TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
LINE1249

LINE1249

「LINE1249」のメインビジュアル

1

♥

40

2023年10月19日

シェアするシェアする
報告する

ケイト

カンタ、お前さ

ケイト

もしかして、この前B駅の近くのスーパーにいなかった?

カンタ

あー買い物してたけど

カンタ

なんでそんなこと聞くの?

ケイト

やっぱり!

ケイト

久しぶりに見かけたと思ったんだよな~

ケイト

20歳の時の同窓会で会ったきりだっけ?

ケイト

遠目で見てそうかな、と思ったけど、違ったら恥ずかしいから話かけれなかったんだよ

ケイト

それで、今は何してんの?

カンタ

今は就職して、郵便局員として働いてるよ

ケイト

へ―郵便局員かぁ...

カンタ

なに?なんか言いたいの?

ケイト

いや、別に特にそういうわけじゃないけどさ

ケイト

お前、中学の時の卒業文集で将来は作家になる、とか書いてなかった?

カンタ

そんなの、昔のことだし...

カンタ

今は自分の仕事があるから、ちゃんとそこにコミットできるように頑張ってるよ

ケイト

ふーん、あんだけでかい夢掲げといて、まったく違う仕事してるとか...

ケイト

なんかだらしねーな

カンタ

は?どういうこと?

ケイト

いや、だって覚えてる?

ケイト

中学の時の小説の読書感想文で先生に、

ケイト

「表現が豊かで、将来小説家になれそうね」とか褒められてたじゃん

ケイト

そのことを真に受けて、小説家の夢持ち始めたんだろ?

ケイト

でも、いざその厳しさ知って、親に反対されて安定した仕事につけ、って言われて...

ケイト

郵便局員になった、ってわけだ

カンタ

親のことも安心させたかったし、しょうがなかったんだよ

ケイト

やりたいことで親に反抗しないところは、なんかカンタらしいよな

ケイト

弱々しいっていうか、言いなりになってる、っていうかさ

カンタ

結果的に俺が選んだ道なんだから、ケイトがとやかく言うことじゃないだろ?

ケイト

で、年収はどうなんだよ?

カンタ

え?そんなの、言いたくねーよ

ケイト

福利厚生は良い、っていうけどさ

ケイト

そこまで年収は高くないんだろ?

カンタ

まあ...確かにそこまで年収は高くないよ...普通の正社員だから今は300万くらいかな

ケイト

へーそんなもんなんだ

ケイト

俺は、今年で2年目になるけど、契約した作家の数が同期の中で一番多いんだよ

ケイト

作家をサポートする力もある、って編集長からも認められてさ

ケイト

将来の編集長とカ言われたけど、俺は今独立も視野に入れて将来計画してるんだ

カンタ

独立?

カンタ

法人化するの?

ケイト

まあ、最初はフリーランスとして、作家の卵を育てていこうかな、って思ってる

ケイト

大手編集部で働いてた俺の経験を持ってる俺のこと、信じてくれる人はきっと沢山いると思うし

ケイト

だから、それまでしっかり働いて、作家の書籍化をサポートしていきたいんだよね

ケイト

カンタは?

ケイト

完全に小説家の夢、諦めたわけ?

カンタ

まあ、今は本職に集中したいしさ

カンタ

1人暮らしするには、そんな悪い給料じゃないから、これからも郵便局員として働くつもりだけど

ケイト

そうやって、すぐに諦めるから何も変わらないんだよ

ケイト

昔からそうだよな、カンタって

ケイト

何に対しても中途半端っていうか、志が低い、っていうか

ケイト

そんなんじゃ、いつまでたっても管理職につかなくて

ケイト

60近くになってもずっと一般職にいるんじゃね?

カンタ

俺は、そんなつもりで仕事してないよ

カンタ

これからやりたいことだってあるし、何も知らないお前にあれこれ言われたくねーよ

ケイト

相当な自信があるんだな

ケイト

そしたら、これから人生成功する見通しも立ってる、ってわけだ

カンタ

そんなことは別に言ってないだろ

ケイト

そんなに自分に自信ないのかよ?

ケイト

損なんだから、いつまでたっても結婚できないんじゃないの?

ケイト

それどころか、恋人さえいないか...

カンタ

そういうケイトはどうなんだよ?仕事上手く行ってんの?

