rch side
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今日はきゃめさんとじゅはちと一緒にご飯を食べに行って。
実はこの2人だけは俺の気持ちを知っている。
だからって、そんな学生みたいなノリで連絡させようとすんのやめてよ!!
〈 ほら、りぃちょ!! 〉
「 も〜、何、なんなのきゃめさん!! 」
〈 良いからせんせー誘いなよ〜〜… 〉
「 良いってば!! 」
「 ほら、早く食べよ!! 」
そう言ってきゃめさんをなんとか説得したつもりでいたが、
…最終関門のじゅはち。
こいつからは本当に逃れられない。
[ ほらっ、りぃちょ、スマホ貸してみなって! ]
「 も〜…、ほんとに良いってばじゅうはちまで…、 」
[ はあ、ほんとに、いつまで経ってもそんななんだね、 ]
「 うるさいなあ、! 」
〈 …まあでも、人数は多い方が楽しいし、ね? 〉
〈 1回誘ってみるだけ誘ってみようよ笑 〉
〈 りぃちょくんの気持ちは無しとしてさ、笑 〉
「 …そんなこと言って、ニキニキに怒られたらどーすんのさ、 」
〈 …まあ、そんときはそんときだよ。 〉
…まったく、怒られるのは自分じゃないから、って好き放題言いやがって…、
「 はあ、分かったよ〜、 」
ため息をつきつつも、せんせーに連絡を送る。
来てくれたりしないかな、なんて淡い期待を抱いて。
「 …はあ〜〜、 」
〈 ん…、どんまい、りぃちょくん、 〉
[ 次があるさ〜…、 ]
2人が気まずそうに慰めてくる。
「 …だから言ったじゃあん!! 」
そう、俺のこの感じを見れば分かる通り。
ちゃんと断られてしまった。
外せない用事だとかなんとか。
ほんと、なんなんだよ。
やけ酒だ、やけ酒。
〈 …飲も、 〉
[ そー、だね、笑 ]
[ りちょもこんなんだし、 ]
[ 飲んでストレス発散しよっ、! ]
「 …うん、 」
なんだかお二人さんに振り回されっぱなしな気もするけど。
…まあ、こんな時、1人じゃなくて良かったな、なんて思いながら。
その後はそんなことは忘れて楽しく語っていた。
…なのに。
なんで?
なんで、せんせーが今、俺の目の前に居て。
なんで、せんせーは泣きそうな目をしているのだろう。
『 すまん、急に来て、 』
「 全然良いよ、どうしたの? 」
『 …やっぱり、俺、ニキに飽きられたんかなあ、 』
せんせーのその発言に、何故かどき、と心臓が跳ねた。
「 …なんで? 」
『 …だってあいつ、絶対浮気してんねんもん…、 』
…え?
あのニキニキが、浮気?
浮気、なんて、ニキニキがするのか。
なんて思っていたけれど、せんせーの目元や表情を見る限り本当らしかった。
なんで。
なんで、ニキニキは。
せんせーをこんなに想っている俺がいて。
それでもせんせーはニキニキを選んで、横にいてくれて。
そんなに贅沢な事って無いのに。
それさえも捨てて別の奴の方へ行ってしまうの?
…もったいない、そんなニキニキにせんせーなんかもったいなすぎるよ。
…今、俺がせんせーの事を奪ったって、ニキニキに何も言う権利なんか無いよね?
だって、そっちが悪いんじゃん。
そんな思考を巡らせていると、自然と口から言葉が出ていた。
「 ねえ、俺にしなよ。 」
『 …え、? 』
せんせーはきょとん、とした顔をしてこちらを見る。
『 なに、何を言うてんの、? 』
「 何って、言葉の通りだけど。 」
「 だから、ニキニキじゃなくて俺にしな。 」
せんせーは脳の処理が出来てないような、起こっている状況に頭が追いついていないかのような表情を見せている。
『 …いや、え、ちょ、 』
『 …ごめ、ちょっと、わかんな、 』
せんせーのそんな言葉に少し我に返って。
俺はせんせーの気持ちを大事にしたい、なんて思ったから身を引いたって言うのに。
…こんなタイミングじゃ、自分勝手過ぎるよな。
「 …ううん、謝んないで、せんせ、 」
「 …ごめん、困らせて、笑 」
きっとせんせーは困っているんだ。
俺が、せんせーの弱みに漬け込むような形で気持ちを伝えてしまったのだから。
「 …忘れて。 」
そう言って微笑んだ。
俺、上手く笑えてるかな。
『 …はは、 』
せんせーは急に乾いた笑いを零し始めて。
『 りぃちょも、ニキも…、 』
『 ほんま、物好きやな、笑 』
彼は頬に1滴の水粒を残していた。
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酔狂 … 普通は人のしないようなことを、好んですること。物好き。
コメント
3件
にき君視点も欲しいなぁ、なんて🥹