐの筈だった。 だがいつまで経っても着く気配がない。
ユウ
明かりが点々と灯る住宅街
それにここは何処だろう。
なんだかとっても見た事のある公園
なんでおとーさんから隠れてたんだろう
小さい少年を取り囲んだ 三人のガラの悪い少年たち
ユウ
なんでママとお母さんは違うんだろう なんでパパとおとーさんは違うんだろう
ブランコで揺れている 見た事のある金髪
居ない筈の兄さんがなんで居るんだろう
????
ドゴッ
見覚えのある金髪の少年が 同じ金髪の少年を殴り飛ばした。
瞬間に脳はスパーク 身体中を蠢く様な筋肉の縮小 浅く繰り返される呼吸
嗚呼、前世の空想は、 今そこに存在していた。
ユウ
目の前で繰り広げる原作通りの展開に ただ眺めて
私は、前世を思い出した。
そして、救いを求めた。
ユウ
その世界で無敵の少年を