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鋭い刀の煌めきが闇を裂く。
日哉は速かった。獣が襲いかかるような、その一撃には迷いも容赦もない。
「死ねぇぇぇ!!」
だが、雨宮は動じない。血を流しながらも、冷静に日哉の動きを見極める。
「遅いよ、日哉。」
パンッ!!
またも銃声が響く。だが日哉は怯まない。肩を撃ち抜かれてなお、そのまま突っ込んできた。
「こんな傷じゃ止まらねぇ!!」
雨宮は舌打ちし、次の一発を撃とうとする。だが——
シュッ!
刀の先端が銃を弾き飛ばした。
「……チッ。」
雨宮は飛び退く。だが日哉は距離を詰め、目を血走らせながら叫んだ。
「邪魔するなぁぁ!!俺は……兄貴を殺さなきゃならねぇんだよぉぉ!!」
その瞬間、日哉の刀が振り下ろされた。
——ガキィィン!!
「……は?」
日哉の目が見開く。
刀は確かに振り下ろされた。だが、それを止めたのは一本の傘だった。
「……吉田……!?」
血まみれの姿のまま、吉田武史は立っていた。傷ついた体を押して、なおその目は鋭かった。
「……もういいだろ、日哉。」
「黙れぇぇぇ!!!」
日哉は叫びながら力を込める。だが吉田はそれを受け止めながら、静かに言葉を紡いだ。
「俺を殺したいんだろ?……だったら、そんなみっともねぇ顔するな。」
「……ッ!!」
日哉の動きが止まる。刀を押し込もうとするが、力が入らない。
吉田はゆっくりと続ける。
「俺たちは兄弟だろう。……たとえ道を違えたとしても、そんなことは関係ねぇ。」
「……でも……俺は……!」
「わかってるさ。」 吉田は静かに微笑む。「けどな、日哉。お前は強くなりすぎた。だから、誰かが止めなきゃならねぇ。」
その瞬間、吉田の傘が弾かれた。
——しかし、日哉の刀は振り下ろされなかった。
日哉の体が、震えていた。
「……もう、いいだろ。」
吉田の言葉に、日哉はついに膝をついた。
「……なんで……なんで俺は……!」
涙が一筋、頬を伝う。
その場に崩れ落ちた日哉を、吉田はそっと抱きしめた。
「……もう、終わりだ。」
——だが、その安堵は長くは続かなかった。
「それはどうかな?」
突如、冷たい声が響く。
暗闇の中から現れたのは、氷漬けにされたはずのライアだった。
「お前ら、まだ楽しませてくれるんだろ?」