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初コメ失礼いたします!! え、神ですよね?神ですね 青桃の吸血鬼は大好物すぎます💕😋😍💕 出来れば続きが欲しいです(´。✪ω✪。 ` )!
めちゃくちゃ最高です!! 私吸血鬼パロ大好きなのでニヤニヤ止まりませんでした笑 出来れば続きみたいです!!
初コメ失礼いたします! 思ったんです...貴方神ですね?あの、ほんと神すぎてにやにやしちゃってます(( 続き...できれば欲しいです!あ、無理にとはいいませんよっ!?全然っ!!ほんと神作でした...!!!(長文すみませんでした!)
ATTENTION
・賽子様の二次創作
・人外×社畜
・青×桃
桃↬「
青↬『
・コメントでの検索避け必須
それでもいい方のみお進み下さい
_____ふと窓から空を見上げた。
薄暗いオフィスには俺のPCの明かりだけが反射している。本当はもう少し、いやもっと早く帰れるはずだった。書類をまとめ、企画も考え、やっと帰れると思っていた時、涙目の後輩に声をかけられた。何度も何度も謝る姿が可哀想になりつい引き受けてしまったが、想像以上のミスにほぼ作り直し。どうしたらこうなるのか聞きたいぐらいだったが了承してしまったものは終わらせるしかない。せめて日が変わる前には、と思いつつキーボードを叩いていた。
今日は満月で雲も少ない。朝のニュースでは”ブルームーン”なるものが紹介されていた。きっと今日がその日なんだろう。こんな夜には恋人と月見酒……といきたいところだが自分には仕事がたっぷりと残っている。というかそもそも一緒に酒を嗜む人がいない。……自分で言うのも悲しいが。まぁもしいたとしても、こんなブラック企業に務めていたらどうせ長続きはしない。俺は何故か愛の重い人…俗に言うメンヘラを捕まえやすいのだ。
学生時代に初めて付き合った彼女は毎日毎日夜遅くまで連絡を取り合おうとする。しつこく電話をかけて来た日もあった。初めのうちはこんなものか、と思っていたし恋人ができたという事実に浮かれていた。
だがそれも毎日毎日続くと疲れてくる。彼女にそれとなく伝えても、寂しくなるから、の一点張り。夜は一人でいると病んじゃうから頼っちゃうの、と言われたらそれ以上強く言えないのが良くなかった。毎晩毎晩5分以内に返信。勉強どころか睡眠時間も取れない。しばらくして耐えられなくなった俺が勉強を理由にして別れを告げると案外あっさりと受け入れてくれた。その夜にやっぱり復縁しよう、と大量のメッセージが来たことはまた別の話。
2人目は……確かサークルの後輩。異様に独占欲が強く、連絡先は相手が誰であろうと消せと言われた。先輩や元同級生、大学の教授。やんわりと断ろうとするが少し言いすぎると直ぐヒステリックに騒ぐ。浮気だ何だと怒鳴られたのも一度や二度では無い。親のまで消せと言われた時は流石に怖くなった。
そのくせ別れよう、と言うと毎回同じ言葉。同じ表情。もう二度と束縛なんかしない、と必死に言う彼女のことは見飽きるほど見てきた。そう言って直ったことなんて一度もないくせに、今度は約束守るから信じてなんて都合が良すぎるとは思わないのだろうか。一周まわって笑えてくる。
……とまぁ俺はとことん女運がない。ホストにでもなればそこそこ稼げるんじゃないか、とも思ったが、そのタイミングでホストが客に刺されたというニュースを見た時に絶対にやらないと決意した。大して興味もない女に甘い言葉を囁き金を巻き上げるのは趣味じゃない。堅実に暮らし、いつか素敵な人と家庭を築くのだ_____
と、夢を語ったところで目下の課題は変わらない。さっさと仕事を終わらせて少しでも睡眠をとりたい。未来の幸せより今の睡眠だ。
……結局終わった時には短針が1を指していた。終電だのタクシーだのと考える余裕もない。疲労と眠気で閉じそうな目を擦ると家へと足を進めた。
がたん、という音ではっとした。辺りを見渡すと散らかった路地裏。どうやら今の音はここから聞こえてきたようだ。半分寝たような状態で歩いていたらしく、いつの間にか家はもうすぐ。本当はそのまま帰って寝たかったが、急に目覚めて興奮した脳は路地裏から聞こえた音に興味を示していた。
「 誰か倒れたとか…だったら危ないから、
そう自分を誤魔化すかのように呟くと、青白いライトの着いた路地裏へ足を踏み入れた。
「 うわ~…散らかってる……、
足の置き場を確認しつつゆっくりと進んでいく。ダンボールや古雑誌が積み重なり今にも倒れてしまいそうだ。これが倒れただけだったんじゃないか、とも思いつつも一度気になってしまったものはどうしようもない。慎重に、確実に、路地裏の奥へと足を進める。
『 ……ぅッ…
「 ……え、ッ…人の声……!?
