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湊と別れて家に帰ったけど、なんだか落ち着かない。
「……お前が悪い」
「昨日、余計なことするから」
あの湊の言葉が、何度も頭の中で繰り返される。
(お見舞いに行ったこと、そんなに迷惑だったの?)
だったら、あの時ちゃんと言ってくれればいいのに。
でも、湊は昨日、お礼を言ってくれた。
「……わかんないよ、もう。」
私はベッドにダイブして、枕に顔を埋めた。
ただの友達として心配しただけなのに。
ただの隣の席の人として、様子を見に行っただけなのに。
なのに、湊の態度が気になって仕方ない。
(私、なんでこんなにモヤモヤしてるんだろう……)
次の日、私は思い切って湊に聞いてみることにした。
**—翌朝・登校中—**
いつも通り家を出ると、ちょうど湊が前を歩いていた。
(……よし、話そう。)
私は少し早歩きで湊に追いつき、声をかけた。
「ねえ、湊。」
「……なんだよ。」
湊はチラッと私を見たあと、すぐに前を向いた。
わっ、なんかこう…冷たい…!?
「昨日のことなんだけど──」
「忘れろ。」
「はぇ?」
いきなり遮られて、私は思わず立ち止まる。
「な、なにそれ!? 忘れろってどういうこと?忘れれるわけなくない?」
「そのまんまの意味。」
「いやいや、意味わかんない!」
湊はため息をついて、私の方に向き直る。
「……お前、マジで鈍いよな。」
「……っ!」
その言葉に、なぜか胸がギュッとなる。
「鈍いって……何が?瞬発力…?」
「……いいから、もう気にすんな。」
「だから、意味がわかんないってば!!」
私は思わず湊の腕を掴んだ。
「ちゃんと説明してよ!」
湊は驚いたように私の手元を見たあと、ふっと目を伏せる。
「……言わなきゃダメ?」
「言ってくれなきゃ、わかんないよ。私、湊の心わかんないからさ」
私が真剣に見つめると、湊はほんの少しだけ頬を赤くして、小さく呟いた。
「……お前のせいで、俺……」
「……え?」
いや声ちっさ!
湊が続きの言葉を言いかけた、その時。
「せりな~! おはよう!」
遠くから悠斗の声が聞こえた。
湊はピタッと言葉を止め、すぐに表情を戻してしまう。
「……なんでもねぇ。」
「ちょ、待って、今なんて──」
「ほら、行くぞ。」
湊はサッと私の手を振りほどき、さっさと歩いていってしまった。
(えっ……何今の?)
(「俺……」って、何? その続き、めっちゃ気になるんだけど!?)
悠斗と紗菜が合流して、普通に会話してるはずなのに、私はそれどころじゃなかった。
さっきの湊の顔が、頭から離れない。