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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで

川と桜に沿った落下防止の緑色の金網のフェンス。

その向こう側から体育館がドーンと存在感を主張する。

そこから聞こえてくる吹奏楽部の奏でる音は、思っていた以上に騒々しい

勇壮に聞こえる演奏も、今日の俺にとっては憂鬱で鬱陶しいだけだった。

残念ながら吹奏楽部の奏でる楽曲は、式が終盤を迎えている事を暗に告げていたからだ。

俺は短く深いため息をついた。

U r _ .

ハァ......入学初日から遅刻とか印象悪すぎだよな......

いくら独り言を嘆いても現実は変わらない。

俺は気を取り直して、新品の鞄を脇にしっかり 抱える。

鬱陶しい気持ちのまま体育館横を通り抜けた。

小走りに校門を目指す。

近代的な白いコンクリート。 連なる新設の校舎が俺を出迎える。

校門の中央には、

〝県立常盤南高等学校〟 と書かれたプレートが大きな存在感を出している。

いつも通る時は全く気にならなかったが、入学式初日のプレートは遅刻した俺にぷれっしあをかけるキラーアイテムになっていた。

〝関係者以外通行不可〟 と何やら偉そうに書かれた校門を、ガラガラと力一杯横にスライドさせる。

左右に誰もいないことを確認し、体を滑り込ませた。

N a _ .

ねぇ!君遅刻?

不意に声をかけられ驚いた。 明るく透き通った声が、無防備な俺の 斜め後ろから急に聞こえてきたのだ。

ゆっくりと振り返る。

生徒指導の女性の先生だろうか。顔だけを 声の方に向けた。

そこには常盤南高の制服を着たピンク髪の少女が立っていた。植木の脇にポツンと。

白くピンとした袖は優等生の象徴のように見えた

少女は呆気に取られてる俺の顔を見ると クスッと吹き出した。

硬い表情から一気に笑顔に変わった。

その外見は、女性に疎い俺でも一瞬で分かるほどの美少女だ。

グリーンチェックのスカートから白く長い脚が スラッと伸びている。

顔ちっちゃ!目デッカ!超可愛い!

それが俺の彼女に対しての第一印象だった。

U r _ .

はい......そうです

とてもぶっきらぼうだったかもしれない。 しかし、それがいきなり話しかけられ、びっくりした俺が返せる精一杯の言葉だった。

女の子は重ねてクスッと笑うと、矢継ぎ早に質問を被せてきた。

N a _ .

君、もしかして新入生?

この子は俺と同じ遅刻じゃないのか?

だとしたら何でこんなに余裕なんだろう?

新入生って聞くって事は先輩なのかな、?

U r _ .

あ、はい。

ひとまず、正体不明の美少女の質問に答えておく。 しかし、心の中はこれまでに無いくらいざわついていた。

相手の素性こそ分からないものの、自分史上見た事が無いレベルの美少女が目の前に立っているのだ。

その状況に俺は完全に虚を衝かれ、動揺を隠そうと必死だった。

ほんのわずかなやり取りではあったが、僕はこの一瞬で彼女の笑顔と声に魅了された。

もしも今鏡を見ることができるなら、目尻は下がり、鼻の下は伸びているに違いない。

自分が恐ろしいほどだらしない顔だと想像し得るから、あえてそこは想像するのをやめた。

次回 ♡150

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