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風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
体の力が抜ける
頭の中がふわふわする
目の前の男に褒められている事がとてつもなく嬉しい
ゆっくりと傍まで近付いた俺を、風間悠斗は柔らかく笑って褒めた
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
スっと伸びてきた風間悠斗の手を、震える手で叩き落とす
こんなのは俺の本能じゃない
俺は他のSubとは違う
DomのCommandに尻尾を振って喜ぶ様なSubじゃない
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
新しいCommand...
風間悠斗はすぐ近くのソファをポンッと叩いて、そこに座るようにと命令を出した
ビリッと体中に電流の様なものが走ったが、俺の頭には同時にある疑問が浮かぶ
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
俺の質問に、風間悠斗は瞳の奥を揺らして動揺を見せた
てっきり座るんなら床だと思っていたが、風間悠斗がソファで良いと言うならそれに従うだけだ
俺は指定された場所に静かに座る
それを見届け、風間悠斗は俺の隣に腰掛けた
ダメだ...
もう、何度言い聞かせても何の意味も無い
俺の中のSubが風間悠斗を欲しがって止まらないッ
ちゃんとコイツの言う事を聞きたい
良い子にして、もっと沢山褒められたい
もっと、もっと...
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
"Sub space"とは、Subの意識が完全にDomに支配される事
簡単に言えば、SubがDomに身も心も全て委ねている状態の事だ
思考を止められ、ハッと我に返る
俺は今完全に風間悠斗に支配権を委ねようとしていた
その事実に腹の奥から呑み込めない感情が迫り上がってくる
気持ち悪い...気持ち悪いッ
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
ヒュッと血の気が引いていき、体温が下がる感覚がした
腹の中にはほとんど何も入っていないのに、急激な嘔吐感に両手で口を抑える
隣で慌てた様に風間悠斗が立ち上がる
こんな所で、風間悠斗の前で吐きたくなんかないのに吐き気が止められない
風間 悠斗(かざま ゆうと)
Commandが聞こえて体がビクッと反応する
その言葉だけでストンと心が軽くなる
今にも吐きそうだったのが、嘘の様に引いていく
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
強張っていた体の力が抜け、気分も良くなってきた
風間悠斗は俺の背中を擦るでもなく、ただ俺の目の前に跪いて心配そうに...真剣に声を掛けてくれる
吐き気と感情の不安定さからいつの間にか流れるくらいに涙が溜まっていた様で、頬を伝う涙の感覚にやっと気付いた
まだ少し霞む視界で、風間悠斗の姿を捉える
俺の視線に気付いたのか、風間悠斗はふっと笑った
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
安堵した声で礼を言い、風間悠斗は俺の頬へと手を伸ばした
溜まっていた涙と、頬に残る涙の跡を優しい手つきで拭ってくれる
その手が熱くて、冷えた体に心地良い
数分の間、風間悠斗は何も言わずに黙って俺の様子を観察していた
俺もそれが苦じゃなくて、他人との沈黙が嫌じゃないなんて初めてかもしれない
俺の中で風間悠斗に対しての嫌悪感はかなり薄れていた
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間悠斗は跪いたまま問い掛ける
今の俺には、断る理由なんか思い付かなかった
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
ニコッと笑って、風間悠斗は再び俺の隣へと腰掛けた
俺はソファの背もたれにズシッと体を預ける
それが面倒臭そうに見えたのか、風間悠斗は少し戸惑いながらCommandを1つ口にした
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
Subにとって褒め言葉は1種の麻薬なんじゃないかと思う
褒められる度に何も考えられなくなるし、体の力が抜けてしょうがない
今の俺は風間悠斗の話をちゃんと聞きたいと思っている
だから、理性を手放す訳にはいかない
じっと風間悠斗を見詰めていると、明らかに動揺して目が泳いでいた
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
少し赤らんでいる風間悠斗の頬が可笑しくて、俺は少し笑いながら返事をしてしまった
風間悠斗はゴホンッとわざとらしく咳払いをし、俺とのパートナー契約について話を始める
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
その質問には思い当たる節しかなかった
1番初めの"Stop"のCommandからずっと感じていた違和感
それがDom性が強い事と何の関係があるのだろうか?