ケイト

俺?よくぞ聞いてくれたじゃないか

ケイト

俺は、最近付き合い始めた彼女がいるんだよ

カンタ

え、そうだったんだ...

ケイト

それでさ、結婚も見据えて話し合い進めてるところ

ケイト

彼女の親にも、俺の親にも今後挨拶する予定だし

ケイト

仕事も結婚も、将来のことも順調だって

ケイト

カンタは、いつまであんなボロアパートに住んでるんだよ?

カンタ

え?なんで俺の住んでるアパートまで知ってんの?

ケイト

いや、たまたま見ちゃったんだよね

ケイト

カンタが古っぽいアパートに入っていくところ

ケイト

いや、別に誰にも言わないぜ?(笑)

ケイト

だって、もし俺1人でも言いふらしたら、お前これから外出れなくなるだろ?

カンタ

何だよ、それ...

カンタ

俺が貧乏暮らししてるの、見て面白がってるわけ?

ケイト

別に、面白がってるわけじゃないけどさ

ケイト

なんか、可哀そうだな~と思って

ケイト

俺は遠目からしか見てなかったけどさ、どうせ買ってたものも値引き品のものとかなんだろ?

ケイト

ボロアパートに住む奴が買うものなんて、だいたい予想がつくんだってーの

カンタ

お前、相変わらずだよな、その態度...中学、高校の時から全然変わらない

ケイト

え?何が?どんな態度って?

カンタ

なんか、どこか人を馬鹿にする、っていうか

カンタ

見下してる、っていうか

カンタ

そんなんでよく結婚できたよな

カンタ

不思議で仕方ないんだけど

ケイト

まあ、俺の仕事できる才能に奥さんは惚れたんじゃない?

ケイト

それに、見下す、って言い方やめれくれね?

ケイト

思ったことを正直に伝えてるだけだし、それが本人のためになるだろ

カンタ

俺は、そうは思わないけどね...言葉選ばねーし

カンタ

そのうち、奥さんにもその本性ばれて嫌われるのが落ちなんじゃないの?

ケイト

それはないな

ケイト

そんな態度、奥さんには絶対に取らないし、優しいから

ケイト

俺が仕事できて、何もかもうまく言ってるからひがんでるの?

カンタ

そんなんじゃねーよ

カンタ

ほんと、そういうところが嫌いなんだよ

ケイト

まあ、せいぜい貧乏暮らし頑張って

ケイト

俺はもうそろそろ、独立して1人の小説家の卵と一緒に仕事していく予定だから

カンタ

どんな小説家だよ?

ケイト

なんか、電子書籍で書いてたライターらしくて、

ケイト

編集長がうちの雑誌で定期で小説を書いてみないか、その作家に聞いたんだって

ケイト

そしたら、ぜひお願いします、って返事来たらしくてさ

ケイト

それで、その作家の書籍を出すまでのサポートも、俺が任せてもらえることになったんだ

ケイト

じゃあ、その打ち合わせでこれから会社でミーティングあるから、仕事戻るよ

ケイト

お前も、頑張れよな

~1週間後~

ケイト

なあ、カンタお願いがあるんだ

カンタ

何?

ケイト

実はさ、自分で始めてたFXで失敗しちゃって...

ケイト

300万の借金抱えることになったんだ

ケイト

色んな知り合いに頼み込んで金貸してくれないか頼んでてさ

ケイト

少しでもいいから、お金貸してくんね?

カンタ

貧乏だと思ってる俺からよくそんな金なんてせびることできるよな

カンタ

無理に決まってるだろ

ケイト

そこをなんとか頼むよ!

ケイト

実は、奥さんにもばれちゃって結婚破棄されたんだ...

ケイト

奥さんの親にも、俺の親にもばれちゃったし...

ケイト

今は数人の頼れる友人にしか、お金のことなんて聞けない状況で

カンタ

そんなの、内緒で投資なんかしてたお前が悪いだろ

カンタ

調子に乗り過ぎたんじゃねーの?

ケイト

本当に、たった5万でもいいから、頼むよ!

ケイト

実はさ、俺が担当することになった作家の書籍サポートも、

ケイト

編集長が変わることになったんだよ

カンタ

知ってるよ

ケイト

え?なんで知ってんの?

カンタ

だって...そのケイトが編集者としてサポートする予定だった作家、俺だもん

ケイト

え!?

