コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
いつも通りの朝 いつも通りの教室 いつも通り、ドアの前で深呼吸をする
上村謙信
教室に入った途端 上村くんの嬉しそうな声が耳に届いた
吉岡彩葉
"おはよう"の4文字が 喉の奥から出てこなかった 代わりに頷き返した
上村謙信
自分の席について 荷物を机の中に片付けている最中 上村くんは楽しそうに話しかけてくる
でも私が何も言わなくても 何も言えなくても 気にしてないのかなんなのか 一方的に話し続けている
上村謙信
廊下に視線を向ければ たまたま通りがかったであろう 山下くんが、教室に入ってきた
山下永玖
上村謙信
山下永玖
上村謙信
山下永玖
上村謙信
山下永玖
上村謙信
山下永玖
開封済みの栗が入った袋を 私の前に出してきた
吉岡彩葉
山下永玖
また首を振れば "苦手なんじゃない?"と 察したらしい上村くんが言った
山下永玖
不思議そうに私の顔を見てくる 山下くんに"そうだよ"の意味を込めて 少し大きめに頷いた
山下永玖
残念そうに栗を見つめて ひとつパクりと口の中に入れた
山下永玖
なんだか可愛らしい言動に 小動物っぽさを感じつつ やっぱりしっかり男の子を感じてしまう
その姿に くくくと肩を揺らせば ふたりが驚いた顔をした
上村謙信
かと思えば いつもの調子に戻った
今日もまた 4時間目の終わりのチャイムが鳴った
昨日と違うところは チャイムが鳴るなり 関先輩が迎えに来たことだ
上村謙信
関哲汰
上村謙信
関哲汰
上村謙信
高尾颯斗
変わらず騒がしい高尾くんに またしても笑みがもれた
関哲汰
吉岡彩葉
人と関わるのが怖かった
嫌われるのが怖かった 裏切られるのが怖かった
話せない自分を 周りと同じように出来ない自分を 悔しくて、何度も責めた
普通になりたいと 何度も願った
変わりたい
この人たちとなら 変われるかもしれない
変わらなきゃ
ずっとこのまま話せない私じゃなくて 沢山話せて、沢山笑える私になりたい
人と関わるって 楽しい
屋上に上がれば、もう既に スマホゲームに夢中な沢村先輩と 屋上からの景色をカメラで 撮っている草川先輩がいた
草川直弥
沢村玲
高尾颯斗
山下永玖
関哲汰
いただきます!
たまご焼きをひとつ 口の中に入れた瞬間 校内放送が入った
上村謙信
沢村玲
上村謙信
草川直弥
ふたりの背中を追うように 階段を下って そのまま3階の図書室へと急いだ
委員会の打ち合わせを終えて 屋上に3人で戻れば 他の人たちはみんな食べ終わっていた
沢村玲
草川直弥
沢村玲
草川直弥
沢村玲
上村謙信
関哲汰
草川直弥
沢村玲
高尾颯斗
沢村玲
関哲汰
関哲汰
その勢いに押されて 小さくこくりと頷けば タイミング悪く予鈴が鳴った
上村謙信
草川直弥
高尾颯斗
半分程残ってしまった私のお弁当を見て 高尾くんが心配そうに聞いてきた
吉岡彩葉
高尾颯斗
沢村玲
高尾颯斗
首を横に振って ありがたくグミを受け取れば "困らないって"と得意気に笑った
沢村玲
草川直弥
誰よりもお母さんっぽいことを言う 草川先輩に 面倒見いいのかなと思っていたら "走るよ!"と 上村くんに手を引かれた
上村謙信
本鈴が鳴る直前 教室に滑り込んでなんとかセーフ
上村謙信
既に来ていた教科担任の先生に 委員会のせいで遅れましたと 上村くんがアピールする
先生
午後1発目の授業は 今日は古典
読み合わせがあるから 国語と英語の時間は得意ではない
先生
"はい、やろう!"と言わんばかりに ノリノリで私の方に体を向ける上村くん
やだなぁ~ 聞こえるかなぁ、 届くかな、
上村謙信
交代して 私が読み始めたとき ぐっと頭を下げた
聞こえない?聞こえてない? もっと声出さなきゃ、 もっとはっきり言わないと、
上村謙信
少し安心して、読み始めようとしたとき 周りがぼちぼち終わり始めた
やばい 読めない 読めなくなっちゃう やだ 目立ちたくない
どうしよう
最後まで読めない、
上村謙信
私の心を見透かしてか 全体が静まり返る前に中断してくれた
学習面的には あまり良くないのかもしれないけど 今の私にとってはありがたい
ありがとう
言えたらどれだけ楽なんだろう
言えない
どうして? サイテーだよ、私 サイテーなことしてる
授業中なのにも関わらず 悔しさから涙がじんわり浮かんできた
泣いちゃダメだよ
泣かない
授業中だし、
自分の感情とは裏腹に 静かに涙が溢れてきた
上村謙信
小声で私の様子を伺うように 上村くんが聞いてきた
なんて答えよう
なにが正解…?
上村謙信
迷っていたら 先生に保健室に行くと宣言された
上村謙信
私の手を引いて 泣き顔がみんなに見えないように 壁になってくれる