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きゃー!!!きゃわいい!白くんなぜわかったんだ!?な、なんかすげぇ
初コメですよね!失礼します‼︎ 最高すぎるぅ‼︎お話の書き方大好き♡ 白ちゃんは何者なんだ、、? 赤ちゃんの反応がほんとに可愛い💕 どうなるか楽しみ✨ 続き楽しみです♪
最後の赫くん可愛すぎでは??
桃
頭が真っ白になるって、こういうことなんだと思う。 怖くて、驚いて、酸素が喉の奥に詰まってしまって、何も言えなかった。
怖いのはその発言だけじゃない。 彼は笑っていた。 喜びも、皮肉も、慈しみも何も感じない無機質な笑顔。
桃
俺は声の震えを必死に抑えた。 こういう場を取り繕うための嘘は、不思議にも流暢に出てくる。
白
白
桃
俺は彼の肉付きの悪い肩を思いっきり掴んだ。 全身から汗という汗が吹き出て身体中を伝う。 突然取り乱した俺に流石に驚いたのか、彼は笑顔を消して少し目を見開いたまま俺を見つめている。
桃
白
白
赤
そんなやり取りをしていたところで、りうらが戻ってきてしまった。あまりタイミングがよくない。 りうらは何も理解していない様子で、俺と彼の顔を交互に見比べている。 とにかく何とかしてこの場を巻かないと。
白
彼はりうらへ視線を移して、また笑顔で見つめた。 あの恐ろしい発言をしたときと、全く同じ表情で。
白
桃
怖い。意味がわからない。さっきからこいつは何を言ってるの?何がしたい? 咄嗟にりうらの方へ顔を向ける。そして視界に映ったりうらの様子を見て、俺は固まってしまった。
赤
視線を地面へと落として、千切れてしまいそうなほどスウェットの裾を強く握りしめている。 声も体も小刻みに震えて、反論も否定もしようとしない。
桃
白
ブーッブーッ
断りもなく、彼の言葉を遮るようにしてブザー音が鳴り響いた。 彼は片手にタコを抱えたまま器用にスマホを取り出す。
白
白
白
彼が液晶画面を軽くタップして通話が終わる。 そしてずっと抱えていたタコを軽くりうらに向かって放り投げた。
赤
白
桃
彼はソファーから立ち上がって、ビニール袋を揺らしながら歩き始めた。 3、4歩ほど進んだ辺りで立ち止まって、もう一度俺たちの方を振り返る。
白
桃
たったそれだけを言い残して、彼は人混みへと消えていった。
生きた心地がまるでしない。さっきまでの会話があまりにも現実味がなくて、信じたくないものだったから。
桃
赤
りうらは俺の腕に手を回して、爪が食い込むほど震える手で強く握っている。 下を向いたまま何も言わず、聞こえてくるのは不規則な呼吸音だけ。
桃
桃
赤
りうらはようやくゆるりと顔を上げる。
赤
桃
赤
赤
桃
赤
りうらの手が、そっと俺の腕から離れる。代わりに、俺の手のひらを優しく握った。 りうらの表情を伺うと、張り詰めたような表情は消えて緩んでいる。 それに安堵して、俺も離すまいと柔らかな彼の手を優しく握り返した。
シンクの蛇口を捻って、買ってきたばかりの野菜を流水で洗う。 ピーラーで皮を剥いた後、引き出しから包丁を取り出して柄を握った。
桃
赤
桃
ざく、ざく、と包丁を下ろす。 余計なことは考えない。あの子だって、きっといたずらで適当なこと言ってるだけなんだから。 そう自分に暗示して、刃が野菜の実を断つ感触だけに集中した。
桃
赤
桃
まな板を傾けて、既に沸騰している鍋の水に野菜を流し入れる。 ぶくぶくと野菜達が鍋の中で踊る様子を、りうらはまじまじと見つめている。
桃
赤
桃
あぁ、またこれだ。 心臓が、芯からゆっくりゆっくり冷えていくような。 りうらの虐待エピソードを聞く度にこの感覚に苛まれる。 この感情は同情でも何でもない。 話の内容よりも、それを話すりうらの声色がずっと落ち着いていて無頓着な感じ がして。それがすごく怖い。
さえ箸で野菜をつつく手と反対の手を、りうらの頭にそっと乗せる。
赤
細い髪の毛1本1本が指の間を通る感覚で、りうらの存在を確認する。 こうしないと気が済まなかった。放っておいたら消えてしまいそうな気がして。もしかしたら、横を振り向いたときには居ないんじゃないかなんて考えてしまった。
....いや、俺は何を考えてるんだろう。確かに約束をしたのだから彼に居なくなられては困るのだけど、だからってここまで過剰に不安がる理由はないだろ。 俺は何にこんなに執着しているのだろくか。
赤
桃
りうらの言葉を聞いて、俺は鍋に視線を移す。 熱でぶくぶくになった泡が、いつの間にか鍋の縁ギリギリまで上昇していた。
桃
俺は慌ててコンロのレバーを思いっきり左に動かす。 すると、さっきまでが嘘みたいにあっという間に白い泡は小さく縮んでお湯の中へ溶けていった。
桃
赤
隣で苦笑いするりうらを見て、ようやく現実に引き戻される。 危ない。料理中にぼーっとしてると怪我するぞ俺。さっきりうらに注意したばっかりなのに。
すぐ側に置いておいたカレールーを取って鍋の中に入れる。 ルーが完全に溶けて茶色に染まった液を、白いご飯の上に被せた。
桃
赤
生憎俺の家に大きなお皿が無かったから、仕方がなく汁用のお椀に入れたカレーライス。 それをりうらに差し出すと、慎重に慎重にローテーブルへと運んでいった。
赤
桃
りうらは銀のスプーンを握って、1口分のカレーを掬い、口に運ぶ。
赤
桃
赤
りうらが首を傾ける。 俺は台所から離れて彼の前に座り、彼が握っているスプーンをこちら側に寄せる。 ふーっと自らの息を吹きかけて、スプーンに乗ったカレーをりうらに差し出した。 さっき火傷しかけたせいか、彼は少し怖気つきながら慎重に口の中へスプーンを入れる。
赤
桃
りうらはまたカレーをスプーンの上に乗せ、俺を真似てふーっと必死に息を吹いている。
桃
赤
桃
夢中になってカレーを貪るりうらを見守る。 すると、ぐううとお腹の中で音が共鳴した。
赤
桃
今のお腹の音は、確かに俺の音。 俺はすごく驚いていた。 お腹が空いた。こんなこといつぶりだろう。食欲なんて遥か昔に消え去っていたのに。
桃
お椀を食器棚から取り出して、まだ残っていたカレーをおたまで掬っていれる。 またりうらの前に座り直して、自分の口にカレーを運んだ。
カレールーの味がする。じゃがいもの食感が伝わる。咀嚼物が喉を通る感覚が分かる。 ...そっか。食事ってこんな感じだったんだっけ。
赤
桃
桃
赤
桃
抵抗感がなく、食べ物が喉を通っていく。 あぁ、カレーってこんなに美味しかったっけ。会話ってこんなに楽しかったっけ。 生きるって、こんな感じだったっけ。
俺たちに約束された未来はない。 明日には...いや、もしかしたら1時間、10分後にはもうこの関係は壊れているかもしれない。 未来なんて惟たって仕方がない。価値すらない。今までずっとそう思っていたのに。
俺は今、ずっと未来の話をしている。
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