心配と焦りが込み上げ、出来る限り早く進んでいく。奥まで来るとダンボールに寄りかかるようにして誰かが座っていた。少し季節外れの長いコートを来ているその人はぴくりとも動かない。
「 あの、ッ……大丈夫ですか…!?
『 ッ…?
薄く目が開く。よく見ると髪も瞳も綺麗な蒼色をしていて、月明かりの下で映えている。
「 体調悪いんですか…?えと……知り合いの連絡先とかあります…、?
『 いや…だいじょぶ……すこしやすめば……
「 ぇ、でも……
『 はらへっとるだけやから…ほっといて……
「 お腹、空いてるんですか…?
『 うん……、
『 ……俺ん家来ます、?すぐそこですし…
「 ……いや…いまここで…、
『 ……ここで…、?
ここで、と言われても俺もこの人も食べ物は持っていない。近くに居酒屋とかある訳でもないしな……と色々考えていると、目の前の人がよろめきながら立ち上がった。
「 え、ッ……大丈夫なんですか、!?
『 ……いいにおいやな、お前、
「 ……はぁ、?
急に変態じみたことを言われたと思った時、ぐっとその人の顔が近くなった。本当に人間か疑いたくなるほど青白いその顔は整っていて、ちらりと覗いた歯は尖っていた。
____そして彼はそのまま俺の首を噛んだのだ。
「 い”、ッ……!?何…するんですか、ッ……!
『 ……少しでいいから…、
「 ほんとに離してください、ッ……警察呼びますよ……!!
『 ……はぁ…
押し当てられていた牙が離れる。じわ、と痛む首に手をやると滲んだ血がついた。太い血管は傷ついていないようで安心した。しかし急に噛まれたことに対する怒りが沸々と湧いてくる。
「 何なんだよあんた、ッ……!俺はあんたのこと心配して…!!
深夜だということを忘れ、怒鳴ってしまった。一気に叫んだからか寝不足だったからか、足元がふらつく。何とか踏みとどまると相手を睨みつけた。月明かりに照らされたそいつはどこか苛立たしいといった様子でそこに立っている。溜息をつくと俺に蒼く光る目を向けた。
『 ……"黙れ"
「 ッ……、!?
重い威圧感に口が開かなくなる。いや…違う、本当に開かない。何か言おうとしても口が、舌が、喉が動かない。金縛りのようにぴくりともしなくなった。
『 …"そこに座れ"
へたり、とその場に座り込んでしまう。恩を仇で返すようなこいつにも、こいつの命令を何故か聞いてしまう自分にも腹が立つ。せめてもの抵抗で睨んでやろう…と思ったが、急に頭がふわふわし始める。こんなにも初対面のこいつが嫌いなのに、言うことを聞かなきゃと思わされる。
『 ったく……手間取らすなや…
覚束無い足取りのまま俺に近付いてきた。さっき噛まれた場所を軽く舐める。その瞬間苛立っていたこいつは目を見開いた。酷く驚いているようだが…何があったかを考える余裕は俺にはない。
『 お前、ッ…何で……、?
「 ぇ……、?
『 ッ……、
余裕の無さそうな表情でもう一度俺の首に顔を近づける。その直後に痛みと血が吸われる感覚。本当は恐怖でいっぱいになるはずなのに、ふわふわとした感覚は消えない。むしろ強くなっている。
「 ( あ~……俺やばいかも…… )
少しずつ意識が遠ざかる。最後に見えたのは綺麗な蒼い3つの月。そのうち2つはじっと俺の方を見つめていた。
『 ……ぁ、ッ…、
気がつくと目の前に見知らぬ男性が倒れていた。俺はどうしてここにいるんだ?血が足りなくなって、適当に吸える人を探していたら動けなくなって、その時にこいつが来て……
…あぁそうだ、思い出した。ほんの少し滲んだ血が異様に美味しかったんだ。他の人間よりいい匂いだとは思っていたが、あれほど美味しいとは思わなかった。昔読んだ本にあった、”運命”という言葉が脳をよぎる。確か……他の人間では満足出来ないくらい美味しい血を持つ人間のことをそう呼んだはずだ。”運命”は人によって違うらしく、ほぼ都市伝説だと思っていた。
でも違う。こいつは紛れもなく俺の”運命”で、もう手放すことは出来ない。
『 ……お~い、生きとる、?
軽く揺すって声をかけるが返事はない。息はしているようだが半開きの目は虚ろだ。その様子を見て何となく勘づく。多分俺は命令してしまったのだ。特に俺は影響力が大きいからあまり乱用するなと注意されたこともある。人間には負担が大きいと知っていながら、一瞬感じた匂いと自身の本能に抗えなかった。
『 ……俺ん家連れてくかぁ……、
噛み跡の残る首を撫でてから抱き上げる。想像していたよりも軽く、少し驚いた。普段どんな食生活なのだろうと心配になる。
『 ……人間って脆いなぁ…
そう呟くと人目につかない道を歩いていく。さらりと桃色の髪が風に靡いた。
もう、夜明けは近い。
続くかもしれないし続かないかもしれない