ケイト

ちょっと待てよ!

ケイト

どういうことだよ?

カンタ

実は、本業の郵便局員とは別にして、こっそり電子書籍で自分の好きなストーリーを書いててさ

カンタ

ここ数年で、少しずつ人気が出始めて、大手編集者の目に止まったんだ

カンタ

それが、ケイトの上司の編集長だった、ってわけ

ケイト

でも、前に放した時はもう小説家は諦めた、って言ったじゃん

カンタ

驚かせたかったし、黙ってたんだよ

ケイト

なんで、いちいちそんなことするんだよ

カンタ

話さなかったからってどうにかなるの?

ケイト

いや、そういうことじゃないけど...

ケイト

まあ、お前が小説家だってことはいったん置いといて...

ケイト

なんで編集長に俺の仕事渡したんだよ?

ケイト

俺がお前のサポートする予定だっただろ?

カンタ

だって、人のこと見下す奴からサポートなんてされたくないし

カンタ

お前だって、俺と仕事するって知ったらきっと嫌だっただろ?

ケイト

お前が小説家として活動してたなんて知らなかったからさ

カンタ

でも、俺仕事に関してはこだわり強いからさ

カンタ

多分だけど、ケイトとは上手く仕事やっていけないと思うんだわ

カンタ

それに、純粋に俺のこと昔いじめてたやつとは仕事したくない

カンタ

だから、ケイトの担当を断って、編集長に任せたんだ

ケイト

分かった...

ケイト

カンタの言い分は分かったから、じゃあ、俺から本当に、一生のお願いだ

ケイト

頼むから、俺に任せてくれないか?

ケイト

本当に、俺なら数々の作家をサポートしていくつもベストセラー出してきたし、

ケイト

絶対に、俺ならカンタのこと、売れる作家にできるよ!

カンタ

じゃあ、聞くけどさ

カンタ

ケイトは俺の電子書籍、何冊読んだの?

ケイト

それは、これから読んでいく予定だよ

カンタ

俺が今まで何冊の小説書いてきたか、知ってる?

カンタ

普通の単行本の暑さで、10冊だけど

カンタ

それを、5日で読める?

ケイト

え?5日!?

ケイト

普通に仕事もあるし、それはさすがに厳しい、って言うか...

カンタ

それができないんだったら、俺は自分の小説の良さを熱弁してくれた編集長と仕事をしたい

ケイト

でも、絶対に俺の方が売れる作家にできるって!

ケイト

約束するよ!

カンタ

信じれないよ

カンタ

それに、売れるようにしてくれる、っていうけどさ、

カンタ

それはシンプルに今までの作家の才能があったからじゃないの?

ケイト

確かに、今までの作家はもともと実力があったやつだけど...

カンタ

じゃあ、別にケイトの力じゃないじゃん

ケイト

そんなことねーよ!

カンタ

悪いけど、俺は今すぐにでも書籍化に動き出したいんだよ

カンタ

ずっと追い続けてきた夢が叶いそうなんだ

カンタ

ケイトのペースに合わせて、自分の夢のチャンス逃したくない

ケイト

そんなに言うなら、編集長に任せれくれて良い

ケイト

そしたらさ、本が売れたら100万くらい、貸してくれねーか?

カンタ

は?だから、金は貸さない、って言ってるだろ

ケイト

本当に、頼むよ!

カンタ

まだ売れるか分かんねーし、たとえ売れたとしても株に失敗した奴に手はかしたくない

カンタ

自分で返済、頑張れよな

ケイト

今まで言ってきたこと、土下座して謝る!

ケイト

だから、1人の命を救うためだと思って、貸してくれないか?

カンタ

これから変主張と会議があるから

カンタ

もう、話はこれで終わり

カンタ

金はかせない、以上だ

~後日談~

カンタ

その後、ケイトからしつこく連絡は来ましたが、俺は即ブロックしました

カンタ

また、電子書籍も少しずつ売れてきて、それだけで生計を立てられるようになったので、

カンタ

郵便局員は辞めて、小説家の道一本で初の書籍を執筆しました

カンタ

編集長のサポートのおかげで、書籍はベストセラーし2カ月でなんと200万冊も売れました

カンタ

生活に余裕が出た俺は、ボロアパートを出で新築一軒家で好きな仕事を続けています
loading

この作品はいかがでしたか?

40

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