鈴音
メモと地図を頼りに辿り着いた家は、『家』というよりも屋敷と称した方が適切なように感じるほど立派な門構えだった
鈴音
鈴音
??
背後から唐突に掛けられた不遜な声に、思わずびくっと肩が震えた
振り返るとそこには、制服姿の 青年が立っていた
玲王
話には既に聞いていた。 御影コーポレーション総裁の息子である御影玲王。初日から何だってそんなところに派遣されなければいけないのかと思いもしたが、仕事なのだから仕方ない
鈴音
鈴音
鈴音
三秒間、頭を下げてから彼の顔を見れば、何とも複雑そうな表情を浮かべ、じっと私を見つめていた
玲王
玲王
鈴音
鈴音
鈴音
玲王
玲王
鈴音
鈴音
御影さんは物珍しそうに私を見て、何度か頷いていた
玲王
玲王
鈴音
玲王
玲王
玲王
鈴音
鈴音
鈴音
玲王
玲王
砕けた口調で言って、御影さんは私に手を差し出した
意図がわからず、自分よりも一回りも二回りも大きな手を、じっと見下ろすことしかできなかった
玲王
鈴音
慌てて手を差し出せば、御影さんは私の手を引いて、強く握った。硬さを感じる大きな手の熱が、
ほんの少し、嫌だと思った
玲王
鈴音
玲王
学校の階段よりも横幅の広い、優に七、八人は横並びで歩けそうな階段を上りながら、玲王さんは 切り出した
鈴音
玲王
玲王
玲王
多分、警戒をされているらしいことはわかった
当然だ。よく知りもしない人間を自分の部屋に入れるわけがない
それこそ大企業の御曹司なんて、多方面から色んな意味で狙われるのだろうから
鈴音
鈴音
とにかく失礼のないように畏まった言い方を選べば、一段先を歩いていた御影さんは振り返って、心底おかしそうに笑った
玲王
玲王
ぐっと喉が引き攣った
そもそも、異性を名字でなく名前で呼んだことなどあったろうか?
鈴音
鈴音
鈴音
玲王さんは「やっぱり固いなぁ」なんて笑っていたけれど、私にはこれが限界だった
二階に着くと、目が眩むように長さの廊下が先まで続いていた。 玲王さんは奥を指差す
玲王
玲王
玲王
「ね?」と笑って念押しして、玲王さんは自室だという正面の部屋の中に消えていった
ちらりと見えた室内は趣味が良く、洗練されていて、ひょっとしたら……私のアパートの部屋の全体よりも広いかもしれなかった
鈴音
鈴音
長い廊下を足早に歩いた
玲王さんは紳士的だと思う
だけど少し、初対面で性急に距離を詰めてくる人だ。それもただの家事代行サービスの人間相手に
鈴音
鈴音
そんなところが苦手だ、と思った
物がない殺風景な部屋の中、彼が『制服』だといったものと思わしき一式が壁に掛けられていた
ふんわり広がるスカートにリボンタイ。正直、実用性に欠けるんじゃないかと思う
鈴音
鈴音
鈴音
着替え中……
鈴音
鈴音
自分を鼓舞するみたいに、両手でぱちんと挟むように頬を叩いた
鈴音
コメント
3件
好きです てか大好きです 結婚します?((((((((((殴