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こんにちわなりきりしませんか?
「甜瓜。何やってんの?」
黒髪ロングでダウナー系のお姉さんだった。
安良木さんはというと、見覚えがあったのか驚いた表情をしていた。
「お、お姉ちゃん?!なんでここに?」
「いや、おまえがイケメン男子と一緒にカフェに入っていったから気になって…」
見た目は少し怖い雰囲気はあるけど、心配病なお姉さんなのかなと思った。
「というか、お姉さんなの?」
「そうだよ」と自慢げにこちらを見てくる。
確かに美人さんだけど…
「貴方は?」
安良木さんのお姉さんはこちらに顔を向ける。
「僕は西条望で、安良木さん…甜瓜さんのクラスメートです」
「望ちゃん!前に呼び捨てでいいって言ったじゃん!」
「ごめんね、じゃあ甜瓜」
「うん!」
ご満悦な表情を甜瓜は浮かべた。
「望ちゃん?女子なの?」
「はい。よく間違われるんですよね…」
「ごめんなー、無神経だったわ」
顔の前で手を合わせながら甜瓜のお姉さんは謝る。
「いえ…」と僕が呟いたところで、ぬ甜瓜のお姉さんは「あっ」と声を出した。
「悪い、自己紹介まだだったな。アタシは大学2年生の安良木西瓜。さっきも言ったけど甜瓜の姉だよ」
「大学生なんですね…でもここら辺大学ないですよね…」
ここら辺の地域には僕たちの高校を含め、小・中・高の3種類の学校が数箇所あるが、
何故か大学だけがないのだ。
「それなんだけどね、アタシ隣の県に今住んでんだよ、で、つい先日ここに帰省してきたってわけ」
「5ヶ月ぶりだもんね」
甜瓜は嬉々とした顔で頬杖をつきながら言う。
姉妹仲が良いのだろうか…。
「で、話し戻すけど何してたんだ?」
首を斜めにしながら西瓜は言う。
「勉強してたんです…」
続けて、甜瓜が望の気持ちを代弁するようにして。
「だけどね、あーしらバカだからなんにもわかんなくて…」
「…あー、確かに甜瓜は頭悪いもんねー
高校受験もアタシがいなきゃ確実に落ちてたし」
「お姉ちゃん!」
心外だ!と言わんばかりに甜瓜は頬を膨らませる。
「…でも、甜瓜は人付き合いは良い方だろ、
クラスに教えてくれる人はいないのか?」
今一番痛い所を突かれた甜瓜と望は苦渋の表情を浮かべた。
「いたは、いたんだけどね…」
甜瓜は勉強を教えてくれたクラスメート…
咎士文戯に怒られた日を思い出す。
「あれは…あーしが悪かったというか…」
その発言に驚いた僕は話しを遮った。
「ちょっと待って、甜瓜!」
「?どうしたの望ちゃん…びっくりしたぁ…」
急に大きな声を出されて驚いたのか、甜瓜の体が縮み上がった。
「甜瓜は何も悪くないよ…元はといえば僕が文戯に教えてもらったところを忘れたのがいけないんだし、甜瓜はそこに居合わせただけだから…」
んーと淡赤色の唇に指をあて。
「あーしがいたからさらに気苦労したんじゃないかなと思ったんだけど…」
「…事情はわかった!!ともかく2人とも一旦黙れ!」
西瓜さんの怒号によってハッと我に返る。いつの間にか僕と甜瓜は席から立っていた。店内を見渡すと客の視線が僕たちがいる席へと集まる。気づかない間に甚だしかなっていた。
「あ、すみません…」
「ごめんなさい…」
また2人は席に座った。
「んで、怒られたと」
「はい」
あれから数分間にわたる、問ただし&説教をされていた。
「望ちゃん、それは怒られても仕方ないよ」
青ざめた顔で西瓜さんは言う。第三者目線の人をこれほどまでの顔にさせるのかと、さらに沈んだ表情になった。
「じゃあ、アタシが勉強教えたげる」
甜瓜が注文したであろうポテトを取りながら
西瓜さんは言う。
「いいんですか?…大学とかもあるだろうし…」
「いいんだよ、これでもバイトとかしてないし、うちの大学の講義、楽だし」
ポテトを持っている手で手振るいをする。大学生を感じる子どもっぽさと大人ぽっさが西瓜さんから放たれていた。
「お姉ちゃん助かるよぉー、あーしら勉強を平均くらいにできるようになったら、文戯くんに謝りに行こうと思ってたから」
「ん?ぶんぎ?男?」
頭の上にはてなを浮かべる西瓜さん。