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主が急にノベル書いてみたい!ってなったので、急遽一日で書いてみました。
本編の前に幾らか注意を。
今回の物語では店の名前が登場しますが、それらは全て主が自分で考えた物です。
実際するお店とは全く関係ありませんが、もしも同じ名前の店を知っている方がいれば、
コメントで教えて頂けると助かります。直ぐに物語内の店名を変更しますので。
旧国注意。
私の枢軸組は皆兄という設定にしているので、受け入れられない人は見ない事を推奨します。
それと、私の書くイタリアはしっかり者なので、人によっては違和感半端ないかもです。
低クオ注意、いつものです。
今回は慣れていないノベルなので、誤字が多発していたり、色々とおかしかったりする可能性大。
どうか暖かい目で見ていってください。
これら全て大丈夫ですって人は、
本編、どうぞ。
-ここは、大通りからは少し外れたところにあるピザ専門店、Sempre Fratelli Pizzeria。通称SFP。
立地が原因か、お世辞にも繁盛しているとは言い難く、
近所に住んでいる私でも つい先月までは存在すら知らなかった。
外見は、何故か至って普通のイタリアンレストランである。Mistralフォントで描かれたロゴに、
木の暖かさを感じるシックな茶褐色の扉と黄褐色の壁。
色の違いで視線が向くように、工夫が施された位置に掛けられているイタリア国旗。
そして、ロゴと同じフォントでメニューが書かれているブラックボード。
正直な所、名前にPizzeriaと入っていなければ、ピザ専門店と判別する事は容易ではないだろう。
ブラックボードにも色々と書いてあるが、 オーナーの直筆らしく、
汚くて読め..いや、独創的で癖があるため、私のような素人では読むことができない。
外見だけでなく、内装も全体的に落ち着いた雰囲気で纏められており、
木製の椅子や机が、オーナーセレクションのヨーロピアンと共に猛烈に睡魔を誘う。
部屋の隅にはヘデラが置いてあり、その側には暖炉までもある。
暖炉の手前の席に座るのも一興ではあるのだが、断言しよう。
私は確実に睡魔に屈してしまうだろう。だからあの席に座る事は出来ない。
一度だけ、初めて訪れた際に興味本意で座ってしまった事がある。
座ってから5分程度は何も問題はなかった。
後ろからパチパチと炎が爆ぜる音を聞きながら、
ゆっくりと流れていく時間を 心地よい音楽と共に、存分にくつろげていた。
このままピザが出てくるまで、この物理的にも精神的にも暖かい空間で、まったりとしている..
そのはずだった。
何が起きたのだろうか、私には到底理解する事の出来ない何かが起こったのだ。
自分の想像も含めて分かっている事を説明しよう。
私の記憶の一部分が抜け落ちて、気づいた時には店員さんが目の前の席に座って微笑んでいた。
そう..これが意味する事はただ一つ。
寝落ちだ。
その瞬間、私は強い羞恥心に苛まれた。
その店員は、私が起きた事に気がつくと、
『あ、ピッツァ作るの忘れてた!直ぐに作るから少しだけ待ってて欲しいんね〜!』
と、個性に満ち溢れている語尾でそう言い残し、厨房へと慌ただしく駆けていった。
正直な所、今直ぐにでも帰りたかったが、こんな時でも腹の虫は憎たらしい程に正直だった。
まるで文句を言うようにひたすら鳴り続ける腹の音、涎が少し付いてしまった私服。
他に客が居なくてよかった..と私は切に思った。
そんなことがあってからは、私はもうあの席には座っていない。
そんな記憶に新しい黒歴史を思い出して精神的大ダメージを受けながら、
私は暖炉から最も距離の離れた席に腰掛けた。
程なくすると、店員がテーブルの側へやって来た。
『いらっしゃいませ、Sempre Fratelli Pizzeriaへようこそ!』
例の癖が強い店員じゃなくてよかった。完全に私の落ち度ではあるが、
もしもあの人だったら、私は羞恥心のあまり『メガンテ』を唱えかねない
『ピッツァ•マルゲリータを一つ』他に客も居ないのに、常連ぶってなれた口調で伝える。
私って痛い奴だな..と声に発した直後に後悔した。
そんな私の様子を気にも留めず、『かしこまりました!少々お待ちください!』と、
純粋無垢という言葉が似合う笑みを浮かべながら、店員はそう言って、テーブルの上に水を置いた。
『すみません、お水をお出しするのを忘れていました。』
手に持っている物を如何にして忘れるのだろうか、この子は俗に言う『天然』なのか?
正直な所、私も『天然』の意味は抽象的にしか知らないが、
知らなかったらそれだけで『天然』になるらしいので、いつも知っている振りをしている。
『ああ、全然大丈夫ですよ。』出来る限り声のトーンを変えずに言う。
胸の内は、申し訳なさそうにしている顔が可愛すぎて新たな扉を開いてしまいそうなのだが、
私にも社会的立場と言う名の腐ったプライドがあるので、必死に堪える。
この辺りで、一つ疑問が湧いたのではなかろうか。
何故そんな黒歴史がある店に来るの?他にも沢山店あるでしょ?もしかしてドMなの?
これが一番の疑問だろう。
私はMではない、ここに来る理由はちゃんとある。
『お待たせしました、ピッツァ•マルゲリータです』
これだ。
..店員じゃないぞ?私は男に手を出す趣味はない。
このピザである。
トマト、モッツァレラチーズ、バジルのオーソドックスかつシンプルなピザ。
しかし、どうしてもシンプルな分、作り手による個性が出てしまう。
殆どの店は、一般人の好みに寄せて本場の味を蔑ろにしている事が多いのだが..
