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太宰
太宰
時間ぴったりに講義を終え、学生達がわらわらと講義室から出て行く。
午前中ずっと楽しみにしていた私は、少し急いで荷物を纏めて講義室を出た。
太宰
講義棟から外に出て中也の店へと向かう。歩いて数分だから直ぐだ。私は心なしか何時もより少しだけ早足で歩いた。
カランコロンと心地好い鐘の音を聞きながらドアを開けると、いらっしゃいませという声と共にカウンターの奥からエプロン姿の中也が出てきた。
中也
太宰
中也
太宰
私は其の言葉を聞いて目を輝かせる。なんて善いタイミングで来たんだ。中也はくつくつと笑って、奥のキッチンに入っていく。
中也
中也は可愛らしい紙袋を2つ持ってキッチンから出てきた。
中也
太宰
私は早速ティーパックの入った紙袋を鞄にしまって、お金を支払った。
今日は午後の講義は入っていないから、昼食を食べたら研究室でデータ整理をして、提出されたレポートの確認をして……
うん。其れからゼミの時間迄おやつにしよう。
私はそんなことを考えながら大学の方面へと帰って行った。
学生
学生
学生
学生
学生
大学へと戻る途中、学生達のそんな会話が聞こえてきた。少し驚くが、悪い気はしない。
私は会話を聞きつつ、自らの研究室へと向かう。スライドのデータ整理と、学生たちのレポートのチェックをしなければ。
私は研究室でパソコンの電源を入れた。 さ、スライドのデータ整理をしよう。私はパソコンにUSBを差し込んで、パソコンの画面を見つめた。
太宰
気付けば時刻は15時を少し過ぎた処だった。そういえば少し小腹が空いた様な気もする。
データ整理は終わらせたし、レポートのチェックも半分ほど片付けた。ゼミは16時からだし、そろそろおやつにしよう。
太宰
私は笑みを浮かべて、鞄から紙袋を取り出した。其れを机の上に置いて、袋を開ける。中には小さなタルトタタンが1つ。
太宰
私は思わず感嘆の声を漏らす。なんて可愛らしいんだろう。見た目も香りも素晴らしい。
今直ぐにでも食べてしまいたい気持ちを抑えて、タルトタタンをオーブンに入れる。
タルトタタンを温める間に、ラズベリーリーフティーを淹れることにした。
予め沸かしておいたポットのお湯をゆっくりとカップに注ぎ、其処にティーパックを入れる。
太宰
無色透明のお湯がじんわりとやさしい黄金色に染まっていく。ほんのりと甘い香りが研究室の中を満たす。
お茶を淹れながら癒されていると、オーブンがチン、と音を立てた。
太宰
少し温めすぎてしまったタルトタタンをお皿に移す。火傷しそうになったが、セーフだ。
何時もの事務机から移動して、研究室の窓際の椅子へと座る。窓からは大学内の中庭が見える。今日は天気も良いし、とても清々しい気持ちだ。
太宰
フォークでタルトタタンを一口サイズに切って、口へ運ぶ。
少し酸味のある林檎と、とろりとした甘いカスタードクリームがとても合う。
さくさくしたタルト生地は香ばしく、いいアクセントになっている。本当に美味しい。
太宰
私は思わず息を吐く。なんて贅沢な時間なんだ。優雅な午後のティータイムを過ごしているようで、気分が良い。
そうそう、と思ってラズベリーリーフティーに口を付けると、焙じ茶や緑茶を思わせるほろ苦さを感じる。
先程も感じたほのかな甘い香りが鼻から抜けていくのが何とも心地好い。
ラズベリーというくらいだから甘酸っぱいのかと思っていたけれど、意外な味だ。
太宰
私はまた息を吐く。至福の時間とはこういう時間のことを云うのだろうとしみじみ思った。
太宰
タルトタタンもラズベリーリーフティーもすっかり無くなり、私は満腹になって一息ついた。
幸せな時間だった。
このまま眠ってしまいたいくらいだが、残念なことにこの後はゼミがある。食器を片付けて準備をしなければ。私は皿やカップを洗って、講義室へと向かった。
明日のおやつは何にしようかな、なんて 考えながら上機嫌で歩いて行った。