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参加者
そう言われ、最終選別の参加者たちは一斉に山の奥へと走り出した。
葵もその中に混じっていたが、ほかの受験者とは違う目的があった。
私はこの試験に合格するためじゃない ーーー未来を変えるためにここにいる
彼女は真っ直ぐに駆け出した。
狙うのはたった一つ。
ーー「手鬼」の居場所だ。
手鬼。最終選別の場に何十年も潜み続け、多くの剣士たちを喰らってきた鬼。
この鬼に殺されるはずの錆兎と真菰を私は助ける!
葵は呼吸を整え、走りながら耳を澄ませた。
その時ーーー
参加者
近くで、誰かの悲鳴が響いた。
まずい、もう手鬼が動き始めてる!?
葵は一瞬迷ったが、迷う時間すら惜しかった。
葵
全速力で森を駆け抜ける。
その先で、葵が見たものはーー
葵
大きな影が、少年の体を掴んでいた。
青白い肌。異様に長い腕。無数の手が絡みつく、異形の鬼ーー手鬼。
そして、その鬼の前に立ち塞がるのはーーー
錆兎と、真菰だった。