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フィンくんだぁ
やったー!フランスきちゃー!!
フィンくんが出てきちゃー!!!
墓の掃除を終えた 俺たちは、また 駅へと戻ってきていた。
日本
上機嫌な日本が そういうと、隣で にゃぽんもうんうんと 頷く。
にゃぽん
日帝
二時間の電車の旅、 そして墓へ行くまでの 時間と掃除の時間、 駅まで帰ってくる時間を 考えたらもう既に昼時だった。
日本
にゃぽん
目をキラキラとさせた にゃぽんに押され、 日本が苦笑した。
日本
にゃぽん
日帝
そんな二人を見て、 俺はつい笑い声をもらす。
昔の海と空を、無意識に 目の前に居る日本と にゃぽんに重ねてしまった からだろうか?
にゃぽん
日本
二人が小声で 言い合っていたが 全部聞こえてるんだぞ。
…だが、こんな時間も…
日帝
にゃぽん
日帝
俺はそこでいったん 思考を中断し、慌てて 日本たちを追いかけた。
にゃぽんが先導し 辿り着いたのは西洋風の 喫茶店だった。
日帝
日本
日本に問われ、席に 座りながら頷いた。
日帝
にゃぽん
日帝
にゃぽん
もっと色々教えて!と ねだるにゃぽんに俺は 苦笑を返し、その横で 日本が微笑ましげにこちらを 見ていた。
店員
日本
店員
俺とにゃぽんが話している 間に日本がすべて注文を してくれていた様で料理が 届いた。
にゃぽん
ランチAセット、とやらは かなり豪華なものだった。
エビフライとハンバーグ、 そしてキャベツの千切り。 マカロニサラダやトマト なども乗っている。
さらに豚汁と白米も 付いてきていて、 すごく美味しそうだ。
日本
日帝
日帝
日本
ニコリと日本が 微笑む。
久しぶりに食べた 洋食は、思っていたよりも ずっと美味しかった。
にゃぽん
日本
日帝
このくらいなんでも ないです、と日本は 言った。
…だが、俺は知っている。
今の所、毎晩日本は 残業続き。
この間なんて━━━…
日本
日帝
夜、手洗いに立った 俺が日本の部屋の前を 通った際に聞こえた かすかな日本の声。
日帝
何となく部屋に入るのは はばかられ、俺は 失礼ながらも障子の外から その声を聴いた。
日本
日本
日本
日帝
結局、そのあと俺は 日本にかける言葉も 見つからず自室へと 戻ったのだ。
日帝
だから俺も、早く 働き口を見つけて 働かなければ ならないのだ。
…だが、俺は処刑 された筈の旧国。
もしろくでもない奴に 見つかれば即刻刑務所へと 入ることになるだろうし、 そもそも軍人として働いて 来たのだから今更まともな 職に就けるかもわからない。
日帝
俺は無意識にため息を吐いた。
にゃぽん
日帝
とにかく、連合国か 枢軸の皆に相談して 仕事を探そう。
そう思って歩き出そうと したとき、靴に何かが当たる 感覚がした。
日帝
足元を見てみると、 そこに落ちていたのは 明るい緑色の棒。
拾ってみると、 それはクレパスだと わかった。
日帝
にゃぽん
にゃぽんの言葉で、 坂の上を見上げると。
???
日帝
にゃぽん
相手が走って坂を 駆け下りようとする ので、俺は慌てて 坂を上った。
日帝
???
ぜぇぜぇと息を 切らしながら、相手は クレパスを受け取った。
日帝
???
相手が笑い声を交えながら そう言った。
???
相手はバッと頭をあげた。
ベレー帽に、横縞の服。 細身の足を綺麗な青色の ズボンが覆っている。
青と赤のオッドアイに、 俺はどこか見覚えがあった。
それはどうやら、相手も 同じだった様で。
???
???
相手が目を見開きながら 叫んだ。
日帝
???
フランス
日帝
…たしかに、俺は フランスを覚えている。
でも、目の前に居る奴が 『あの』フランスだとは 到底思えなかった。
あれはたしか、 第二次世界大戦中。
先輩がフランスを 支配出来たと言ったので、 一度だけフランス領へと 赴いたのだ。
フランス
そこで俺は、初めて フランスと会った。
江戸時代… 日仏修好通商条約を 結んだらしいから一応俺の 父上がフランスと 会っていたのだが、 俺は初めてだった。
ナチス・ドイツ
日帝
ナチス・ドイツ
フランス
パリ軍隊の軍服を着てこそ 居るものの、先輩の 指示に従順に従う 姿はもう奴隷…いや、 傀儡人形そのもの。
だが━━━…
日帝
黙々と仕事をする フランスの目には、 先輩から受ける支配を 絶対に解くんだという 激怒にも似た強い意志が 見て取れた。
日帝
目の前でニコニコと 微笑む姿に、昔会った フランスの面影は 見えなかった。
フランス
日帝
フランス
まぁそれもあんまり 長く続かなくて、すぐ フランス第五共和国に なっちゃったけど。 と、フランスは笑った。
日本
フランス
日本
フランス
フランス
日帝
目を輝かせて俺に 尋ねるフランスに、俺は もう何度目かわからない これまでの経緯を説明 し始めた。
フランス
日帝
フランス
日帝
フランス
フランスは先程拾った 緑色のクレパスを 手に、きょとんとした 顔で言った。
フランス
日帝
ふと、微笑みが零れる。
こうして俺自身もわからない 事情を簡単に信じてもらえる 事が、これほどまでに 嬉しいものだと気づいたから。
日帝
フランス
日帝
フランスから差し出された 手を、俺はしっかりと 握った。
フランスと別れたあとも、 俺たちはその街で のんびりとしてから 帰ることにした。
俺がまだ幼い頃にあった 建物が取り壊され、
その跡地には新しい 建物が建っていたり するのを 見ると、
日帝
…と、再認識させられる。
日本
日帝
日本
日本
日帝
…確かに、言われて みれば…
この場所は、俺が今居る 世界において一番安心できる 所なのかもしれない。
そう思ったら、 また口角が自然と上がる。
そんなとき、先を歩いていた にゃぽんがとある看板を 指さして叫んだ。
にゃぽん
日本
にゃぽん
日帝
懐かしい単語だ。
昔はよく、この暑い 夏に空と海とで欠氷の 雪を食べたものか。
日帝
にゃぽん
日本
はしゃぐにゃぽんの 斜め後ろで、日本が 苦笑していた。
看板の近くにあった のは、きゃんぴんぐかー? というらしい、小さな 店だった。
にゃぽん
???
大声でにゃぽんが 叫ぶと、車の奥から 声が聞こえてきた。
にゃぽん
???
にゃぽん
日本
日本にそう聞かれ、俺は 咄嗟にメニュー表に 目を通す。
日帝
そこで俺は、
『雪』
と書かれた文字を 目にした。
日帝
???
ガタガタと音が してから、店員が ようやくカウンターに 顔を出した。
???
???
にゃぽん
日本
突然名を呼ばれ、 俺たちはカウンターを 見上げる。
そこに居たのは━━━…
にゃぽん
フィンランド
昔から変わらない ニット帽を被った、 フィンランドだった。
フランス
フランス