ここの味は、他の店とは違う。
ミルクの甘さを感じるモッツァレラチーズと酸味のあるトマトソースが絡み合い、
両者喧嘩せず、どちらの素材もしっかりと活きている。
また、バジルの風味が他の素材が発する強い香りをしっかりと纏め上げており、
全体的に本場に合わせた濃いめの味だが、爽やかで重たすぎず本場の味を思い出させてくれる。
隠れた名店という言葉がここ以上に似合う店を知らない程に、何故客が少ないのかが甚だ疑問だ。
『それでは..』
因みに、ここの店には二つ程ルールが存在する。
一つは、店員の前でピッツァをピザと言わない事。店員がムッとするからだ。
一応言っておくが、これらのルールは紙などには書いておらず、暗黙の了解である。
つまるところ、この一つ目はただの初見殺しだ。
私は運良く他の人がその地雷を踏んだのを見て、回避する事ができた。
話が逸れたが、二つ目は、店員が品物を運んで来た時に、毎回必ずとある言葉を発するという物だ。
それは..
『-Buon appetito!-』
『ふぅ..』常連さんが帰ったのを見て、一息を吐く。
僕の名前はイタリア、この店の祐逸無二の店員であると同時に、オーナーの弟だ。
何故、祐逸無二の店員なのかと言うと、この店は僕達兄弟だけで営業しているからだ。
..実際は、八割僕がやってるんだけど。
『ただいまなんね〜!』
お茶を飲んでゆっくりしていると、兄が帰ってきた。
この人はイタリア王国、通称イタ王。このSFPのオーナーであり、僕の兄。
オーナーのくせに基本いっつも何処か行ってて、仕事をしやがらない。
なのに、ピッツァを作るのは僕よりも上手である。何故なんだ?
『おかえり、今日は何しに行ってたの?』
『ナチとにてに悪戯しに行ってたんね!』
毎回恒例であるやり取りをする。いつも悪戯しかしないから聞かなくても分かるが、
これが会話のきっかけとなるので、少々面倒くさいものの毎回聞いている。
『いつもそればっかだねぇ..飽きないの?』
やや呆れながら言う。
『勿論!飽きるはずがないんね!』
だろうと思った。飽きたのなら行くはずがないしね。
兄さんの言うナチとにては、ナチス•ドイツさんと日帝さんの事だ。
三人は元々同盟国だったのもあって、兄さんが言うにはかなり仲良しらしい。
兄の繋がりもあって、二人の弟の日本とドイツは、僕の友達だったりする。
『..それじゃ、そろそろ交代してよ、兄さんが居ない間僕が一人で回してたんだから。』
客が少ないのと中の温度も相まってかなり眠くなっていた僕は、 兄さんに交代してもらおうとした。
『弟はしっかり者だから大丈夫なんね!』
何言ってんだこいつ。理由になってないぞ。
『こうなったのは兄さんがそんなんだからでしょ..暫く人も来そうにないし、交代してよ。』
サボりたいだけなのが見え透いているので、再び交代してもらうように訊いた。
『全く、しょうがないなぁ..』
何故こっちが悪いみたいになってるんだ?
『兄さんは今までずっとサボってたでしょ、たまには仕事してよ..』
『サボってたんじゃないんね、休憩だよ!』
サボりだろ。
『なら休憩してた分今から働いてね。』
『断る!』
断るな。働け。
心の中でツッコミを入れるのに疲れて来た僕は、話題を変えることにした。
『..そういや、今度この辺りの大通りに、新しいピザ屋が出来るらしいね。』
『え、そうなの?』
『My Ordinary Pizza、通称Mop、だってさ。聞いたことない?』
『初耳なんね!』
何故普段外にあまり出れていない僕が知ってるのに兄さんが知らないの?
『でも、どんな店でもio達には勝てないんね!』
何処からその自信は湧いてくるんだ?
『..ま、味だけは自信があるからね!』
湧いてくるのは自分の胸からでした。
『..Mopが出来てから何日が経過したんね?』 『一ヶ月』
『どれぐらい人並んでた?』 『行列』
『io達のSFPは?』 『閑古鳥』
『今月の利益は?』 『赤字』
『アウトなんね』 『アウトだよ』
『早急に手を打たなきゃ不味いんね!』
Mopが出来てから一ヶ月が経過した。 元から少なかったSFPの客はMopに取られてほぼ0となった。
流石に兄さんも焦って最近はちゃんと働いてはいるものの、やっぱり改善の余地は見えない。
『そもそも、何故こんなに差が付いちゃったの?』
兄さんが心配そうな顔でそう呟く。可愛いと思ってしまった自分を殴ってやりたい。
『レビューによると、Mopは提供がかなり早いらしくて、そこが大きな差らしい。
僕たちってこれでもかって程に ピッツァに拘ってるでしょ?』
僕達は焼き方から具材の、1から100まで拘りに拘っている為、どうしても作るのに時間が掛かる。
『それがio達の味だから、当たり前なんね!』
兄さんはそう言っているものの、このままでは店を畳むのも時間の問題だ。
『..とにかく、色々と試してみようよ!』
僕が不安そうにしているのを察してか、兄さんは元気そうに振る舞ってくれる。
『まぁ、それしかないか..』
そんな兄さんを見てると、僕も少しだけ不安が薄れるような気がした。