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
つまり、Commandに欲求を全乗せしてしまうって事か
だからCommandの言葉だけ強い圧があったのか
風間悠斗が"したい"とか"してあげたい"とか"してほしい"と思えば思う程、発するCommandが力強いものになる
単純だけど末恐ろしいな、と俺は軽く身震いしてしまった
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
あまりにも必死に訂正してくるから、何かちょっと犬みたいに見えた
風間悠斗は不安そうな表情で話を続ける
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
今更ながら、1度も俺は風間悠斗に名乗っていなかった事を思い出した
マコちゃんも「秦ちゃん」って呼んでたし、俺の名字が支倉だって知ってるのはおかしい
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
BARやCLUBなんかは噂話がメインみたいなとこあるし、聞きたくなくても他人のあれこれが勝手に情報として手に入る
風間悠斗もどこかで俺の噂か何かを聞いたのだろう
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
俺がSubだって直接知ってんのは多分マコちゃんだけだった
play不足で体調不良になっていたこの頃は薄ら気付いている奴も居たっぽいが、Sub性が薄い事まで知っているとなるとマコちゃんしか居ない
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
急に言葉を濁した風間悠斗に、俺は先を話せと促す
風間悠斗はバツが悪そうに俺から目を逸らし、俯いて小さな声で呟いた
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間悠斗の様な強いDomが言うとシャレにならない
俺が顔を引き攣らせていると、風間悠斗はガバッと顔を上げた
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
ふわっと浮き上がる頭を必死に抑え込む
Commandでもケアでもないのに、風間悠斗に褒められる事が俺の中で快感に変わっているのが少し悔しい
段々と熱くなる顔をパタパタと手で扇ぎながら、俺は風間悠斗に話を進める様声を掛けた
支倉 秦司(はせくら しんじ)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
話をする風間悠斗の瞳に偽りは無い様に感じた
俺のどこにそんなに惹かれているのか分からないが、風間悠斗は本気で俺とパートナーになりたがっている
相性の良いパートナーに出会うのは結構難しい事だ
そんな相手が目の前に現れたら、もしかすると俺だって必死に縋り付いてパートナー契約を結ばせるかもしれない
ただ、パートナーになると言う事は当然playをする事になる
俺の問題はそこにあった
俺は媚びへつらって厭らしく命令を強請るSubになんかなりたくない
その事を考えると、引いていた吐き気が戻ってきそうだ
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
口篭る俺を他所に、風間悠斗はピンと右手を上げて提案を持ち掛けてきた
その勢いに圧倒され、俺は少し身を引く
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
マシンガンの様に早口に提案され、俺はポカンと間抜けな顔を晒してしまった
風間悠斗が言った「貴方にとって悪い事はない」とはこの事だったのか
確かに俺が毛嫌う下品なSubの様に自分がならなければ、体調の為にもplayをしても良いと思える
風間悠斗は本当に俺の事を第一に考えているみたいだ
それが分かりやすく伝わってきて腹の奥がむず痒くなる
風間悠斗と言うDomは、悪い奴じゃないのかもしれない...
いつしか俺の中にはそんな考えが生まれ始めていた
だが、完全に信用出来る訳じゃない
無許可でCommandを使ったクソ野郎ってのは変わらないし、Domは簡単にSubを組み敷けるのも事実だ
それでも
少しだけこの目の前のDomを信じてみたいと、俺の本能が告げているのも確かだった
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間悠斗がそっと俺の手を取る
風間 悠斗(かざま ゆうと)
握られた手がじわじわと熱を持つ
風間 悠斗(かざま ゆうと)
真っ直ぐな風間悠斗の視線から逃れる事が出来ない
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
支倉 秦司(はせくら しんじ)
ここでそのCommandは狡いだろ...
支倉 秦司(はせくら しんじ)
自分の中で何かが変わる音がする
答えを口にした時、じわっと胸が熱くなった
風間 悠斗(かざま ゆうと)
風間 悠斗(かざま ゆうと)
ふわふわとする視界の中で見た風間悠斗は、笑っているのに余裕が無さそうに見えた
ーNEXTー